大容量でけっこう速い“ハイブリッドドライブ”とは何だ?──dynabook Satellite T772&T652で試すWebオリジナルモデルのみの新ストレージ(2/2 ページ)

» 2012年12月28日 14時45分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]
前のページへ 1|2       

ハイブリッドドライブの実力チェック

 では、ハイブリッドドライブはどんな効果があるか。ハイブリッドドライブ搭載/IRST構成/通常HDD搭載、それ以外はほぼ同じ構成のT652で比較する。

photophoto 見た目はまったく同じだが、左からHDDモデル、前がハイブリッドドライブモデル、右がIRSTモデル。それぞれ搭載ストレージが異なる。底面よりアクセスするサービスポートは、2.5インチHDD、8Gバイトのメインメモリ(PC3-12800 4GバイトDDR3×2)、mini PCI Expressスロットにアクセスできる。IRSTモデルのみ32GバイトのSSDモジュールが装着されている

 ちなみに、ハイブリッドドライブモデルは東芝「MQ01ABD100H」(1Tバイト/2プラッタ/8GバイトのSLC NANDフラッシュ/5400rpm/SATA 6Gbps対応/9.5ミリ厚)を実装。IRSTモデルの当評価機はHGST「Travelstar 5K750/HTS547575A9E834」(750Gバイト/2プラッタ/5400rpm/SATA 6Gbps対応/9.5ミリ厚)+32GバイトSSD、通常HDDモデルは同じくHGST「Travelstar 5K750/HTS547575A9E834」を搭載していた。

 まずはCrystalDiskMark 3.0.2で計測したデータ転送速度から。1000Mバイト×5のテストをキャッシュ効果の有無も考慮し3回実施した。

photo
photo
photo CrystalDiskMark 3.0.2で計測したストレージ転送速度の結果 左:ハイブリッドドライブ 中央:IRST構成 右:通常HDD/上から1回目、2回目、3回目

 やはり通常HDDと比べるとハイブリッドドライブ、IRST構成ともに値は良好だ。シーケンシャルリード/ライトのピーク速度はハイブリッドドライブのNANDフラッシュ、ランダムアクセスの4K/4K QD32テストはNCQ効果も含めてIRST構成のSSD効果がかなり発揮された結果となった。

 起動/スリープ時間は以下の通り。ストップウォッチで5回計測し、その最速値を並べた。

photo ストレージ種類別 Windows 8 起動/スリープ時間の比較

 起動/シャットダウンおよび休止状態(ハイバネーション)移行/復帰の時間は、ハイブリッドドライブかIRST構成の選択でかなり短縮されることが分かる。HDDモデル比でハイブリッドドライブモデルは約215%、IRSTモデルは約205%、休止状態復帰時間もハイブリッドドライブモデルは約130%、IRSTモデルは約134%ほど高速だった。

 Windows 8の起動時間は同構成であってもWindows 7よりかなり高速化されたこともあり、HDDモデルも30秒ほどとなかなか速い。ただ、起動/復帰時間意外に、普段のPC操作もSSD搭載PCのような快適な操作性を比較的低価格で実現できる点は大きなメリットと言える。

 このほかのベンチマークテストもついでに。

photophoto Windows 8 エクスペリエンスインデックスの結果(左)、PCMark7の結果(右)
photophotophoto PCMarkVantageの結果(左)、3DMarkVantageの結果(中央)、3DMark06の結果(右)

