ユードーのノウハウを提供します――南雲氏が語る、iOSアプリの作り方と次の一手:ユードー創立10周年から学ぶiOSアプリ開発(1/3 ページ)

» 2013年04月15日 11時58分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ユードーが4月11日、アップルストア銀座で「ユードー創立10周年から学ぶiOSアプリ開発」セミナーを開催。ユードー代表取締役・プロデューサーの南雲玲生氏が同社の歴史を振り返りながら、iOS向けアプリ開発のノウハウや今後の展望を話した。

音楽アプリは趣味に、もっと庶民的なアプリを作ろう

photo ユードー代表取締役・プロデューサーの南雲玲生氏

 「もともとは、作曲家です」と自己紹介をする南雲氏。少年時代からコンピューターに慣れ親しんでいたという同氏は、1980年代からコンピューターを使って作曲し、96年からゲームの音楽を作るようになった。コナミ在職中の97年に同氏が開発した「beatmania」がヒットしたことを皮切りに、音楽ゲームというジャンルが確立した。南雲氏は「90年代は、面白いゲームを作れば売れる良い時代だった」と振り返る。2000年にソニー・コンピュータエンタテインメントと契約し、PS2などのゲームプロジェクトに参加するも、「『ターゲット』『セグメント』とか言われても、カタカナ言葉が分からなかった」ので、2003年に大学受験をしたら合格。同年にユードーを設立し、2008年にiPhoneアプリを開発をスタートさせた。

 「音楽ゲームなら世界共通でイケるよね」(南雲氏)と考え、iPhoneアプリ開発当初は「ピアノマン」「エアロ・ギター」といった音楽アプリを主に手がけていた。しかし、「OSのアップデートやユーザーニーズに応えていくと、どんどんハードルが高くなるし、ユーザーのターゲットはどんどん狭まっていって、袋小路にはまってしまった。楽器メーカーも(iPhoneアプリ事業に)参入しているので、僕たちのやることじゃない。だから音楽アプリは趣味でやりましょう」と方向転換。もっと庶民的なアプリを作ることを目指した。

photophoto 南雲氏の経歴
photophoto コンビニにゲーム付き食玩を置いてもらったことも。ニンテンドーDS向けに「健康検定」も開発していた(写真=左)。iOS向けアプリとして、当初は音楽関連のアプリを開発していた(写真=右)

「斉藤さん」は、未だに1日8000ダウンロードを記録

 この“庶民感覚”を生かしたアプリの中で最もヒットしたのが「斉藤さん」だ。全国の斉藤さんと通話ができるという同アプリでは、アプリを起動して「斉藤さんと話す」をタップすると、全国の斉藤さん(=“斉藤さん”としてアプリに参加した人)につながる。「何も考えずに、斉藤さんに電話ができたら面白いよね、と勢いで作った」という同アプリは、当初は「ダサイ」と酷評されることもあったそうだ。それでも2011年夏のリリース以降、累計ユーザーは数カ月前で520万にまで増え、2013年4月5日時点で1日8000ダウンロードを記録。「今が人気のピーク」だそうで、息の長いヒット作になった。

 ここ最近は、悩みや宣言などを録音して公開→それに対してほかのユーザーが応援→良い応援ができたら相手からポイントをもらえ、Amazonギフト券と交換ができる「応援ください!」、VoIPを使ってその場で質問に答えてもらえる「解決スパッと!」、ほかのユーザーと一緒にデュエットできる「カラオケパーティ」をリリースした。

photophoto 2011年夏のリリース以降、未だに1日8000ダウンロードを記録している「斉藤さん」(写真=左)。「応援ください!」(写真=右)
photophoto 「解決スパッと!」(写真=左)と「カラオケパーティ」(写真=右)

 数多くのユニークなアプリを世に送り届けているユードーは、庶民的なイメージから「自由、ゆるそう」と思われがちだが、「意外と体育会系」(南雲氏)だそう。ディレクターの業務は企画、制作進行、ニュースリリースの作成、売上分析、ユーザーサポートなど多岐に渡り、業務内容はどんどん拡大する。それもあり、特に転職組や中堅で考え方が合わなくて辞めていく人も多いそうだが、一方で20代前半の新卒は伸びしろが大きい。結果、社員が減っても売上が伸びたそうだ。

photophoto ディレクターの仕事内容はどんどん拡大している(写真=左)。上からのプレッシャーも大きいらしい(写真=右)

人気作の後追いはしない

 自由奔放にアプリを開発しているユードーだが、「パズル&ドラゴン」や「LINE」など、人気サービスの後追いはしない。「後追いをすると、資本力のある会社とのパワーゲームを強いられる。『2013年はこれが流行る』といったことは気になるけど、みんなやるから、ちょっと待とうと。競合がいないところでやっている」と南雲氏。

 アイデアを出して実際に開発をするかどうかの基準は「自分(南雲氏)が面白いかどうか」で、マーケティングはしないが、アプリ内課金のフリーミアムモデルとアドネットワークで着実に売上を伸ばしている。運営コストを抑えることにも腐心しており、「(1つのアプリを)サーバ1台や2台で動かすところに、ものすごいモチベーションとエネルギーをかけている」(南雲氏)。ヒット作は「正直なところ半年に1本くらい」だが、オリジナルのアイデアを用いたアプリの方が、ヒットすることが見えてきたという。

 加えて重視するのがApp Storeのレビューだ。ただ、レビューの中には辛辣なコメントも多く、見るのが怖いと感じている開発者も多いのではないだろうか。それでも南雲氏は「☆1や2を付ける人は、そのアプリに対して期待をしているので、決してマイナスじゃない。ユーザーさんの意見は前向きに聞いた方がいい」と訴える。「僕は☆5を付ける人よりも☆1を付ける人のレビューをよく読む。☆1と☆5の両方が付いているのは良いアプリ」

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