ドコモが感じたARの「3つの課題」と新たな取り組みワイヤレスジャパン2010(2/2 ページ)

» 2010年07月21日 15時10分 公開
[山田祐介,ITmedia]
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photo NTTドコモの長谷川慎氏

 ドコモがARに取り組む背景として、同社のサービス&ソリューション開発部サービス連携基盤担当の長谷川慎氏は、近年の携帯電話における3つのトレンドを説明する。1つは、GPSや電子コンパスなど多様なセンサーを搭載し、端末が“センサーハブ化”していることだ。さらに、LTEをはじめとする“ネットワークの高速化”や、“クラウドサービスの広がり”にも着目し、「これらが携帯電話アプリの可能性を広げる」と話す。特にARに関しては、スマートフォンの登場以降、センサーが充実する傾向が強まっている中で、「これらのセンサーをいかにうまく使うか」という意識から注目したという。

 こうした考えから直感・検索ナビを開発した同社だが、長谷川氏は取り組みを通じて「モバイルARの3つの課題」が浮かび上がったと話す。その3つとは、(1)コンテンツの充実、(2)ライフスタイルの定着、(3)手軽さや楽しさの強化、だ。特にライフスタイルの定着は「ARにとって一番大きい課題かもしれない」と同氏は話す。同社の独自調査では、電車内や混み合った場所でケータイをかざす行為に、5割以上のユーザーが抵抗感を覚えるとの結果が出たという。QRコードを読み込むような利用法とは違い、街中で携帯をかざす行為は写真や動画を撮影しているようにも見え、周囲の目が気になりがちだ。

 そこで、直感・検索ナビの後継サービスでは、これらの課題を解決する試みがなされている。まず、ゴルフ版直感ナビでは利用シーンをゴルフ場という施設内に限定することで、抵抗感なく端末をかざしてARを楽しめるようにした。

 ゼンリンデータコムと共同開発している直感ナビでは、ゼンリンデータコムの地図サービス「いつもNAVI」が抱える豊富なPOIでコンテンツ不足を解消。将来的にはぐるなびやFooMooなど複数企業のコンテンツを取り入れることで、よりリッチなAR空間を形成していく考えだ。


photo ゼンリンデータコムの神門宏明氏

 さらに直感ナビでは、“かざす”“傾ける”“投げる”といった直感的な操作性を積極的に取り入れ、楽しんでARをユーザーに使ってもらえるように配慮したと、ゼンリンデータコム 営業本部IT・ITS事業部 副部長の神門宏明氏はコメント。また、端末を振った方向のPOIのみを検索する投げ検索機能により、検索に必要な手順の省略を目指したという。

 Twitterとの連携でアプリの利用者以外のユーザーとコミュニケーションできる点も、神門氏は楽しさを演出するポイントとして挙げる。自動で位置やPOIの情報がTwitterに投稿される機能を使うことで、例えば近くにいると分かった友人と食事に行くといったコミュニケーションの機会を創出できると話した。


 NTTドコモは今回のワイヤレスジャパンで、冬商戦向けのPRIMEシリーズ全機種にAR表現を可能にするための機能を搭載することをアナウンスするなど、ARの商用化に向けた動きを徐々に見せている。また、展示ではマーカー型や位置情報型、6軸センサーを使った空間配置型と、複数の表現方法でARに取り組んでいることをアピールした。国内携帯キャリア最大手である同社がARサービスの提供に乗り出せば、ARの認知拡大に大きな影響を及ぼすだろう。

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