NTTドコモのシャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」は、下り最大75MbpsのXiに対応するのはもちろん、この冬から一部地域で提供されている下り最大100Mbps、上り最大37.5Mbpsのデータ通信にも対応し、より高速な通信が可能になっている。
そもそもXiは国内のLTEサービスでは最も早く始まり、全国の政令指定都市では人口カバー率100%を達成、2013年3月中に全国の人口カバー率も75%を実現する見込み。だが、もともとドコモのユーザーが多いうえ、Xiを先行して始めたため、Xi対応のスマートフォンも多く、回線が混雑して通信速度があまり出ないという評判がある。いち早く始めたからこそ、他社よりも早く課題が浮き彫りになったと言えるだろう。
ドコモは対策に乗り出し、特に回線が混雑しがちな都市部で通信速度が改善されつつある。今回はその改善具合を見るため、11月下旬にJR山手線の10駅で実測値を計測した。なお、通信環境は日々改善されており、同じ場所でも測定日時や通信環境によってスループットが異なる場合があるため、あくまで参考値としてほしい。
10駅とも屋外で計測するため、改札外の出口でテストを行い、計測のアプリには「RBB Today SPEEDTEST」を使用。3回計測し、最大値と平均値を求めた。計測時間帯は平日14〜17時。以下、計測した順番に各駅の実測値を並べている。
下り最大/平均(Mbps) | 上り最大/平均(Mbps) | |
---|---|---|
新橋 | 12.94/12.51 | 5.31/5.02 |
品川 | 7.32/5.22 | 1.19/0.88 |
五反田 | 5.89/4.33 | 3.39/1.51 |
渋谷 | 7.51/6.27 | 5.98/5.07 |
新宿 | 4.73/3.51 | 4.01/3.53 |
池袋 | 9.16/7.33 | 2.69/2.29 |
巣鴨 | 5.12/4.36 | 4.16/1.77 |
上野 | 6.52/6.13 | 3.82/3.62 |
秋葉原 | 12.59/10.65 | 2.78/2.32 |
東京 | 9.31/8 | 4.1/3.43 |
全体平均 | 6.83 | 2.94 |
いかがだろうか。最速は新橋駅前で計測した下り最大12.94Mbps。さらに秋葉原駅前でも12.59Mbpsを記録し、両駅は平均値でも10Mbpsを超えた。都心で利用者が多いドコモのXiがここまで高速とは正直驚きだ。
さらに平均値が5Mbps以上なのは10駅中7駅、最大値で見れば、新宿駅を除く9駅で5Mbpsを超えている。JR東日本管内では池袋が乗客数で2位、渋谷が3位、東京駅が5位だが、7〜9Mbpsに達している。上りの通信速度でも渋谷駅が最大値、平均値ともに5Mbpsを超え、1Mbps前後となったのは品川駅だけだ。
日本最大の乗客数を誇る新宿駅は、周辺のXi利用者も相当数に増え、通信速度を向上させるのは一朝一夕にはいかないだろうが、それでも実測で3〜4Mbpsも出ている。スマートフォンで使いたいほとんどのサービスをストレスなく楽しめるはずだ。上りの通信速度も同程度で、クラウドにファイルをアップロードする、といったシーンでも問題ないだろう。
全体で見れば、10駅の下りは平均6.83Mbps、上りは2.94Mbps。改善が進んでいる駅と、まだ若干物足りない駅で差が大きいため、平均値は落ちたものの、それでもこれだけ出ていれば十分だろう。また今回計測した駅はどこも利用客数が多いことを考えると、かなり健闘している。加えて駅によっては出口が違うだけで実測値が変わるので、このテストで結果が悪いからといって駅全体の通信速度が遅いとは言えない。
Xiの通信速度は十分「高速通信」といえるほど、通信環境は向上していると言ってよいだろう。また、SH-02Eはドコモの冬モデルでは数少ない、800MHz帯でのLTE通信もサポートしており、さらにつながりやすくなることも期待される。
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