マイペースながらも状況が進展しつつあるWindows Bridge for iOSに対し、現在状況がほとんど見えなくなってしまっているのがWindows Bridge for Androidだ。
これについては、2015年11月に米Windows Centralが関係者の情報として報じているが、9月以降プロジェクトの現状や将来の計画についてほぼ沈黙している状態で、これは秘密保持契約が結ばれた関係者であっても同様だという。
さらに、現状で製品版のWindows 10 Mobileとして配布されている「Build 10586.xx」からは、Windows Bridge for Androidで必要になるAndroidサブシステムが省かれており、ツールを使ってコンバートされたUWPアプリをOS上で実行できない状態とのことだ。
コンバートとはいいつつも、ユーザーの手作業が比較的入るWindows Bridge for iOSに対し、Windows Bridge for Androidは(Androidアプリの実行ファイルである)APKをそのまま読み込んでOSのサブシステム上で実行してしまうという“力業”に近い仕組みで、Windows 10(Mobile)上でAndroid OSの挙動をほぼエミュレートする必要がある。
つまり、検証や開発の負担が大きく、この調整に苦戦していると説明されても十分に納得できる。Windows Centralの記事では「提供は当面先」「最悪のケースも想定」といった内容で締められており、もう少し経過を観察する必要がありそうだ。
このようにWindows Bridgeの計画は遅れが目立ってきた。既に提供されているWebアプリケーションのポーティング施策「Windows Bridge for Web apps(Project Westminster)を除き、残る3つのWindows Bridgeは2016年後半まで実用的なレベルで形になって出てくるのが難しい状況だろう。
「Windows 10(特にWindows 10 Mobile)のアプリ不足を補う」ことを目的としたWindows Bridge戦略は、残念ながら破綻しつつあり、これに関しては早急にMicrosoft自らがフォローする必要があると考える。
一方で「レガシーアプリケーションを移管していく」という別の目的を持った4つ目のWindows Bridgeである「Windows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)」は、将来的なWindows 7世代までのアプリケーション資産退役に向けた最終兵器として重要だ。こちらもWindows 7からの移行が本格化する2017年くらいまでのタイミングには、ある程度の形で出てきてほしい。
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