次にWindows 8環境下でベンチマークテストを行った。11インチ/13インチの両モデルにBootCampで64ビット版Windows 8 Proをインストールし、アップルのWindows Supportを導入している(BootCampドライバのバージョンは5.0 Build 5241)。また、旧MacBook Airに加え、ソニーの超軽量Ultrabook「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」も比較対象として並べた(なお、旧MacBook AirのOSはWindows 7かつBootCampドライバも統一していないので参考程度に留めてほしい)。
型番 | 新型11インチ(MD711J/A) | 新型13インチ(MD760J/A) | 旧型11インチ(MD224J/A) | 旧型13インチ(MD232J/A) |
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CPU | Core i5-4250U(1.3GHz/最大2.6GHz) | Core i5-4250U(1.3GHz/最大2.6GHz) | Core i5-3317U (1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i5-3427U (1.8GHz/最大2.8GH) |
メモリ | 4GB LPDDR3 1600MHz(1.2V) | 4GB LPDDR3 1600MHz(1.2V) | 4GB DDR3L 1600MHz(1.35V) | 4GB DDR3L 1600MHz(1.35V) |
SSD | 128GB(PCIe x2/SD0128F) | 128GB(PCIe x2/SM0128F) | 128GB(SATA 6Gbps) | 256GB(SATA 6Gbps) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 5000 | Intel HD Graphics 5000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 |
ディスプレイ | 11.6型ワイド(1366×768ドット) | 13.3型ワイド(1440×900ドット) | 11.6型ワイド(1366×768ドット) | 13.3型ワイド(1440×900ドット) |
登場時の価格 | 9万8800円 | 10万8800円 | 9万4800円 | 12万8800円 |
型番 | VAIO Pro 11(SVP11218CJBI) | VAIO Pro 13(SVP13219CJB) | VAIO Pro 13(SVP1321A1J/直販CTO) |
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CPU | Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz) | Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz) | Core i7-4500U(1.8GHz/最大3GHz) |
メモリ | 4GB DDR3L 1600MHz(1.35V) | 4GB DDR3L 1600MHz(1.35V) | 8GB DDR3L 1600MHz(1.35V) |
SSD | 256GB(SATA 6Gbps)※製品版では128GB | 128GB(SATA 6Gbps) | 512GB(PCIe x4) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 |
ディスプレイ | 11.6型ワイド(1920×1080ドット) | 13.3型ワイド(1920×1080ドット) | 13.3型ワイド(1920×1080ドット) |
登場時の価格 | 15万円前後 | 17万円前後 | 21万7800円 |
Windowsエクスペリエンスインデックスの結果は以下の通りだ。新型MacBook ProのCPUとメモリのスコアは、11インチと13インチでそれぞれ6.9、5.9で同じだが、グラフィックスとプライマリハードディスクの値がわずかに異なっている。プライマリハードディスクは、M.2規格(PCIe x2)のSSDを採用していることもあって、11インチモデルが8.2、13インチモデルが8.3と非常に高い。
CrystalDiskMarkの結果を見ると、11インチモデルはシーケンシャルリードで622Mバイト/秒、シーケンシャルライトで329Mバイト/秒、13インチモデルはそれぞれ681Mバイト/秒、460Mバイト/秒という結果となった。OS X環境下で実施したDisk Speed Testと同じく、SD0128FはSM0128Fよりも明らかに劣っている。マルチベンダーなので必ずしも評価機と同じSSDが搭載されるとは限らず、どちらのSSDになるかは運次第だろう。
