プレフィックス方式と違うタイプの通話定額として「IP電話」方式もある。インターネットを活用した「050」の電話番号で行う通話だ。
090や080の電話番号とは別に050から始まる電話番号が1つ用意される。利用には専用アプリが必要だ。電話回線を使わないため、通話品質に不安があるものの、インターネットで通話を行うため、データ通信だけのSIMで利用できる場合もある。
ただしデータ通信を行うのでデータ容量が消費されてしまう。110番、119番などの緊急番号、フリーダイヤルの一部など、一部番号へは発信できない(音声SIMなら通常の電話回線で発信する)のもデメリットだ。
現在、IP電話方式の通話定額オプションを提供しているのは、「NifMo」「イオンモバイル」「TONE」だ。
MVNO | オプション名 | 対象 | 月額料金 | 必要なアプリ | 24時間定額 | 10分かけ放題 | 時間超過後の通話料 |
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NifMo | NifMoでんわ | 音声プラン | 1300円 | NifMoでんわ | 〇 | × | なし |
イオンモバイル | 050かけ放題 | 音声/データ通信プラン | 1500円 | 050IP電話アプリ | 〇 | × | なし |
TONE | IP電話かけ放題オプション | TONE m15 | 500円(キャンペーン時/通常700円) | プリインストール | △(TONE同士) | 〇 | 21円/1分(国内携帯電話)、13円/3分(国内一般加入電話) |
MVNOのIP電話を活用した通話定額オプションは3社から提供。NifMoとイオンモバイルの場合は24時間定額で何度でも通話が可能だ |
NifMoでは音声SIMのみのオプションだが、月額1300円で24時間通話し放題。何時間でも(連続90分で一度終了するが)通話が可能だ。プレフィックス、IP電話も含めて24時間通話定額のオプションでは最安となる。
ただし音声SIMとの契約が必要なので、トータルで見ると音声プラン700円+データ通信プラン(3GB)900円+オプション1300円で合計2900円となる。なおNifMoには他にも海外とも通話定額が可能な「国内+海外かけ放題」(月額2700円)というオプションもある。
イオンモバイルはプレフィックス方式も採用しているが、IP電話方式では24時間定額で月額1500円。NifMoより高いものの通話の連続時間は連続300分まで(一度終了、再度かけることは可能)。しかもイオンモバイルはデータ通信のSIMでも契約できるため、トータルで見るとデータ1GBプラン480円+オプション1500円の合計1980円からかけ放題が可能。ただし加入時に登録料1000円が必要だ。
また既に述べた通り、NifMoとイオンモバイルではモバイル回線でIP電話の通話をすると、データ容量を消費する。1分間250KB、1時間15MBが目安。例えばデータ容量1GBを全て通話に使うのであれば約68時間分、1日2時間の長電話が可能だ。しかし実際は他の操作、アプリでもデータ容量を消費するので、通話時間はもっと短くなる。ただ、Wi-Fi経由ならモバイル回線のデータ容量は消費しないので、Wi-Fi環境のある場所(自宅など)での通話が大半なら問題ない。
イオンモバイルの場合、IP電話で必要な通信速度は上下約20kbpsとされているので、IP電話を使うときは、低速通信に切り替えても良さそうだ。
TONEの場合、基本プラン(月額1000円)に050のIP電話が含まれているため、オプションを付けなくてもTONEのユーザー同士は24時間無料で通話が可能だ。月額500円(キャンペーン時、通常は700円)のオプションを追加すると、他社の携帯電話、固定電話へも1回10分まではかけ放題だ。IP電話で不利とされる通話品質も独自の技術でクリアとしている。
さらにTONEは通信容量が無制限(通信速度は500〜600kbps程度とされている)なので、データ容量の消費も気にする必要はない。ただしTONE専用のスマホ「TONE m15」のユーザーのみが対象。また緊急通報等は別途090音声オプションの追加が必要だ(月額953円)。通話品質に自信があること、通話定額は1回10分までであることを考えて、プレフィックス方式の1回10分までと同じく「相談」「身近な人との会話」向きといえそうだ。
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