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» 2012年08月24日 10時00分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:Androidは「イノベーションを重視したエコシステム」――Google ラーゲリン氏とNTTドコモ 阿佐美氏に聞く(前編) (1/2)

新しい機能を次々と取り込み、進化を続けるAndroid。その進化のスピードにはいい点も多いが難しい問題もはらむ。GoogleとNTTドコモは、日本のAndroidをどう進化・発展させていくのか。Googleのラーゲリン氏と、NTTドコモの阿佐美氏に話を聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 世界的にスマートフォンが普及拡大期に向かう中で、日本もまたフィーチャーフォンからスマートフォンへの本格移行期を迎えている。“スマートフォンの一般化・普及”の先駆けとなったAppleの「iPhone」の広がりはもちろん、2011年からはGoogleの「Android」を搭載したAndroidスマートフォンも洗練の度を増し、その勢力を増している。

 とりわけ2012年は、Androidスマートフォンにとって大きな転機と言える。今年の夏商戦で主力となった「Android 4.0」では、スマートフォンとタブレット端末の垣根がなくなり、OSとしての使いやすさやUIデザインの統一感も以前より数段よくなった。さらにドコモを筆頭とする大手キャリアが、“日本の一般ユーザー層向けのスマートフォン”を作るべく、Android向けに機能やサービスを拡充。日本向けのローカライズを加えている。今のAndroidスマートフォンは「Googleと国内キャリアの合作」として、日本の一般ユーザーにとって“ケータイから買い換えやすい”ものに進化してきているのだ。

 日本におけるAndroidスマートフォンは今どのような状況にあり、今後どのように進化・発展していくのか。

 今回のMobile+Viewsは特別編として、Google Androidグローバルパートナーシップ ディレクターのジョン・ラーゲリン氏と、NTTドコモ 執行役員 スマートコミュニケーションサービス部長の阿佐美弘恭氏に話を聞いていく。

PhotoPhoto Google Androidグローバルパートナーシップ ディレクターのジョン・ラーゲリン氏(写真=左)と、NTTドコモ 執行役員 スマートコミュニケーションサービス部長の阿佐美弘恭氏(写真=右)

Androidは国際宇宙ステーション

――(聞き手 : 神尾寿) 2012年に入り、スマートフォンの普及に弾みがついています。いわば、スマートフォンの大衆化が起こり、市場そのものが変化してきている。現在の状況を、Googleとドコモではどのように見ていますか。

ジョン・ラーゲリン氏 まず、背景としてスマートフォンのコンシューマー化が起きていることが挙げられます。ここでは(Googleを含めて)1つの企業がすべてを牽引するのではなく、多くの企業が力を合わせていく段階に入っていると考えています。

 Androidは非常に多様性があり、“多くのプレーヤーが協力し合わなければならない”、という今の市場にとても合っています。組織的に考えますと、iPhoneが1つの人工衛星であるとすれば、Androidは国際宇宙ステーションのようなものです。確かに(国際宇宙ステーションは)組み立てるのに非常に時間がかかり、関係者同士の調整作業も大変なのですけれども、そこから得られる成果・多様性はすばらしいものがあります。

―― 多様なニーズ・価値観を受け入れる存在が、Androidの基本コンセプトであると。

ラーゲリン氏 そうです。その多様性により、日本の一般ユーザーに求められるニーズとクオリティにも応えられる段階まで来ました。ようやく日本のお客様に対して恥じ入るところのないOSになったと自負しています。誰にお勧めしても大丈夫。そういったレベルまで(Androidを)成長させることができました。

―― 国際宇宙ステーションという例えは、確かに分かりやすいですね。Androidは、多くのメーカーやキャリアが協力し合い、時には利害を調整しながら「よりよいものを作る」という仕組みになっているわけですね。

ラーゲリン氏 もちろん、国際宇宙ステーションといっても、その(Androidの)発展をドライブしている国や企業はあります。どれだけ積極的に投資しているかで影響力の大きさも変わります。そういった点で言いますと、ドコモはまさにAndroidの主要パートナーですね。

―― スマートフォンではAppleやGoogleなど北米企業が開発の中心になり、グローバル化の一方で日本市場のニーズがどこまでOSでサポートされるのかという不安もあります。Googleにおける日本の位置づけ、各国のローカルなニーズというものはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。

ラーゲリン氏 まずGoogleは多国籍な企業で、多くの人種・国の人たちが働き、多様な価値観を尊重しています。もちろんシリコンバレーがメインの拠点であるため、米国の文化や市場性の影響を受けることはあるのですけれども、そのほかにも日本、欧州の一部の国々、韓国などがAndroidの開発にとって重要な国々になっています。

―― Androidにとって日本は重要市場の1つということですが、実際に日本のAndroidスマートフォン普及に注力するドコモからみて、Googleの取り組みはどのように評価していますか。

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阿佐美弘恭氏 サービスという観点で見ると、AndroidはOSですから、その上に「いかにして日本のお客様が求めているものを構築するか」が大切になります。ここでは1999年から培ってきたiモードの(サービスや機能などの)世界をどれだけスマートフォン上で再現できるかが重要なのですが、そこでAndroidは我々の期待に応えてくれていますね。

 ドコモでは昨年から「dメニュー」や「dマーケット」といったサービスを作ってきましたが、これらをスマートフォンの上にスムーズに構築して来られました。これはAndroidだからこそ可能だったものです。

―― Androidの開発自由度の高さが、キャリアにとってプラスに働いた、と。

阿佐美氏 確かにAndroidのオープン性と開発自由度の高さは、ドコモにとって重要なポイントでした。Androidだからこそ、dメニューやdマーケットといった、我々が(お客様のために)やりたかったことができたという点は大きい。

 一方で、AndroidはグローバルなOS/プラットフォームとして優れた母体になっていますので、フィーチャーフォンの時のようにドコモがすべてを構築していく必要がない、という点も魅力です。これから新たなサービスやビジネスを考える上で、(Androidが)グローバルなプラットフォームとして自立的に成長していることは大きな可能性を秘めています。

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