もっとも、SATA 6Gbps接続のSSDを搭載する旧型やVAIO Pro(店頭モデル)と比較すると、シーケンシャルリードでSATAの帯域を超える600Mバイト/秒以上の転送速度を実現しており、次世代SSDの速さが光る。なお、PCIe x4接続のSSDを採用したVAIO Pro 13の直販カスタムモデル(SVP1321A1J)は完全に頭1つ抜けた結果となった。
PCの一般的な用途をシミュレートすることで総合的なシステム性能を測るPCMark 7では、全般的にストレージ性能がスコアに反映されやすいこともあり、PCIe接続のSSDを採用する新型MacBook AirとVAIO Pro 13のオーナーメードモデルがトップ3を占め、CPUとGPUの演算処理が多いComputationでも高いスコアをマークした。新旧MacBook Airの総合スコアを比較すると、スコア差は12〜16%と10%以上の伸びを見せており、個別のスコアも高い値でまとまっているのが分かる。
一方、グラフィックス性能を測る3DMark 11と3DMark Vantage(ともにPerformanceのスコアを掲載)の結果では、Intel HD Graphics 4000/4400の倍のシェーダユニットを持つIntel HD Graphics 5000の影響がはっきりと現れている。新/旧MacBook Airを比較すると、3DMark 11のGraphicsスコアで1.8倍〜2倍の差がついた。3DMark Vantage(Performance)も同様の傾向を示し、旧モデルに比べGPUスコアで1.3倍〜1.5倍、VAIO Proとはそれ以上の差をつけている。ボディの制約上、外部GPUを載せづらいこの手の薄型ノートPCでは、グラフィックス性能の強化もうれしいポイントだ。
続いて、実際のゲームタイトルを用いたテストとしてモンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】とストリートファイターIVベンチマークを試した。結果は、ストリートファイターIVベンチマーク(1280×720ドット/エフェクトオフ/フルスクリーン)で1万前後という結果。平均フレームレートもちょうど60fpsを少し回る程度だった。一方、モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】(1280×720ドット/ミュート/フルスクリーン)はVAIO Proに差をつけ、新型MacBook Airのみ3000を超えている。さすがに統合GPUで高負荷な最新ゲームをプレイするには厳しいという印象だが、古めのゲームタイトルでエフェクトを調整すればプレイ可能なポテンシャルはありそうだ。
Haswell世代の新型MacBook Airを眺めて改めて思ったのは、このモデルが非常に保守的な製品だということだ。液晶の高画素密度化やタッチパネル化は見送られ、インテルがUltrabookで推し進める2in1スタイルを意に介することなく、クラムシェルタイプのアルミユニボディを引き続き採用している。また、CPU処理性能だけをとってみると、アーキテクチャの刷新に伴う性能向上はほとんど見られない。
ただしその一方で、ディスプレイを開けばどこでも即座に使える高速応答性を新技術のSSDでさらに追求し、第4世代Coreの優れた電力効率によってバッテリー駆動時間を4〜5時間も延長しており、モバイルノートPCにとって絶対的な必要な要素はがっちりと強化している。それでいて10万円を切るエントリー向けの価格帯も変わらず維持している。もしこの新しいMacBook Airを見て「なんだか面白味に欠ける」と感じるのなら、それは“当たり前のことを当たり前にやっている”製品だからだろう。
2008年に登場した初代MacBook Air(「MacBook Airから見える新しい風景」)を改めて振り返ってみると、Airに“保守的”という印象を抱いてしまうことに驚かされる。初代MacBook Airは、(当時としては)機能を限りなくそぎ落とし、先鋭化したコンセプトを持つ特殊な製品だと思われていた。もちろん、非常に高価だったことも無関係ではないが、上に挙げた林信行氏のレビューを読むと、とても万人向けとは言いがたい雰囲気がある。しかし、現在はMacBook Airユーザーをそこかしこで見つけることができる。Air以降に登場したUltrabookの多くがその影響から逃れられなかったことを指摘するまでもなく、アップルがMacBook Airで目指したモバイルノートPCの“理想の姿”は正しかったと言えるだろう。コストパフォーマンスに優れ、使いやすい、万人向けのモバイルノートPCを探しているのなら、MacBook Airの最新モデルは間違いなく“鉄板”の選択肢だ(アルミです)。
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