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» 2013年06月27日 21時51分 公開

PS4もXbox OneもAMDはいってる:2013年末、いよいよ“新生AMD”が新たなステージへ (3/3)

[本間文,ITmedia]
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コンピューティングの変化に合わせてロードマップを柔軟に更新

 ペーパーマスター氏は「現在、AMDには長期ロードマップは存在しない」とし、めまぐるしく変化するパーソナルコンピューティング市場にマッチしたAPUやSoCを開発できるよう、定期的にロードマップの更新を行っていると説明する。

 むろん、「CPUコアやGPUアーキテクチャといった要素技術については、長期的な計画を持っているが、それすらも市場ニーズにあわせて変更できる体制を取っている」とし、臨機応変な開発体制を敷いていることを示唆する。

 AMDは現在、重機の名前を冠した高性能CPUコアと、ネコ科の動物の名前を冠した省電力CPUコアを並行して開発している。これに2014年からはARMコアが加わることになり、用途やターゲットとなる市場にあわせて、これらのCPUコアを使い分けていくことになる。

重機の名前が冠されるAMDの高性能プロセッサ向けCPUコアロードマップ(画面=左)。ネコ科の動物の名前が冠されるAMDの省電力プロセッサ向けCPUコアロードマップ(画面=右)

 当初AMDは、ARMコアを高密度サーバ向け製品だけに展開する意向を示していたが、最近ではタブレット向けなどのクライアント製品にARMコアを採用する可能性も否定しないようになった。ただし、AMDブランドとしての製品展開では、タブレット向けSoCまでが範疇となり、スマートフォン向けのSoCに同社のIPが利用されるとすれば、それはパートナーブランドでの展開になるとみられている。

 これは、スマートフォン向けSoCで不可欠となるLTE/3GモデムなどのIPをAMDが所有していない現状では、自社ブランドでスマートフォンまでSoCビジネスの裾野を広げるのはリスクが高いためだ。

 その一方で、スマートフォンやタブレット向けSoCでは、ますますGPUの重要性が高まっており、業界関係者から「最近はAMDやNVIDIAにもGPUコアのライセンス契約の話が持ち込まれている」と指摘されているように、近い将来、同社のセミ・カスタム・プロセッサ・ビジネスにスマートフォン市場向け製品が加わっても不思議ではない。


 さて、今後のAMDのクライアントAPU/CPUロードマップを見ていくと、2013年末に市場投入される“Kaveri”にも不透明な部分が出てくる。

COMPUTEX TAIPEI 2013で公開されたKaveri

 COMPUTEX TAIPEI 2013におけるAMDの発表会で、同社の製品ビジネスを統括するリサ・スー上級副社長は、KaveriをSoCと発言し、OEMベンダー関係者からも「Kaveri対応マザーボードは、シングルソケットでチップセットがない」という話が漏れてきている。

 その一方で、AMDは現行のAMD A10などで採用しているSocket FM2の発表時に、できるだけ長い期間、同プラットフォームを利用できるようにする意向を示しており、Kaveriで採用される「Socket FM2+」でも、Socket AM3から同AM3+プラットフォームへの移行時と同様に、(一部機能に制限が設けられても)現行APUプラットフォームとの互換性は保たれるとみられてきた。

 このため、「AMDはKaveriでSoC版と、より高機能なプラットフォーム向けにFM2+版の2種類を用意する可能性がある」と考えるOEM関係者もおり、同APUのプラットフォームについては、情報が錯綜(さくそう)している状況だ。

 これは、同社のデスクトップAPUロードマップが揺らいでいることとも無関係ではない。現在、デスクトップCPUのフラグシッププラットフォームであるSocket FM3+には、Kaveriで採用される次世代CPUアーキテクチャのSteamrollerコアを採用した製品計画が存在しないとされている。

 また、AMDは2014年末〜2015年に、次世代メモリへの対応を検討しており、必然的にプラットフォームを転換する必要がある。同社はそのタイミングで、現在2種類に分かれているプラットフォームを1つに統合する方針を持っているともされており、このことも同社のデスクトップロードマップを確定しづらくしている要因だ。

ノートPC/タブレット向けAPUロードマップ(画面=左)。デスクトップAPU/CPUロードマップ。KaveriのプラットフォームとしてSocket FM2+の名前も公開された(画面=右)

サーバ向けAPU/CPUロードマップ。ARM Cortex-A15を採用する“Seattle”など、2014年の製品計画が披露された(画面=左)。2012年6月の時点では、AMDは28ナノメートルプロセス世代で、サーバや高性能デスクトップCPUプラットフォームの転換を計画していた

 このため、AMDのデスクトッププラットフォームにおけるKaveriの役割は、さらに重要になってくる。AMDは、現時点ではKaveriで4つx86 CPUコア(正確には2 Steamrollerモジュール)を統合し、GPUコアはGCN(Graphics Core Next)世代になること以外は明らかにしていない。

 しかし、先に公開されたKaveriと半導体設計を共用するサーバ向けAPU「Berlin」(開発コード名)の仕様からも分かるとおり、KaveriでもPCI Express 3.0対応が果たされ、512基のRadeonコアが統合されるとみられる。

 つまりは、現行のミドルレンジグラフィックスカードであるRadeon HD 7750に準じるGPU性能がAPUに統合され、HSAのサポートにより、その性能がグラフィックスだけでなく、汎用コンピューティングにも活用されることになる。

 2013年末には、KabiniやTemashの技術が生かされた、セミ・カスタム・プロセッサを搭載するプレイステーション4やXbox Oneが市場投入されるとともに、Kaveriの投入とHSA環境の立ち上げにより、新生AMDのビジネスモデルは次のステージへと踏み出す。

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