「VAIO Duo 11」のパフォーマンスを極限まで引き出す設定とは?VAIO Duo 11ロードテスト(2)(3/3 ページ)

» 2013年02月18日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

TDP Upはグラフィックスのターボ状況に影響あり

CPUは第3世代CoreのTDPが17ワットと低いモデル(下)で、GPUはCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000を利用している。チップセットは1チップ構成のIntel HM76 Express(上)だ

 それでは、これらのテスト結果を考察していこう。まず、CINEBENCH R11.5のレンダリング実行時はGPUコアをほぼ使わず、CPUコアに多大な負荷がかかる。この結果から、TDP Up(VAIO Duo 11における実装の場合)は、シングルスレッドでもマルチスレッドでもCPUコアのターボ状況に影響がないと判断できる。3DMark系のテストでCPUスコアの伸びが鈍い(ほとんど変わらない)ことからも、それは裏付けられる。

 一方、3DMark系のテストでも描画関連の項目では差が出ていることから、GPUコアのターボ状況には影響があると判断できる。TDP Downに関してはCPUコア/内蔵GPUコアどちらのターボ状況にも影響しているが、やはりGPUのほうが影響の度合いが大きい。

 ところで、TDP Downに比べて、TDP Upの効果が低いと思うかもしれない。これには、Turbo Boost 2.0の仕組みを利用していることの限界がある。Turbo Boost 2.0ではあらかじめ上限の動作クロックが決まっており、温度や電力状況にいくら余裕があっても、その上限を超えたオーバークロックは行わないからだ。

VAIO Duo 11に搭載されたメインボードの表(上)と裏(下)。CPUとチップセットの熱は銅製のヒートパイプで細かなフィンが付いたヒートシンクに運ばれ、ファンでしっかり空冷される

 要するに、VAIO Duo 11では標準状態でCPUコアのパフォーマンスをほぼ使い切れる熱設計となっているので、TDP枠を25ワットまで解放してもCPU性能にはほぼ影響がなく、グラフィックス性能が少し上昇するのみにとどまっている。

 これはVAIO Duo 11の「標準」設定がもともと「パフォーマンス優先」寄りの内容になっていることもあるが、だいたいのノートPCはこうしたチューニングになっているはずだ。標準状態でベンチマークテストを行えば、同じCPUを搭載しているノートPCはどれも似たようなスコアになることがそれを表している。

 例えば、インテルがTurbo Boost 2.0の上限クロックを取り払うか、あるいはPCメーカーがよりアグレッシブにcTDPを活用すること(TDP 14ワットを標準設定にするなど)が許されるならば、「機動戦士ガンダム00」の「トランザムシステム」のように、TDPのUp/Downによってガツンとパフォーマンスが変化するようなPCも実現可能だろう。

 それはそれで面白いかもしれないが、標準状態ではCPU名から期待できるようなパフォーマンスが得られなくなり、そういうことが一般化すれば、CPUの名称が標準状態での性能の目安とならなくなるため、ユーザーにとって歓迎できることなのかどうか、微妙ではある。

手軽に3D描画性能を“ちょい足し”できるVAIO Duo 11

 結局、ガンダム00の「イオリア計画」……いや、cTDPの設定を変えたところで「爆速だぜ!」とテンションが上がるまでの状況には至らないことが分かった。

 とはいえ、3D描画性能は少しではあるが、確実にアップすることも確認できた。また、TDP Downはモバイルシーンなどで消費電力を抑えるのに効果的だ。cTDPを生かすことで、キーボードモードとタブレットモード、それぞれに最適なパフォーマンスと省電力の設定を提供できる仕組みが整っているのは特筆できる。

 さらに、VAIO Duo 11では難しいことを考えず、「VAIOの設定」から「本体の冷却とパフォーマンス」を切り替えるだけでcTDPの機能が使えるため、例えばゲームをプレイしたいときにサッと設定を変更して描画性能を“ちょい足し”できる。ワンアクションで素早く変形できる独自のスライド機構もそうだが、こうした高度な機能を手軽に使えるよう作り込んでいることが、製品の価値を高めているのだ。

・→VAIO Duo 11ロードテスト(3):「VAIO Duo 11」を静かな場所で快適に使うテクニック

←・VAIO Duo 11ロードテスト(1):「VAIO Duo 11」2013年春モデルの最強構成を速攻でテストする

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月22日 更新
  1. 文字起こしと要約がずっと無料のAIボイスレコーダー「Comu Action Pro」発売 9月20日まで2万9800円 (2026年08月20日)
  2. 総メモリ748GB、AI性能20PFLOPS! デルがGB300搭載のワークステーション「Dell Pro Max with GB300」を発売 (2026年08月20日)
  3. 全部入りの「Rokid」か、特化型の「Even G2」「Ray-Ban Meta」か? 注目スマートグラス3製品を徹底比較 (2026年08月21日)
  4. RTX 5080は30万円の時代へ――止まらないグラボ高騰の中で6万円台前半の16GB版Radeon RX 9060 XTなど、お盆明けアキバ事情 (2026年08月22日)
  5. “23万円台の最新Let's note”を自らの手で組み上げる! パナソニック コネクト「手づくりレッツノート工房2026」体験記 (2026年08月21日)
  6. ゼンハイザーがaptX Adaptiveをサポートし、ユーザー自身でバッテリー交換も可能になった高性能ワイヤレスイヤフォン「MOMENTUM True Wireless 5」 (2026年08月20日)
  7. ビジネスシーンにもなじむチタンボディー! 本格ランウォッチ「Amazfit Cheetah 2 Pro」を日常使いしてみた (2026年08月19日)
  8. 上下2画面で21型相当の圧倒的作業領域! 実売約7万円で手に入るサンコーの2画面モバイルディスプレイを試す (2026年08月20日)
  9. EIZO、航空管制業務用の32型4K液晶ディスプレイ (2026年08月21日)
  10. サンワ、USBハブ+引き出しを備えたディスプレイ台 (2026年08月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー