インタビュー
» 2013年06月27日 10時00分 UPDATE

孫とLINEでつながりたい:「LINEの影響力×ドコモの安心感」で相互送客を――ドコモが考えるLINEとの協業 (1/2)

NTTドコモとLINEは5月15日に、ネットワーク負荷の軽減やらくらくスマホへのLINEアプリ提供などで協業することを発表した。その協業の狙いや目的、内容の詳細についてドコモの担当者に聞いた。

[村上万純,ITmedia]

 NTTドコモは5月15日、無料メッセンジャーおよび通話アプリである「LINE」との協業を発表した。その内容は大きく分けて以下のとおり。

  • ドコモの「らくらくスマートフォン」向けLINEアプリを開発
  • LINEアプリのユーザープロフィール画面へのドコモ専用の音声通話ボタンの設置
  • 「docomo Palette UI」のアプリ一覧画面上でLINEアプリを「おすすめ」タブに掲載
  • ネットワークおよびスマートフォンの利用環境向上に向けた取り組みの強化

 なぜ中高生がメインユーザーであるLINEアプリをシニア向けのらくらくスマートフォンに搭載することにしたのか。無料通話ができるLINEにドコモの有料通話ボタンをあえて配置する理由とは。そもそもなぜLINEを協業相手に選んだのか。ドコモとLINEが協業する狙いや目的、協業内容の詳細について、NTTドコモのマーケティング部サービス戦略担当の菅川高和氏と、マーケティング部プロダクト戦略担当主査の浜田尚氏に話を聞いた。

photo 左から順にマーケティング部サービス戦略担当の菅川高和氏とマーケティング部プロダクト戦略担当主査の浜田尚氏

LINEの魅力は、「グループチャット」と「キャリアフリー」

photo 1人のユーザーとしても「LINE」のファンだという菅川氏

 「2012年ごろからLINEには注目していて、ネットワークの負荷対策で情報交換しようとしたのが最初のきっかけだった」と菅川氏は説明する。今回の提携については、国内だけで4500万人、世界中では1億5000万人のユーザーを持つLINEと何か面白いことはできないかと考え、2013年の年明けごろにドコモ側から話を持ちかけたという。「LINEはとにかくスピード感があり、仕事や意思決定がとても早い。2カ月ほどで意思決定が行われ、5月には協業を発表できた。そのベンチャー企業の持つスピード感についていくことは大変でもあった」と菅川氏は苦労を話す。

 自身もLINEのヘビーユーザーであるという菅川氏は、LINEの担当者とLINEアプリで連絡を取り合うなど、「今までやったことのない仕事のやり方」で今回の協業を進めてきた。ドコモ社内でもLINEへの注目度は高く、「社内のLINEユーザーはもちろん反応が良かったが、ユーザーでない人もポジティブな反応が多かった。収益への影響を懸念する声もあったが、協業のメリットがそれを上回ると考えた」という。

photophoto LINE担当者とLINEで連絡を取っているという菅川氏。電車に乗って今から向かうというLINE担当者のスタンプでのメッセージに対して、菅川氏も待っていることをスタンプでユーモラスに伝えている

 また、LINEを協業先に選んだ理由として、「グループチャット」と「キャリアフリー」の仕様が魅力的だったと菅川氏は説明する。「グループチャット、スタンプなどは今までのドコモにはないものだった。世界的にキャリアフリーで使えるところも特徴的。ほかの類似アプリと比べて個人的に一ユーザーとして興味深いと思っており、国内のユーザー数もかなり多い。ほぼ一本釣りしたような状態」とLINEの魅力を語った。

孫とLINEでつながりたい

 菅川氏自らも「国内のLINEユーザーの約9割は中高生ではないか」と語ったが、なぜシニア向けのらくらくスマートフォンに、若年層がメインユーザーのLINEアプリを提供しようと考えたのだろうか。

 「シニア層は、孫や家族とLINEで会話をしたいと考えている。小中学生は主にLINEで家族や友達とコミュニケーションを取っていて、従来のメールというツールではその輪に入れなかった。シニア層にもLINEという名前は驚くほど浸透している」と菅川氏は説明する。

 らくらくスマートフォンは「Google Play」が利用できないため、ドコモのLINEアプリは「dメニュー」からダウンロードして使うことになる。また、シニア層にはLINEを知らないユーザーもいるため、「アプリ内でゲームや課金をするという認識が元々ない。まずは通話やチャット自体を楽しんでほしい」と菅川氏は言う。孫に向けて有料スタンプを送りたいという声もいずれ出てくることが考えられるが、「ユーザーニーズに合わせて検討していく」とのこと。

photo 菅川氏に勧められて、2カ月後にはLINEのヘビーユーザーになっていたという浜田氏

 浜田氏も「フィーチャーフォンのユーザーだったシニア層はドコモの音声通話をメインに使っていたので、LINEの無料通話による通話料金収入への大きな影響はないはず」だと話し、「らくらくスマートフォンの販売力や満足度の向上につながるメリットがある。らくらくスマートフォンをきっかけに、ほかの端末でもドコモユーザーにLINEをより便利に使ってもらえるように検討していく」と説明する。LINEにとっても、新たなユーザーを開拓するメリットがある。らくらくスマートフォンへのLINEアプリの提供時期は、10月から12月を予定している。

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