「Samsung SSD 840 EVO」徹底検証――“TurboWrite”で下克上の性能を発揮か?もはや普及モデルのSSDではない(6/6 ページ)

» 2013年07月26日 00時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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消費電力の計測結果

 最後に消費電力を調べてみた。アイドル時のほか、テキストファイルと静止画(JPEG)で構成した合計500Mバイトのリード/ライト時における消費電力と、2〜3Gバイトの動画ファイル(MP4)で構成した合計約10Gバイトのリード/ライト時における消費電力を計測している。

 アイドル時の消費電力は0.6ワットだった。省電力で定評のある840、840 PROよりもさらに下回ったのは立派だ。ただし、その他は全般に高めとなった。これはターボバッファの影響もある。テキストと静止画の書き込み時は、エクスプローラ上で終了するまでは1.7ワットだったが、その後しばらくして2.3ワットまで上昇した。これはターボバッファから通常記録領域への書き込みによるものだろう。

 動画の書き込み時も、エクスプローラ上での書き込みが終わった後に2.5〜3.5ワット程度の電力で推移していた。公称スペックでも動作時の消費電力は840や840 PROより高い(100ミリワット)が、やはり2段階に書き込み作業が行われるだけに多少オーバーヘッドがある。

 ただし、ピークの電力は低い。最も負荷がかかる動画ファイルの書き込みが4.2ワットと低いのは最新コントローラ、最新プロセスルールのNANDフラッシュ採用モデルならではといえるだろうか。いずれにしても省電力のレベルは高い。

動作時の消費電力 単位:ワット
製品名 Samsung SSD 840 EVO(MZ-7TE250B/IT) Samsund SSD 840(MZ-7TD250B/IT) Samsung SSD 840 PRO(MZ-7PD256B/IT)
アイドル時 0.6 0.7 0.7
テキストJPEG読み出し 1.8 1.5 1.4
テキストJPEG書き込み 2.3 1.6 1.5
動画読み出し 2.7 2.3 2.3
動画書き込み 4.2 5.6 4.8

動作時の消費電力

普及価格帯モデルから現行トップクラスの高性能へ

 以上、840 EVOを一通りテストした。TurboWrite Technologyの威力は絶大だが、決してそれだけではなく、ランダムアクセス性能の強化も実に効果的に作用している。特に大容量データの転送も含めてPCの実利用をシミュレートするPCMark系テストでは、好成績を収めたことを強調したい。

 先代の840は普及価格帯モデルなりの性能という印象だったが、840 EVOは一気に現行のSerial ATA SSDでトップクラスの性能を持つ存在へと飛躍したといえる。もちろん、ターボバッファは容量に限りがあるため、用途によって向き不向きはあるが、一般的なユーザーならば特に意識する必要もなさそうだ。

 また、ファームウェアのアップデートやOS設定の最適化などが簡単に行えるユーティリティ、データ移行ソフトが付属する点も大きなストロングポイントとなる。

 このように840 EVOは、価格次第ではSSD市場の勢力図を一気に塗り替えるだけのポテンシャルを秘めるが、7月25日にITGマーケティングから発表された予想実売価格を見ると、840 PROの販売価格とあまり差がなく、840に比べて少々割高感がある。今回テストした256Gバイトモデル(ベーシックモデルのMZ-7TE250B/IT)は2万1000円前後の見込みだ。つまり、性能だけでなく、価格帯も840 PROに近くなっている。

 もっとも、発表されたばかりの新製品なので、当面はこうした値付けも仕方がないだろう。840や840 PROでみられたように、少し時間がたてば価格もこなれてくると思われる。19ナノメートルプロセスルールの3ビットMLC、しかも128Gビットチップ採用と、コスト競争力は相当に高そうな構造だけに、今後の推移を期待して見守りたいところだ。

Windowsユーティリティ「Magician」が使えるのもSamsung SSDの魅力だ。ファームウェアのオンラインアップデートのほか、スーパーフェッチのようにSSD搭載システムでは不要な機能をオフにするなど、OSの設定を最適化する機能も便利だ。オーバープロビジョニングの手動設定や高速化機能(RAPID)なども用意されており、入門者だけでなくマニアでも楽しめる内容だ

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