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» 2012年12月21日 17時15分 公開

「VAIO Duo 11」を“徹底解剖”して語り尽くす完全分解×開発秘話(後編)(4/7 ページ)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

スライド機構も接続性も妥協せず、薄型ボディに詰め込む

 スライド機構が備わった薄型軽量ボディに妥協なき接続性を詰め込むため、VAIO Duo 11では実にさまざまな工夫をしている。

 具体的には、メモリに専用モジュール、SSDに小型のmSATAモジュールを採用したことをはじめ、基板部を複数のピースに分けて側面に並ぶ端子の種類や高さを整えたり、過去のモバイルノートPC用に開発した実装面積が小さい端子類を流用したり、一部の端子をケーブルで伸ばして最適な場所に置きつつ、本体部の左右を液晶ディスプレイ部より約6ミリずつ張り出させて実装面積を確保する、といった工夫だ。

メモリはオンボード実装と専用モジュールを組み合わせた特殊な構成だ。こちらはメインボードに実装されたメモリ

 メインメモリは、DDR3L-1600 SDRAMの専用メモリモジュールとオンボード実装のメモリを組み合わせた特殊な構成だ。直販モデルでメモリ8Gバイトを選択すると、4Gバイトぶんがオンボード実装となり、6Gバイトや4Gバイトを選択すると、2Gバイトぶんがオンボード実装となる。店頭モデルの搭載メモリは4Gバイトだ。

 薄さ優先のUltrabookでは軽視されがちなデュアルチャンネル動作に対応し、メモリの性能をしっかり引き出せる設計になっているのは心憎い。

 鈴木氏は「性能面を考えるとメモリはデュアルチャンネルで動作させたいが、オンボードでメモリチップを両面実装する配線は無理だったため、片方をモジュールにした。とはいえ、通常のSO-DIMMスロットでは厚みが出てしまうため、薄型の専用モジュールを使っている。モジュールで対応すると、メインボードの種類が少なくて済むため、製造上の利点もある」と、採用の理由を説明する。

 ストレージについては、フルサイズのmSATAモジュールで提供されるSSDをメインボードのPCI Express Miniカードスロットに装着している。直販モデルは容量を64G/128G/256Gバイトから選択可能(店頭モデルは128Gバイト)で、いずれもSerial ATA 6Gbps対応のSSDだ。mSATA SSDの採用によって実装面積を極力減らしながら、パフォーマンスの向上や、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)ブートによる起動の高速化を図っている。

 こちらを採用した理由は、「小型のSSDはほかにも選択肢があり、どのタイプを使うのかは議論があった。価格、収まりやすい形状、将来的に安定供給が見込めるか、といった要素を総合的に判断し、今回はストレージをmSATAのSSDに統一している」(鈴木氏)とのことだ。

DDR3L-1600 SDRAMの専用メモリモジュール(上)と、フルサイズmSATAの6Gbps対応SSD(下)を採用。専用メモリモジュールは薄型でmSATAに近いサイズにまとまっている

 PCI Express Miniカードスロットについては、サブボード側にもハーフサイズのスロットが用意されている。ここにはワイヤレス通信カードが装着される仕様だ。

 直販モデルではIEEE802.11b/g/n無線LANとWiMAXのコンボカード(Centrino Advanced-N+WiMAX 6150)、もしくはIEEE802.11a/b/g/n無線LANとBluetooth 4.0+HSのコンボカード(Centrino Advanced-N 6235)を選択できる。今回分解した機材は後者の仕様だったが、前者を選んだ場合はBluetooth 4.0モジュールが別途実装されるという。

有線LANポートとワイヤレス通信カード用のPCI Express Miniカードスロットを搭載したサブ基板。装着されるワイヤレス通信カードは2種類を用意している。こちらはIEEE802.11a/b/g/n無線LANとBluetooth 4.0+HSのコンボカード(Centrino Advanced-N 6235)だ。有線LANポートは薄型ボディに収まるよう、開閉式のコネクタを採用する

 細かいところでは、左側面のアナログRGB出力、右側面のHDMI出力と電源ボタンを薄いフレキシブルケーブルで伸ばし、ヒンジ部をまたいで本体の奥に搭載したほか、今回からVAIOノートに導入したNFCのアンテナをスピーカー上のわずかな隙間に敷くといった変則的な配置も目を引く。

 こうした複数の基板をフレキシブルケーブルで接続して巧みに収納する設計は、ミニノートPCの「VAIO P」や、極薄モバイルノートPCの「VAIO X」にも通じるものがある(VAIO Pほど基板と配線は込み入っていないが)。

メモリースティック デュオ/SDメモリーカード共用スロットとヘッドフォン出力端子をオンボード実装したサブボード(写真=左/中央)。ここからアナログRGB出力のフレキシブルケーブルを伸ばし、ヒンジ部をまだいで本体の奥に配置している。アナログRGB出力は余白を削って実装面積を小さくした端子だ。HDMI出力と電源ボタンも同様に、メインボードからフレキシブルケーブルを伸ばし、ヒンジ部の奥に並べている(写真=右)

NFCは薄い板状のアンテナを採用。アンテナはスピーカーの真上に基板部と折り重ねて搭載されている

 浅見氏は「HDMI出力やアナログRGB出力の端子は、わざわざヒンジを飛び越えて奥に配置することで、タブレットモードで手に持つ部分に影響がないようにした。開発時に機構設計と電気設計でこうしろああしろと議論することは多いが、今回は機構設計チームの中だけでも、これだけの機能をどう使いやすく収めるかで苦労した。正直にいって、これだけの端子がよく入ったと思う」と、当時の苦労を振り返る。

 そのかいもあって、鈴木氏は「左右の張り出し部分がないと、さすがに端子がいくつか入らなくなるか、バッテリー容量に影響が出てしまう。横幅は少し長くなったが、液晶ディスプレイ部と段差ができたことで開閉しやすくなったり、ヘアライン処理したアルミニウムの質感が強調されるなど、機能美やデザインの面でもうまくまとめられた」と、仕上がりに満足の様子だ。

 このように、VAIO Duo 11はこれまでのモバイルノートPCの開発で培ったノウハウを生かし、薄型軽量のボディに作り込んだスライド機構を搭載しながら、豊富なインタフェースと使いやすい端子の配置も兼ね備えることに成功している。

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