iPhone 7/7 Plus(仮)、大手キャリアの割引は期待できない?

» 2016年09月07日 00時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 日本時間の9月8日2時、Appleが米国で新製品を発表する。その主役として、次期iPhoneの「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」(以下、7と7 Plusは仮称)が発表されることが濃厚だ。外観やスペックの予想は別記事が掲載されるので、そちらを参考にしていただくとして、ここでは日本での価格について考えてみたい。

 日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアがiPhoneを扱っており、iPhone 7/7 Plusも3キャリアが扱うとみていいだろう。一括価格はiPhone 6s/6s Plusと同様に、9万円台〜10万円台前半になるだろうが、問題は毎月の割引を加味した“実質価格”だ。iPhone 6s/6s Plusが発売された2015年9月と比べ、現在の大手3キャリアを取り巻く端末価格の事情は大きく変わったからだ。

iPhone 7価格 iPhone 7/7 Plusの価格はどうなる?(写真はiPhone 6s/6s Plus)

特定条件付きでも実質0円はダメ

 総務省が2015年10月〜12月にかけて実施した「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」を経て、2016年2月から3キャリアがスマートフォンを実質0円で販売する施策を自粛。その後、ドコモとソフトバンクがスマホを実質0円で販売したとして、4月に総務省がこれを見直すよう2社に要請した。3月にソフトバンクがY!mobileブランドで発売した「iPhone 5s」も、当初は条件付きで実質0円としていたが、これを見直して実質2400円に値上げした

 2016年3月に発売された「iPhone SE」では、ドコモの施策が波紋を呼んだ。ドコモは当初、3G端末からiPhone SEに契約変更する際に月々サポートを増額し、実質0円とする予定だったが、総務省から指摘が入り、実質648円に変更することになった

 iPhone 7/7 Plusでも、「容量の少ないモデル」「MNPの場合」「3Gからの契約変更」という条件が重なったとしても、少なくとも実質0円に割り引かれることはないだろう。

 現状、実質価格は「0円でなければよい」という風潮で、明確なラインは存在しないが、さらにメスが入りそうな予兆もある。8月2日に公正取引委員会が発表した「携帯電話市場における競争政策上の課題について」では、「MNO各社が端末価格を通信料金から大幅に割り引く施策はMVNOにとって不利になるため、競争政策の観点から見直されることが望ましい」という趣旨のコメントが出されている。

 さすがに「月々サポート」「毎月割」「月月割」といった割引が即座になくなることはないだろうが、大幅な割引は期待できないだろう。

同スペックのAndroidスマホと価格は大差なし?

 売れ筋といえるiPhone 6s 64GBモデルの現在の実質価格を見ると、ドコモは新規・機種変更が4万4712円、MNPが1万5552円、auは新規とMNPが1万800円、機種変更が3万8640円、ソフトバンクは新規とMNPが1万800円、機種変更が3万8520円(いずれも税込)。ドコモの機種変更のみ発売当初から値上がっており、ほかは値下がりまたは同額となっている。

 iPhone 6sとほぼ同時期に発売された「Xperia Z5」の価格をドコモとauのオンラインショップを確認したところ、現在の実質価格はiPhone 6s 64GBと大差ない。ソフトバンクのZ5はオンラインショップで在庫なしだったので(発売時期はiPhone 6sより前だが)Galaxy S6 edge 64GBモデルの価格を確認したところ、新規・機種変更・MNPいずれも実質1万800円だった。現在はiPhoneの価格が特に優遇されているわけではないようだ。

 さまざまな要因が絡み、iPhone 7/7 Plusは、現在発売されている同スペックのAndroidスマートフォンと同じ価格帯になりそうだ。例えば「Xperia X Performance」の価格に近いとすると、iPhone 7の64GBモデルは新規・機種変更は実質4万円台〜、MNPは2万円台〜になる。

下取りキャンペーンはどうなる?

 3キャリアは例年、iPhone発売後に過去のiPhoneを買い取る「下取り」キャンペーンによって、新iPhoneの実質価格を値下げする施策も打ち出している。2016年も下取りキャンペーンは行われるだろうが、先述した公正取引委員会の提言には「端末メーカー又はMNOが、不当に高い価格で中古端末を購入する場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある」とのコメントも含まれる。下取りキャンペーンが即座になくなることはないだろうが、下取り額が見直され、例年ほど高くならない可能性はある。

iPhone 7価格 iPhone 6s/6s Plus発表時のドコモの下取りキャンペーン。当時は最大3万7800円(税込)でiPhone 6 Plusを買い取ってもらえたが、iPhone 6s/6s Plusの買取価格は値下がるか

 8日にiPhone 7/7 Plusが発表されてから、週末の9〜11日にかけて、3キャリアが価格やキャンペーンを案内することが予想される。総務省や公正取引委員会が目を光らせている中でどんな施策を打ち出すのか? 今週末は3キャリアの動きから目が離せない。

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