5月2日、NTTぷららが同社のMVNOサービス「ぷららモバイルLTE」を2017年11月30日で終了すると明らかにした。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年5月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
新規の申し込みはすでに5月2日付けで終了済み。ぷららモバイルLTEを利用しているユーザーに対しては、OCNモバイルONEのお得なキャンペーンを案内する予定だという。
世間がゴールデンウイークで浮かれている中、あえてひっそりと発表したようなタイミングだ。
MVNOは総務省の調べでは600社以上あるとされており、前々から「淘汰の時代が始まる」と言われていた。しかし、ここ最近は「格安スマホブーム」にもなっていたことから、どの会社も勢いがあったように見えたが、ついにサービスから撤退するところが現れた。
しかも、今回驚きなのは、NTT系であるNTTぷららが真っ先に音を上げたという点だ。
NTTぷららは、プロバイダサービスを手がける、どちらかと言えば通信を専門とする企業だ。プロバイダサービスの延長として、MVNOでモバイル回線を提供する、というのは当然のことだろう。
しかも、NTTぷららは「ひかりTV」という強力な映像配信サービスをもっている。ひかりTVとモバイル回線を組み合わせて、他社がまねできないようなサービスもできたのではないか。
NTTぷららでは、月額2980円で通信量の制限がない「定額無制限」プランを提供していた。通信速度は上下3Mbpsではあるが、定額無制限というのは、それなりに他社との差別化につながっていたはずだ。
これだけ、他社との違いを出せる素材は揃っているにもかかわらず、あっさりとMVNOから撤退する、というのがイマイチ理解に苦しむところだ。
ただ、逆をいうと、NTTグループだからこそ、「やりにくい」という点もあったのではないか。
当然のことながら、NTTグループ全体のことを考えると、MVNO事業は、OCNモバイルONEに集約した方が理想的なようにも思える。
これまで、MVNOのシェアにおいてはOCNモバイルONEが圧倒的な強さを誇っていたが、最近では楽天モバイルの勢いが強くなっている。OCNモバイルONEとしても、NTTグループの威信をかけて、シェアトップを維持しておきたいだろう。
もしかすると、グループのなかで、大人のプレッシャーがあり、NTTぷららがMVNOから撤退。その契約者をOCNモバイルONEが引き取ることで、契約者数を増やす狙いもありそうだ。
格安スマホは上り調子ということもあり、当面はネットや店舗における顧客獲得合戦が中心に変わりはないが、今後は今回のように「撤退したMVNOからユーザーを奪い取る」という競争も増えてきそうだ。
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