モトローラ・モビリティ・ジャパンが7月22日に発売するSIMロックフリースマートフォン「Moto G4 Plus」は、3GとLTEの同時待受(デュアルスタンバイ)に対応しているのが大きな特徴。日本でもデュアルSIMに対応したスマートフォンは登場したが、そのほとんどがGSMとLTEの組み合わせだったので、日本国内ではLTEのSIMカード1枚しか利用できなかった。
3GとLTEの同時待受に対応したMoto G4 Plusなら、日本国内で通話用とデータ通信用のSIMカードを使い分けられる。例えば「ドコモ」と「MVNOの格安SIM(以下=格安SIM)」を契約している場合、ドコモ端末からMoto G4 Plusに乗り換えつつ、1台でドコモSIMと格安SIMを運用できる。ドコモ回線のSIMとY!mobile SIMの併用も可能だ。
仕事とプライベートで端末を分けている人も、ドコモ系かY!mobileのSIMならMoto G4 Plusに統合できる。海外を訪れた際は、データ通信は現地のSIMを、通話は日本のSIMを1台で使えるので、「通話用」「データ通信用」と端末を分ける必要がなくなる。
今回、Moto G4 Plusの実機を試す機会を得たので、デュアルSIMの使い勝手を確認した。筆者の場合、「SIM1」には「IIJmio」のデータSIMを、「SIM2」にはNTTドコモの音声SIM(spモード契約)を挿し、データ通信をIIJmioで、音声通話をspモードで使うことにした。
同時待受を利用するにあたり、いくつか理解しておきたいことがある。
まず、Moto G4 PlusではLTEの同時待受はできず、必ず一方は3Gでの通話用になる。「設定」→「SIMカード」→「優先SIM」から、データ通信、通話、SMSでどちらのSIMカードを優先的に使うかを設定できる。通話は(LTE上で高品質な通話ができる)VoLTE、データ通信もLTEを使いたいというニーズもあるだろうが、Moto G4 PlusはそもそもVoLTEに対応していないので、仮に通話用にLTEを使えても恩恵はないだろう。
通話用に設定したSIMは、そのままだとデータ通信はできないが、優先SIMを通話からデータ通信に変更すれば、データ通信ができるようになる。SIM 2枚のデータ容量を1台の端末で使えて便利だ。例えばIIJmioの月間容量を使い果たし、データ通信をspモードに切り替えたい場合、優先SIMの設定をspモードに変更すればよい。
APN設定は、もちろん2つのSIMどちらも行う必要がある。Moto G4 Plusの場合、主要な格安SIMのAPNはプリセットされているので、「設定」→「もっと見る」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」から該当サービスを選択するだけでよい。spモードのAPNはプリセットされていないが、「APN」で「spmode.ne.jp」と入力すればデータ通信が可能になる。
Moto G4 Plusが採用する同時待受「DSDS(Dual Sim Dual Standby)」では、通話中はデータ通信が利用できなくなるので注意したい。着信があった場合に「着信」と「データ通信」のどちらを優先するかをあらかじめ設定しておくことはできるが、通話中にデータ通信をすることが多い人は注意したい。ちなみに、音声SIM1枚だけを利用する場合、音声通話中にデータ通信をすることは可能だ。
なお、ドコモ回線を使用した格安SIMを入れると、「ドコモのSIM」と認識され、「NTT DOCOMO」と表示されしまう。本家のドコモSIMと併用すると、どちらも「NTT DOCOMO」と表示されて紛らわしいので、格安SIMの名前を変更しておこう。
慣れるまで設定で戸惑うことが少しあったが、LTE/3Gの同時待受が可能になったことで、SIMロックフリースマホの利便性が大きく向上したことは確か。他にも、Moto G4 Plusのような機種が増えてくれることを期待したい。
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