発表時に各メディアで大きく取り上げられた、放射線測定機能付きのPANTONE 5。放射線測定機能のみが注目されがちだが、実際は「いろいろなユーザーに満足してもらえるような1台にしたい」という想いから企画がスタートした。
河本氏によると、「この端末でこだわったのは、サイズ、デザイン、カラーです。3.7インチフルワイドVGA液晶を搭載しながらも、横幅58ミリのコンパクトなサイズに仕上げています。さらに、背面をアール状にすることで、女性が片手で使用する際の操作性に配慮しています」とのこと。女性である筆者が手にしても“しっくりくる”と感じた。主なターゲット層が「スマホへの乗り換えが進んでいない主婦層」というのも納得できる。
さらに、見た目としてのかわいらしさも追求している。8色展開のカラバリはもちろん、正面に配置されたボタンにカラーを付けることで、スマホの地味になりがちな正面からのビジュアルに華を添えている。
「106SHに搭載された『Feel UX』はもちろん、プラチナバンド、ワンセグ、赤外線などの日本仕様の機能が入っています。さらには、ウェルカムシートに“お父さん”壁紙を用意し、“お父さん”をタッチすると動く仕掛けも。いまスマホに必要とされている機能はすべで搭載したうえで、このサイズ感。さらに加えて、放射線測定機能を搭載している、という一台です。」(河本氏)
福島第一原子力発電所の事故以来、漠然とした不安感が世の中に蔓延する状況が続いている。「放射線という目にみえないものを“見える化”することで、多くの人が安心感を得られるのではないか」というのが、放射線測定機能を搭載することになった背景だと河本氏は語る
「放射線測定機能は『常時測定』と『しっかり測定』の2つのモードが用意されています。前者は、現在の自分の周りの放射線量を見える化するもので、ユーザー側が設定した基準値を超えたときに音やバイブ、インフォメーションでお知らせするようになっています。後者は、特定の場所の放射線量を見える化するもので、より精度の高い測定をするモードです。測定の精度は星印で評価するようになっており、周囲の放射線量により計測時間は異なります。具体的には、0.05マイクロシーベルトを誤差の範囲である±20%で計測するのに、約30分ほどかかります。しっかり時間をかけて精度を保とうというのが弊社のポリシーです」(河本氏)
そもそもこの放射線測定センサー自体は、シャープのデバイス事業の一環として開発されたもので、「小型化したモジュールができたからこそ、スマホに搭載することが可能になった」(河本氏)そうだ。「自社のモジュールを採用したのは、サイズや省電力性を意識したものがなかったからです。あと、携帯電話の内部には電波がたくさん出ていて、それを遮断するためのシールドをきちんと取り、誤作動しないようにするには自社で作るしかありませんでした」(河本氏)。今後、他の端末に搭載するかどうかは未定だそうだが、期待したいところだ。
先ほどデザインのアクセントとして取り上げた正面のボタンだが、このボタンは放射線測定機能のショートカットキーとして役立つ。ロックを解除した状態で短押しするとアプリが起動するようになっており、「いつでもすぐに測れるように」という配慮からこうなった。また、放射線測定機能だけでなく、カメラの起動やブラウザなど、ほかの機能に置き換えることにも可能だ。
気になるのが、PANTONE 5のバッテリー容量が1460mAhであること。放射線測定機能を使うだけに心配に感じる人も多いはず。この点について林氏は「もちろん待機電力は上がりますが、(放射線測定)センサーがオンになって増えた消費電力に比べると、バックライトや3G通信の方が数百倍電力を消費します。搭載しているモジュールは省電力化していますし、実使用上はあまり影響はありません」と説明する。
もともとは2011年冬商戦向けに投入された「AQOUS PHONE 102SH」の評判が良く、再登場することとなった「AQUOS PHONE 102SH II」。今季は900MHz帯対応に加え、新たなカラバリで登場することとなった。
また、シャープのソフトバンク向け夏モデルの中には、12メガピクセルの光学手ブレ補正カメラに対応した機種がなかったことも、再登場の理由の1つだ。OSのバージョンについては、現在のAndroid 2.3を後日4.0にアップデートできる。その際、従来の「SHホーム」だけでなく、「Feel UX」も使えるようになるという。
いずれの端末も、スペックを見るだけでも十分な作り込みが施されていることが分かる。しかし、実際に使うからこそ利便性が伝わる機能も多々用意されているのが、今期のシャープ端末の特徴といえるだろう。スペックで選ぶか、使い心地で選ぶか。そんな二者択一の時代はすでに過ぎ去り、両者のいいとこどりを実現する端末が、今後続々と登場するに違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.