吉岡徳仁氏がデザインを手がけたiidaの新機種「X-RAY」は、x-ray=レントゲン線という名前が示すとおり、中身が透けて見えるボディが目を引く。プリント基板や電子部品の形、色、配置を考慮し、外側と内側の両方からデザインされている。上質感を出せるよう、ボディカラーは中身がはっきり見える透明色ではなく、深みのあるRED、BLACK、BLUEの3色を採用した。なお、iida端末にブルーが使われるのがX-RAYが初めて。
ディスプレイ面、キー面、背面、裏面、側面の全方位から部品が透けて見える。中でもこだわったのが、プリント基板を設けた背面だ。ここにはQualcommのチップセット「Snapdragon」が搭載されており、「QUALCOMM 3G CDMA Snapdragon(TM)」と、型番「QSD8650」の文字を肉眼で確認できる。iidaのコンセプトである「LIFE>PHONE」が内部に刻印されているのも芸が細かい。ヒンジ付近にはバイブ用のモーターがあり、バイブが鳴るとモーターが振動している様子まで分かる。「ダミーの部品は1つもない」(説明員)が、すべてが外から見えるわけではなく、隠しているものもある。
ボディには強化ガラスとポリカーボネートを融合させた「タフロンネオαシリーズ」という新素材を携帯電話で初めて使用し、高級感と透明感を表現した。あえて新しい素材を用いたのは、「ポリカーボネートのみだとボディが柔らかくなり、ガラスだけを使うと白っぽくなってしまうため」(説明員)。耐久性については「通常のケータイと同等」だが、「光の当たり方によってはキズが目立つこともある」ようだ。また、ボディは光沢感があるので、指紋が目立つのが気になった。
本体のサイズは約49(幅)×110(高さ)×15.7(厚さ)ミリ、重さは約123グラムで、コンパクトかつ軽量ボディを実現している。最近のケータイでは珍しく、幅が50ミリを切っているのも特筆すべき点だ。小型ボディを優先させたため、防水性能の搭載は見送った。
X-RAYのもう1つの顔となっているのが、時刻や着信情報などが表示される、7×102ドットマトリクスのLEDディスプレイだ。このサイズのLEDディスプレイは存在していなかったため、X-RAY用に開発された。表示されるLEDは赤1色で、表示速度や文字の明るさを設定できる。本体を開閉すると、時刻のテロップが流れ終わるまでの8秒間だけ時刻が表示される。
省電力に配慮し、点灯時間の設定は設けておらず、常時点灯もできないが、充電中は時刻のテロップが常時表示する(ループで流れる)よう設定できる。別売(1000円前後)の卓上ホルダはX-RAYを横向きに置くタイプなので、これにセットすると、簡易デジタル時計としても使える。
表示できる文字は数字とアルファベットで、着信すると、アドレス帳に登録した名前の読み仮名がアルファベットで表示される。メールの件名や本文、EZニュースEXのテロップ、LISMO Playerの再生楽曲などを表示することはできない。
イベントと連動して特定の単語を表示する仕掛けも用意されている。例えば、プロフィールに登録した誕生日になると「HAPPY BRITHDAY」、1月1日には「A HAPPY NEW YEAR」、2月14日には「ST. VALENTINE DAY」、7月7日の七夕には「STAR FESTIVAL」、12月25日には「MERRY CHRISTMAS!」といった単語が、時刻の前に流れる。
なお、X-RAYはフラットな形状を実現するためにサイドキーはいっさい備えておらず、本体を開閉しないと時刻を確認できない。また、auケータイはサイドキーからマナーモードを設定できる機種が多いが、X-RAYはマナーモードも本体を開いて設定する必要がある。このあたりはやや不便な点といえる。
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