日経vs朝日のスクープ合戦で前進する完全音声定額戦争――6月にもドコモ対抗プランの正式発表があり得るか石川温のスマホ業界新聞

» 2014年06月06日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 音声定額競争が激しさを増してきた。

 NTTドコモの新料金プランに対する事前予約が、5月30日0時時点で170万件を達成。6月1日のスタートまでに200万件を突破する見込みとなった。

 先日、ドコモショップに新料金プランの予約に行ったが、平日朝10時の開店時には行列ができ、開店直後にはすべてのカウンターが埋まってしまう状態であった。自分も10時ちょうどに行ったにも関わらず、すぐにカウンターに座ることができず、しばらく待ち時間が発生し、単に新料金プランに変更するだけで1時間近くもかかってしまった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年5月31日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 「新製品の発売もあって、週末の午後には3時間待ちにもなった」(ドコモショップ店員)といい、カケホーダイを目当てに、ユーザーが殺到している状況がうかがえる。

 この流れを受けて、まず動いたのがウィルコムだ。

 6月1日にはイー・アクセスと合併して、社名が消滅するウィルコムだが、5月30日の夕方に突然「スーパーだれとでも定額の開始について」というリリースを発表したのだった。

 オプション料金1500円を支払えば、国内の通話がすべて定額になるというもの。しかも、PHSのデータ通信料金も含まれるというプランだ。

 1500円はオプションであるため、実際に利用するにはこれとは別に基本料金が必要だ。新ウィルコム定額プランSの1381円にオプションの1500円を加えた2881円で国内完全通話定額の電話が持てることになる。

 ウィルコムとしては、これまで「だれとでも定額」で音声通話を重視するユーザーを長年、獲得してきた自負もあり、今回、思い切って完全定額導入に踏み切ったのだろう。しかし、NTTドコモはフィーチャーフォンユーザー向けにデータ通信をつけなければ2200円という設定にもできるだけに、ウィルコムとしてももうちょっと踏ん張りをきかせても良かったのではないか。オプションという形となるとどうしてもわかりにくくなるので、すべてが含まれた料金プランでNTTドコモと互角かそれ以上に戦える値付けをした方が良かったと思う。

 同じ「国内通話完全定額」となると、端末ラインナップが選べるNTTドコモのほうが有利と言える。PHSは音質がよいが、こちらもVoLTEが一般的になると勝ち目はなくなる。

 10月にPHSと携帯電話によるMNPが始まると、このままではウィルコムからこぞってユーザーが他社に流出する可能性もある。6月2日から「ワイモバイル」に生まれ変わるが、ぜひとも10月までには、他社の音声定額制に勝てるプランをぶつけてきて欲しい。

 一方、ざわつき始めたのがKDDIとソフトバンクモバイルだ。5月30日には、朝日新聞が「auも定額制導入へ 国内通話、ドコモに対抗」と報道。翌5月31日には日経新聞が「スマホ通話、定額広がる ソフトバンクも2700円軸」と報じた。

 これで大手3キャリアで音声定額プランが出そろうことになるが、今回に関しては、各メディアの「スクープ合戦」によって、キャリアが仕方なく動き出しているという面もありそうだ。

 4月9日に日経新聞と朝日新聞が相次いでドコモの音声定額制導入に関してスクープを飛ばした。その日にNTTドコモは否定するのだが、結局は翌10日には記者会見を行い、正式に発表した。

 このとき、日経新聞と朝日新聞において、相当なライバル心が芽生えようだ。今週の相次ぐKDDIとソフトバンクの音声定額導入報道も、まだ2社で正式決定していないにもかかわらず、両メディアが焚き付けている感が強い。

 実際、NTTドコモのカケホーダイが盛り上がっているように見えるが、某キャリアでは「新料金の事前予約をしているのが既存のドコモ契約者が大半。他社からの流入は少ない」と見ており、この状況を冷静に判断している。

 一方、別のキャリアでは、新聞報道されたことで、週明けにも正式発表できるように準備を進めているという情報もある。

 KDDI、ソフトバンク共に、もうしばらくNTTドコモの状況を様子見したかったようだが、2つの新聞報道に押し切られるかたちで、対抗プランを前倒しで発表せざるを得ない状況に追い込まれる可能性もありそうだ。

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