インタビュー
» 2012年08月17日 18時11分 UPDATE

NTTドコモに聞く「L-06D JOJO」:第1部 「納得」は全てに優先する!――“奇跡”から始まったジョジョスマホ (1/3)

8月18日から事前予約を開始し、8月30日に発売を予定している“ジョジョスマホ”こと「L-06D JOJO」。「商品化できたのは奇跡」と話すほどのドラマがあった同モデルは、どのような経緯で開発したのか。ドコモの“奇妙な3人”に話を聞いた。第1部では企画とデザインに焦点を当てる。

[田中聡,ITmedia]

 荒木飛呂彦氏のコミック「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボレートしたスマートフォン「L-06D JOJO」(以下、ジョジョスマホ)が、NTTドコモから8月下旬に発売される。2011年は荒木飛呂彦氏の執筆30周年、2012年は「ジョジョの奇妙な冒険」連載開始から25周年を記念して、さまざまな企画やイベントが実施されている。「携帯電話でもジョジョとコラボした製品が出ないかなぁ……」と願っていたファンにとっては衝撃かつ待望の製品化だろう。まさに「スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃」だ。しかしその裏には「商品化できたのは奇跡」というほどの苦慮や、荒木氏との綿密なコミュニケーションがあった。

photophoto 「L-06D JOJO」。荒木飛呂彦先生描き下ろしの壁紙プリセットされる(写真=左)。裏側には徐倫のイラストと荒木先生のサインが描かれている。岸辺露伴のサイン入り、オリジナルのタッチペンが付属する(写真=右)

 ドコモのコラボモデルはほかにも多数の製品が販売されているが、ジョジョスマホは何が違うのか。デザイン、端末、コンテンツへのこだわりとは。ドコモがコラボ端末にかける想いとは――。NTTドコモ プロモーション部 第2制作担当の岡野令氏と、プロダクト部 第二商品企画担当の許潤玉(ほうゆの)氏、そして他部署ながら、ジョジョ愛が高じてジョジョスマホの開発に携わることになった、クレジット事業部 DCMX技術担当の鹿島(かじま)大悟氏に話を聞いた。

photo 左から鹿島大悟氏、岡野令氏、許潤玉氏

商品化の企画を通せたのは奇跡

photo Facebookのアンケートでは、夏モデルの並み居る強豪を差し置いて、ジョジョスマホが「2012夏モデルほしいランキング」で1位となった

―― 5月16日に発表してからの反響はいかがですか?

岡野氏 嬉しい反応をいただいていますね。

許氏 Facebookで実施した、2012年夏モデルの欲しい端末で、ジョジョスマホが1位だったんですよ(外部リンク参照)。

岡野氏 コアファンが多いコンテンツだということは分かっていましたが、ここまで話題になるとは予想していなかったですね。社内の反対を押し切ってやった甲斐がありました。

―― 企画を通すという、船出のところから厳しかったんですね。

岡野氏 僕はヱヴァケータイ「SH-06A NERV」とヱヴァスマホ「SH-06D NERV」にも関わっていたんですが、初代(SH-06A NERV)のときは苦労しました。「ヱヴァって何?」と役員にヱヴァンゲリヲンを説明するところから始めましたから。今回もそう。「ジョジョって何?」からです。ジョジョの連載期間を考えると、30代半ばくらいから40代前半くらいまでの人たちが主に読んでいますが、役員は50〜60代なので知らない人が多い。知らないから反対する。「何だそれは?」「本当に人気があるのか?」と。だから「こういう物語でコアなファンがいて、ヱヴァと同じようにプラスの評価をいただける」と説得して、何とか企画を通しました。

 鹿島がこの中でも一番すごいというかキモイというか(笑)、精力的に取り組んでいました。幹部への説明のときにも同席して、愛蔵品の数々を机の上に並べて、「こういう僕みたいな人がいる」と説得してくれました。

―― ある意味一番大きな関門は、企画を通すところだったと。

岡野氏 そうですね。開発は皆で楽しくワイワイやっていましたけど、企画を通す作業は正直苦痛でした(苦笑)。許はたくさん資料を作って、鹿島は家からたくさんジョジョグッズを持ってきて……。

鹿島氏 「荒木先生はこれだけすごい!」という資料をたくさん集めましたね。

岡野氏 僕らが商品化の企画を通せたのは、奇跡と言えば奇跡。最初、商品開発部門のトップも決して乗り気ではなかったですし。いかに想いだけで押し通すかの世界でした。

ヱヴァスマホとはコンセプトが違う

photo プロモーション担当の岡野氏も大のジョジョ好き。取材前には「今日はジョジョ語でいいですか?」とのリクエストも。実際、取材時にはジョジョ語での受け答えも多かった

―― 開発はいつスタートしたのでしょうか。

岡野氏 端末の開発は1年くらい前、去年の夏くらいから始めましたが、構想はもう少し前からありました。ヱヴァスマホとジョジョスマホを同時に頭の中で進めていた感じです。ただ、相手さんがあることなので、集英社さんと一緒に構想したり、荒木先生のOKをいただいたりと……そうしたやり取りを1年前から進めていましたね。

―― スマートフォンだから、開発できたというのもあるのでしょうか。

岡野氏 ケータイのころから、いつかやりたいと考えていました。僕はコラボケータイをプロデュースする立場にあったので、会社の利益を考えず、いつか自分の趣味の方向に走りたいなと。企画が具体化したのは、スマートフォンがうまく軌道に乗り始めたのが大きいですね。それ以前はデザインやブランドとのコラボを中心に展開していました。フィーチャーフォンは飽和状態にあって、デザインで物を買う面が強まっていたので。

 その後、スマートフォンが出てきたけど、画面が大きいので「あれ?デザインするところがないぞ」となって。スマホは画面がほとんどなので、画面の中で楽しめることがいいよねと。そこで、カリスマ的に人気を持っているコンテンツとコラボするのがいいのではという話になりました。よやく新月の時(※第6部の敵キャラ、プッチ神父が望んでいた「天国の時」が来るタイミング)が来たと。2011年が荒木先生の執筆30周年、そして2012年はジョジョの連載25周年なので、去年か今年しかないなと思っていました。集英社さんともジョジョに……もとい徐々に相談しながら、2012年に決まりました。

―― ケータイ(フィーチャーフォン)でジョジョとコラボすることは考えてなかったんですか?

岡野氏 考えたことはあったんですが、失敗すると思ったのでやりませんでした。他キャリアもコラボケータイを販売していましたが、僕から見て、あまりうまくいっている感はありませんでした。ヱヴァケータイは実験的にやったところはあります。ヱヴァは映画の世界観がデジタルに近いので、外装のデザインに反映しやすかったんですよね。一方でジョジョの携帯電話をデザインするのは難しく、折りたたみでは面白い物ができないと思っていました。スマホでフルタッチパネルの形状になったこと、コミックを読めるサイズのスマートフォンが出てきたことが大きいですね。このサイズでジョジョを読みたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

―― ヱヴァとはコンセプトが違うと。

岡野氏 まったく違いますね。コラボすること自体は一緒ですが、外観のデザインから入るという考えではなく、コンテンツありきです。

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