ペンと組み合わせるアプリ環境も充実している。中でも実用性で特筆できるのが、VAIOオリジナルの「VAIO Inspiration Suite」だ。ペンを活用した発想の支援をテーマにしたアプリ群で、「VAIO Scan」「VAIO Clip」「VAIO Paper」という3つのWindowsストアアプリで構成されている。
従来の「CamScanner」に代わってSuite入りした「VAIO Scan」は、内蔵カメラを使って素材を取り込むスキャンツールだ。台形補正や画質補正などの便利な機能があり、書類や名刺などを簡単できれいに取り込むことができ、日本語OCR機能も搭載している。
また、「VAIO Clip」はペン対応の画面クリッピングツールで、キーボードのCtrl+F1キーやペンの下ボタンからも起動できる。ペンを活用したエッジ検出機能が特徴で、除外したい(あるいは追加したい)部分をペンでなぞって選択することにより、微妙な輪郭も手軽に選択することが可能だ。
「VAIO Paper」は、シンプルな手書き対応のノートアプリだ。手書きメモ、テキストだけでなく写真の貼り付け、音声メモの保存もできる。十字に展開する独特のツールパレットが特徴だ。ペンの上ボタンを押していると消しゴムツール、下ボタンを押していると選択ツールとして使える点が使いやすさを増している。
VAIO ScanやVAIO Clipで取り込み、加工したコンテンツは、VAIO Paperに簡単な手順で送ることができる。VAIO Fit 11Aの2in1である利点、ペンによる手書きができる利点を生かせるプラットフォームとして、実によくできている印象だ。
ただし、VAIO Fit 11AはVAIO Fit 13Aに比べて、レスポンスが遅れる場面も見られるので、ビジネスで本格的に活用したいならば、VAIO Fit 13Aやスライドボディの13.3型2in1デバイスである「VAIO Duo 13」を検討したい。
VAIO Fit 11Aはフォトレタッチソフトの「Adobe Photoshop Elements 12」も付属している(VOMモデルにも付属し、省くことができない)。2014年春のアップデートにより、Photoshop Elements 12をはじめ、プロ用のPhotoshop CCとIllustrator CCがVAIOのペンを使った筆圧検知に対応する予定だ。クリエイティブユースで活用したい場合、このアップデートは見逃せない。
また、独自の検索用デスクトップアプリ「VAIOタッチサーチ」も備えている。ペンやタッチで画面上に書き込んだ文字を認識し、Webページ、インストール済みのアプリ、ローカルフォルダ、写真や音楽ファイルを1度に検索できるデスクトップアプリだ。
2013年夏以降にリリースされた現行世代のVAIOシリーズ(VAIO Pro 11/13、VAIO Duo 13、VAIO Fit Aなど)は、液晶ディスプレイやサウンド、キーボードなど、スペック表を見ただけでは分からない部分までクオリティが高く、購入したユーザーの満足感も高いと思われる。
このよさを受け継いだ2in1のエントリーモデルとなるVAIO Fit 11Aも完成度は高い。第4世代Core搭載の上位機種と比較した場合、CPUパフォーマンスと密接に関わる部分では譲る部分もあるが、手ごろなサイズと2in1+ペンの使い勝手、そして求めやすい価格をうまくバランスさせている。
ソニーストアで購入できるVAIOオーナーメード(VOM)モデルは、9万7800円(税込)と10万円を切る価格から購入でき、Pentium N3520(2.166GHz/最大2.42GHz)、8Gバイトメモリ、256GバイトSSDを搭載したハイスペックな構成でも13万6800円(税込)におさまる。
ソニーとして発売されるVAIOノートは2014年春モデルが最後になるが、Webならびに電話による技術サポート、修理対応は販売終了後も継続される(VOMモデルの標準保証は3年間)。コンパクトで扱いやすいノートPC/2in1を探しているならば、ぜひ検討してもらいたい製品だ。
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