コラム
» 2012年08月13日 19時01分 UPDATE

ふぉーんなハナシ:米国のLTE通信を体験してきた――実効速度はどれくらい?

先日、米サンフランシスコに出張する機会があったので、VerizonのLTEルーターをレンタルして通信速度を測ってみた。すると、Verizonが掲げる通信速度を上回ったこともあった。これはなぜ?

[田中聡,ITmedia]
photo LTE対応のWi-Fiルーター「MiFi4510L」を使った

 7月に米サンフランシスコに出張した際、現地での通信手段を確保するために、テレコムスクエアのWi-Fiルーターをレンタルすることにした。米国では日本同様にLTEサービスが提供されているので、Verizon Wireless(以下Verizon)のLTEと3G通信に対応したSamsung電子製のWi-Fiルーター「MiFi4510L」をレンタルした。料金は1日1200円から。MiFi4510Lは米国49都市で利用可能とされている。米国ではVerizonが最もLTEのエリア化を進めており、人口カバー率は約75%に上る。ドコモのXiの人口カバー率は2012年度末に約70%なので、数値上は日本よりエリア化が進んでいることになる。

 気になる通信速度は、テレコムスクエアのWebサイト(外部リンク)には下り12Mbps、上り5Mbpsと紹介されている。VerisonのLTEサービスを紹介するWebサイト(外部リンク)では、平均速度が下り5〜12Mbps、上り2〜5Mbpsと紹介されている。……ん? これが理論値だとしたら、日本の3Gサービス(HSPA)よりも遅いことになるが……。VerizonがLTEに利用している帯域幅は10MHz(×2)なので、ドコモのXiやイー・モバイルのEMOBILE LTEと比べて特別劣るものではないはず。あるいは、So-net日本通信が最近開始したLTEサービスのように、LTEには対応しているものの、スピードを3G並みに抑えているのだろうか?

 とにもかくにも通信速度が気になったので、サンフランシスコに到着後、iPhone 4Sでさっそく速度テストを実施した。iPhone 4Sの「モバイルデータ通信」と「データローミング」をオフにして、ルーターのSSIDを選択。続いてルーターの裏側に明記されたパスワードを入力すれば通信が可能になる。サンフランシスコ国際空港の出口付近にあるタクシー乗り場で「Speedtest.net」アプリを使って計測した。日時は7月23日12時30分過ぎ(現地時間)。5回測ったところ、下りは8.56、15.31、10.80、10.27、7.73Mbps、上りは16.74、16.28、8.85、6.18、5.88Mbps。応答速度を測るPINGは93、45、46、48、45ms。いずれもXiの受信感度が良好な場所とほぼ同じだが、上りが15Mbpsを超えたのはXiでもあまり見られなかった。

 宿泊したホテルは空港からタクシーで30分ほどの場所にある。このホテル室内でも速度を測ってみた。到着初日ということで時差ボケが治らず、なぜか翌24日は早朝5時に起きていた。5時過ぎにiPhone 4Sで3回測ったところ、下りは9.05、7.52、9Mbps、上りは12.62、18.35、4.35Mbpsで、利用者が少ない時間帯ということもあってこちらも速かった。Android端末では「Xperia NX SO-02D」をMiFi4510Lに接続させ、Speedtest.netで8時〜9時に3回測ったところ、下りは4.77、7.79、2.36Mbps、上りは9.05、8.51、2.78Mbps。他にも何度か試したところ、下りが1〜2Mbpsで3G並みのケースもあったが、おおむね高い速度を出した。もちろん速度測定だけでなく、ブラウザやGoogle マップなど通信を要するサービスも快適に使えた。

photophotophoto iPhone 4S(写真=左、中)とXperia NX SO-02D(写真=右)での速度結果。意外にも、下りより上りの方が速いことが多い

 なお、計測した場所はいずれもLTE圏内。現在地がLTE圏内かどうかは、MiFi4510L側面に点灯するランプの色で確認できる。側面のランプが緑色に点滅するとLTE、紫色に点灯すると3Gに接続していることを示す。空港とホテルではいずれもランプは緑色に点灯していた。ただ、地下鉄での移動中(トンネルの中も含む)は、さすがに4Gは入らないようで、常時紫色だった。その際、下りの実効速度は1Mbps強だったが、それでも通信できるのはありがたい。

photophotophoto 「MiFi4510L」のディスプレイに受信感度、バッテリー残量、接続台数(最大5台)が表示される(写真=左、中)。LTE接続中は、側面のランプが緑色に点灯する(写真=右)

 以上の結果から、VerizonのLTEの下り5〜12Mbps、上り2〜5Mbpsは実測値をベースにした表記であることが分かる。テレコムスクエアは下り12Mbps/上り5Mbpsを「ベストエフォート値」としているが、実測で下り12Mbps/上り5Mbpsを超えたこともあった。(一部の地域で)下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsと紹介されているXiとEMOBILE LTEと比べると控えめな数値だが、ユーザーにとっては、より実測値に近い表記の方が親切だろう。余談だが、先日見学したイー・アクセスのシールドルームの、20MHz幅を使った下り最大150Mbpsの通信テストでは、障害物のない理想的な環境でありながら、実際に出たのは139Mbpsほど。説明員も「140Mbpsほどが限界値」と話していた。つまり下り75Mbpsという数字もあまり現実的ではない。日本の4Gサービスでも、Verizonのように“実効速度の目安”を表記してくれるとありがたいと感じた。

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