IIJ(インターネットイニシアチブ)は、NTTドコモに対して加入者管理機能(HLR/HSS)の連携に関する申込みを完了し、承諾書を取得したことを発表した。これを受けて2017年度より、「フルMVNOデータ通信」の商用サービスを提供する。
IIJを含めMVNOはキャリア提供のSIMカードを借り受けてサービスを行っていましたが、今回ドコモから承諾を受けたHLR/HSSの開放によって、加入者管理機能を自社で持つことができるようになりました。それにより独自SIMの発行が可能となり、従来の形にとらわれない自由度の高いサービスが設計できるとのこと。
IIJの鈴木会長は「ITを支えるネットワークとしてワイヤレスは重要性が高まっている。これまでIIJが蓄積してきた知見を使い、来るべきIoT社会に向けてネットワークを基盤とした新たなサービスを創出する」としています。
IoT時代のSIMカードとして必要されるのは多様性。そのキーワードとして「リプログラマブル」「エンベッド」「マルチプロファイル」を紹介、用途に応じたアップデートや、アプリとの連携、SIMカードを入替えなくてもSIM情報の書換えなどの機能が重要となることを説明。
これらによって実現する具体的なサービスの1つとして、「マルチカントリーMVNO」があります。これは、1枚のSIMでIIJと連携する国内外の通信サービスをリーズナブルな料金で利用できるようにするというもので、これまでとは全く違うプリペイドプランの提供も実現可能になるとのこと。SIMの入れ替えをしなくても、利用できる国が増えるため、これによりユーザー利便性が飛躍的に向上することになります。
余談ですが、10月より新たにサービス開始する「au回線」を使ったSIMプランと、「ドコモ回線」のSIMプランを1枚のSIMカードで使うことが可能かと尋ねたところ、「技術的には可能である」と回答。しかしドコモとauの通信エリア・質というものに大きな差がないため、現時点ではそうしたサービスの提供は予定していないとのこと。それよりもまずはマルチカントリーMVNOとしてサービスを始められるよう、海外の事業者と協議をしていきたいと話してくれました。
インターネットを存分に楽しむには、つい最近までだと自宅などに固定回線を入れなくてはなりませんでした。しかし、スマホの性能向上およびLTE通信が格段に進化したことによって、固定回線よりもワイヤレスネットワークによる快適で高速な通信環境の重要性が増してきています。サービス提供が1年後ということもあり、IIJは具体的な内容については明言しなかったものの、SIMを部品として扱えるようになることで、様々な機械の中に組み込んだサービスが行えるとしています。
なお、今回のフルMVNOはあくまでデータ通信のみ。通話部分については従来と同じとのことですが、IIJでは、引き続き通話についても開放を求めていくつもりであるとのことでした。
(文:SIM通編集部)
Copyright:(C) NTT Resonant Inc. All Rights Reserved.