ソニーが投入した2012年PC夏モデルは、同社初のUltrabookである「VAIO T」や、BRAVIAクラスの美しい映像を実現する液晶一体型PCなど話題作が目白押し。その中でも、薄型ボディに高性能パーツを詰め込んだ最高峰モバイルPC「VAIO Z」の15周年記念カラーモデルは、長年のソニーファンには見逃せないノートPCだ。詳細なレビューは後ほど掲載するが、まずは写真で限定カラーモデルの魅力を見ていこう。
VAIO Zのカラーバリエーションは、標準モデル(スペック固定の店頭向けモデル)のブラックのほか、直販のオーナーメードモデル限定カラーとして、シルバー、ゴールド、カーボンブラック(+5000円)、そして15周年を記念した「グロッシープレミアムカーボン」(+1万円)が用意されている。330(幅)×210(奥行き)×16.65(厚さ)ミリの薄型ボディや、カーボン素材を採用した外装、アルミ製パーツを使った液晶ディスプレイのヒンジなど、基本的なデザインは従来モデルを踏襲しているが、グロッシープレミアムカーボンでは、天面と底面にヘアラインと光沢のあるコーティングが施され、ブラックのヒンジに「15th ANNIVERSARY COLLECTOR'S EDITION」の文字が刻印される。
液晶ヒンジはブラックカラーのアルミパーツ。「15th ANNIVERSARY COLLECTOR'S EDITION」に続けて、「MADE IN AZUMINO, JAPAN」の文字が刻印されている。言うまでもなく、長野県は安曇野にあるVAIOノートの生産拠点を示しており、この内容は世界共通だこの15周年とは、薄型モバイルPCの金字塔である「VAIO NOTE 505」の誕生から数えてのことだ。昨今の薄型ノートPCブームは、メーカー各社からIvy Bridge世代のUltrabookが多数登場したことでますます過熱しつつあるが、このカテゴリこそソニーが長いあいだ(それこそMacBook Airの登場よりもはるか以前に)薄型軽量化を追い求め、技術の粋を結集して打ち込んできた分野である。
初代「VAIO NOTE 505」の誕生が1997年、そして傑作機「VAIO NOTE 505 EXTREME」が2003年。その長い歴史を振り返れば、2012年夏モデルで復活したVAIO Tが“Ultrabook”をうたうことに「何をいまさら……」と感じた人は多いかもしれない。それだけに、ソニーが持つ薄型ノートPCの遺伝子を色濃く受け継いだVAIO Zに、原点を思い起こさせる15周年記念カラーが加わったのは、長年のVAIOユーザーにとって喜ばしいことだろう。
前述のように、グロッシープレミアムカーボンカラーでは、外装にヘアライン加工と光沢コートが施されている。一見すると、コート層の下にあるヘアラインの模様からさらっとした手触りを想像するが、実際はつるつるとしており、摩擦が少ないためかすかに指に吸いつくような感触だ。
透明感のある天板は、ヘアラインの上に鏡面仕上げのルミナスミラーロゴが刻印され、眺める角度や光の加減で表情を変える。目を近づけて水平に近い角度から眺めると、天板からわずかに沈んだVAIOロゴが、まるで表面張力によって水に浮かんでいるかのようだ。光沢コートは使いどころによってはチープになりがちだが、黒で統一されたモノトーンの外観とうまく調和しており、非常にシックで高級感がある。
底面側にもヘアラインの模様が走っており、触らなければカーボンではなく金属素材のようにも見える。ただ、天板側の両端(アンテナが入る部分)とバッテリーの部分は、素材の違いからかヘアラインがなく、やや暗いブラックになる。前者はデザインの一部として許容できるが、後者のバッテリー部分はできればヘアラインで統一してほしかった。ちなみに、外装のほとんどを光沢コーティングで覆っているため、当然ながら指紋がつきやすい。むしろ、指紋をつけずにこのモデルを持ち運ぶことはほとんど不可能といってもいいだろう。
もう1点、15周年記念モデルでは、液晶ヒンジ部のカラーリングがシルバーからブラックに変更されている。ディスプレイとキーボード面との接合部を1本のアルミパーツで隠した「コンシールドヒンジ」はそれ自体がうまい仕掛けだが、デザインも秀逸だ。個人的には標準モデルのシルバーも悪くないと感じるが、ブラックの統一感とともに、背面に刻まれた刻印が、黒地にレーザーで削ったほうが見やすいという意味合いもあるのかもしれない。
このほか、外部GPUや光学ドライブ、各種インタフェースを搭載する外付けドッキングステーション「Power Media Dock」のデザインも記念モデル仕様になる。具体的にはPower Media Dockの背面側が、グロッシープレミアムカーボンの本体色にあわせてブラックに塗装されている。ちなみに、従来の量販店向けモデルに標準で付属していたPower Media Dockは別売り(約3万9800円)になった。

VAIOオーナーメードモデル限定のCTOメニューでは、より高性能なパーツやクリエイター向けソフトのほか、1920×1080ドット表示の高解像度パネルが用意されている(左がVAIOオーナーメードモデル、右が量販店向けモデル)。量販店モデルにはない豪華仕様にカスタマイズできる高性能な通常電圧版のCPUを搭載するがゆえにUltrabookを名乗れなかった(そして名乗る必要もない)この「VAIO Z」は、これまでソニーが世に送り出してきたモバイルPCの歴史にその名を大きく刻んでいる。VAIOオーナーメードモデルには、より高性能なクアッドコアのCore i7や、大容量のメモリ/SSD、1920×1080ドットの高解像度液晶パネル、Xi(LTE)モジュールなど、直販限定のCTOメニューが用意されているが、VAIOファンであればパーツのカスタマイズだけでなく、グロッシープレミアムカーボンカラーも選択すべきだろう。
VAIO Z 15周年記念モデルのヒンジに刻印された「15th ANNIVERSARY COLLECTOR'S EDITION MADE IN AZUMINO, JAPAN」の文字を眺めながら、艶やかなボディに付着した指紋をふき取っていく至福のときを、是非味わってほしい。
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