もうひとつ、iPhone 5sと比べて大きく変わったのが4K(3840×2160ピクセル)の動画撮影に対応したこと。5sはフルHD(1920×1080ピクセル)、つまり2K動画が最大。見比べてみよう。
ご覧の通り、画素数(解像度)にして4倍の差があるわけで、明らかに違うのである。
ちなみに、動画まわりでは「スロー」撮影の性能も上がっている。5sでは解像度が1280×720ピクセルだったのに対し、SEではフルHD、しかも120フレーム/秒の動画も撮れるようになった。このあたりは、スマホとしての基本性能の違いに由来している。
iPhone SEは、iPhone 6s/6s Plusと同じく「Live Photos」に対応している。写真に加えて、撮影の前後最長1.5秒ずつをフルHD相当の動画でも残してくれる。もちろん、音声も記録できる。
下の撮影画面を見ると、左端に黄色い三重の円のアイコンがある。これが、Live Photosのオン/オフを切り替えるスイッチだ。黄色いときはLive Photosがオンになっている。Live Photosの項目があること以外は、iOS 9.3のiPhone 5sと撮影画面は同じ。タッチAFは効くし、シャッターボタン長押しで連写になる。
Live Photosの再生方法については、6s/6s Plusとちょっとだけ違う。画面を押した時の強さを検知する「3D Touch」に対応している6s/6s Plusでは、撮影した画像を表示して画面を強めに押すとLive Photosが再生される。それに対して、3D Touchに対応していないSEは、画像を表示した画面を長押しすると再生が始まる。
Live Photosで写真を撮ると、撮影の前後が動画で残るのでより撮影したときの記録が鮮明になる。動きの中の一瞬を撮ったとき、前後の動きが残っていたらより面白い。ぜひ、試してみてもらいたい。
この後、作例をご紹介するが、それらでは表せない大きな差がひとつある。オートフォーカス(AF)の速度である。
5sでは、フォーカスを合わせるのに少し間が空く。ぼけた状態からフォーカスが合っていく様子が見えるほどである。それでも5sを使っているときは特に困らなかった。
しかし、これがSEになると話が全然違う。速いのである。フォーカスが合う様子が見えないのだ。スッと合ってすぐ撮れる。
この違いは結構大きい。イメージセンサーが「位相差センサー」内蔵のものに変わったせいだ。
SEと5sの大きな違いは、ここまで紹介した「画素数」「4K動画撮影」「Live Photos」「AFの速度」といっていい。
逆に進歩しそびれた機能もある。インカメラである。
iPhone 6s/6s Plusはインカメラ(FaceTimeカメラ)が500万画素に強化されたが、iPhone SEは120万画素のままだった。自撮りを多用する人には少々残念な結果だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.