 クアッドコアのCore i7-3660QM、8Gバイトのメインメモリ、外部GPUのGeForce GT 630M(IRSTモデルを除く。IRSTモデルはCPU統合のHD Graphics 4000を用いる)を実装する今回の評価機は、基本的にかなり高性能志向な仕様。家庭で使うプライベートPCとしては今後数年はさほど不満なく使用できるであろうパフォーマンスを持っている。

photo dynabook Satellite T772 ハイブリッドドライブモデル(PT7726TGBNBW)評価機のデバイスマネージャ画面の一部
photo dynabook Satellite T652 ハイブリッドドライブモデル(PT6526VGBNBW)評価機のデバイスマネージャ画面の一部
photo dynabook Satellite T652 IRSTモデル(PT6525UGBNBW)評価機のデバイスマネージャ画面の一部
photo dynabook Satellite T652 HDDモデル(PT6525VGBNBW)評価機のデバイスマネージャ画面の一部


photo

 ではどの種類のストレージを選ぶか。やはりポイントはコストパフォーマンスが優れるか否かだ。

 2012年末現在、1Tバイトクラスはおろか、512GバイトクラスのSSDを実装するのも実売3万円〜5万円ほどとコストはまだかさむ傾向で、リアルモバイルノートPC用、およびそれを含めて特にハイスペックを望むこだわりユーザーでなければ少々手は出しにくい。その点、1Tバイトのハイブリッドドライブモデルは750GバイトHDDモデル比でプラス1万円程度より導入できる。

 もっとも、ハイブリッドドライブといえど速度は現時点最新のSSDにはかなわない。ただ、2008〜2009年ごろのSSDと性能は同等──と考えるとどうだろう。当然HDDのため、容量は安心してガンガン保存できる1Tバイト。コストパフォーマンスはかなり優れると思われ、A4スタンダード/実売10万円以下といったモデルにおいても、高解像度の写真編集・管理や映像編集といったプラスαのパフォーマンスを望むユーザーにとてもマッチする選択肢である。

 一方のIRST構成について、今回のdynabook Satellite T652(2012年秋冬モデル)においては、ランダムアクセス性能に優れるデータ転送速度を見るとこちらも悩ましい。IRSTモデルは別途SSDモジュールを追加して構成する若干特殊な仕様とはいえ、最初から“ISRT構成モデル”を買えばユーザーはそれを深く意識する必要はない。また、SSDモジュール単体の重量も数グラムであるため、本体重量3キロ弱の本シリーズにおいてはほぼ無視できる差だ。ただ、ストレージ容量はIRSTモデルの750Gバイトに対し、ハイブリッドドライブモデルは1Tバイトとやや多め。また、IRSTモデルは外部GPU搭載の仕様を選択できないといったラインアップの違いが存在する。

 最後に、17.3型のT772か15.6型のT652か。T772は店頭モデルにはないプレミアムな大型ディスプレイ+高解像度(1600×900ドット)+外部GPU+標準8Gバイトメモリによるハイスペックさが魅力。一方、より低価格を望む人、さらにプライベートルームからリビングルームなど自宅内で持ち歩く機会がある人は若干小さなT652のほうがいろいろ利便性がよいだろう。こちらは同等仕様で1万円ほどの価格差程度なので、好みで選択してほしい。

 ともあれ、ハイブリッドドライブは低価格/大容量、そして速度もカバーする点は非常に好ましい。2012年末現在、ハイブリッドドライブはdynabook Satellite T772/T652シリーズのWebオリジナルモデルのみ選択できるが、2013年はコストパフォーマンスのよさから、低価格志向の東芝製Ultrabookやベーシックノートモデルなどにも採用例が増えてきそうである。

dynabook Satellite T772/T652のお勧めモデル

 今回検証したモデルの中からであれば、速度/パフォーマンス/仕様と価格帯のバランスがよいハイブリッドドライブ搭載モデル「dynabook Satellite T652(PT6526VGBNBW)」をひとまず勧めたい。

 Core i7-3630QM+8Gバイトメモリ+GeForce GT 630M+Blu-ray Discドライブ+1Tバイトハイブリッドドライブ+15.6型ワイド液晶+Windows 8搭載で8万8800円(クーポン適用後価格)となれば、なかなか良コスパではなかろうか。



東芝ダイレクト 東芝ダイレクト


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー