では通信性能をチェックしよう。
今回は前モデルのURoad-SS10、ライバル機種のAtermWM3800Rとともに、強電界エリアは東京・都営新宿線/曙橋駅構内、弱電界エリアは東京都新宿区の某地下連絡通路にて、「GALAXY Note 2 SC-02E」を使用して計5回、同日ほぼ同時間帯に実通信速度を測定した。
なお、WiMAXは2011年末より順次、地下鉄駅/トンネル区間のエリア整備を進めている。これまで使えなかった地下トンネル区間も利用可能になるということでユーザーの利便性が格段に増したのはもちろん、基地局を目視できる強電界エリアで使用しやすく(探しやすく)なったのもモバイラーとしてうれしい施策である。蛇足だが……。
強電界では下り最大26.02Mbps/平均21.95Mbps、上り最大7.52Mbps/平均7.49Mbpsで、URoad-SS10比で下り平均130%、AtermWM3800R比で下り平均89%という結果だった。弱電界エリアでは下り最大2.92Mbps/平均2.16Mbps、上り最大1.3Mbps/平均1.08Mbpsとなった。
URoadシリーズの特長として、従来より弱電界での通信が“ねばって良好”という評価があった。本機はSS10と比べると値は若干低めだが、WM3800Rよりは良好という結果。SS10とは異なる省電力志向の最新チップに変更したとのことだが、この特性はそれとなく引き継いでいると思える。ちなみに今回の弱電界エリアは、あと1メートル奥へ行くと圏外になる“ギリギリエリア”であり、他機種は計測中にふと圏外になってしまうので位置の移動調整が難しかったが、本機を含むURoadシリーズの2モデルは電波を掴んだままだったので測定が楽であった。
冒頭で「フルスペックと呼ぶにふさわしい」と述べた本機だが、改めて実検証においてもヘビーなモバイルユーザーも納得させる仕様と性能を持っていることが分かった。
あえて不満点を挙げるならば、(前モデルから引き継ぎとなる)「情報表示インジケータの視認性があまりよくない」こと、そして上面/底面ともに中央が膨らんでいる造形のため「経年でキズが付きやすいと思われる」ことか。
特に情報表示ディスプレイについては、ライバル機種になるAtermWM3800Rが万人にくっきり見やすい有機ELディスプレイを採用し、その点を改善したことを考慮すると若干の心残りがある。視認性そのもの以外に、本機はポータブルルータ初となる「タイマー起動/休止機能」を搭載するが、この機能が有効になっているかどうかを機器単体ではチェックする手段がなかったりするのがもったいない。もっとも、スマホアプリ「URoad Magic」により手元のスマートフォンで電波状況やバッテリー残量、公衆無線LANモード切り替えなどを操作できるので、バッグに入れっぱなしにする使い方をする人であればまぁ大丈夫と評価してもよいか。
ともあれURoad-Aeroは、WiMAXの通信性能や休止状態からの復帰の早さなど、基本性能に優れていたURoadシリーズの特長を生かしつつ、驚くほどボディの薄型軽量化とさらなる長時間動作、スマホアプリ対応、そしてこれまで非対応となっていた有線LAN接続+クレードルや公衆無線LAN、USB接続に対応した、現時点「ほぼフルスペック」のWiMAXルータだ。こういう機器があるならば、WiMAXを使いたい/使い続けたいと思える文句なしの1台である。
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