今回のベンチマークテストでは、Radeon HD 4000シリーズのハイエンドモデルとなるRadeon HD 4890と、その競合だったGeForce GTX 275と比較している。ハイエンドモデルとメインストリームモデルということで、Radeon HD 5700シリーズが不利に思えるかもしれないが、それぞれのスペックを並べるとそれほど大きな違いはない。1世代前のハイエンドモデルとRadeon HD 5700シリーズは意外と互角の戦いになるようにも思える。
CPU | Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz) |
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マザーボード | MSI X58 Pro |
チップセット | Intel X58 Express |
メモリ | DDR3-1333(GeIL GV33GB1333C9TC 1GB×3/9-9-9-24) |
HDD | WD3200AAJS-B4A(320GB/7200rpm/8MB) |
OS | Windows Vista Ultimate(SP1) 32ビット版 |
3DMark 06では、低解像度条件という制限はあるものの、Radeon HD 5770が1世代前のハイエンドGPUであるRadeon HD 4890を上回るスコアを出している。高解像度条件ではさすがにRadeon HD 4890が優れているが、これは、メモリバス幅の違いが影響していると思われる。3DMark Vantageでも、Radeon HD 4890に迫る結果を出している。PerformanceではRadeon HD 5770が9756 3DMarksと、1万台目前まで到達している。
ゲームベンチマークを見ると、実際のゲームタイトルでは、Radeon HD 4890にかなわないようだ。CrysisとFarCry 2では、Radeon HD 4890をもう少しで超えるところまではいくが、1度も上回ることはなかった。Unreal Tournament 3の解像度設定1280×1024ドットでなんとかRadeon HD 4890を上回るが、高解像度条件では逆転されるという、3DMark06と似たような傾向が確認された。ただ、負荷が重くなったときのスコアが緩やかに下がっていくRadeon HD 4890と異なって、Radeon HD 5700シリーズは急激であるあたりから、ドライバのチューニングが影響している可能性もある。
Radeon HD 5700シリーズでもう1つ注目しておきたいのが消費電力だ。比較的TDPが高いCore i7-965 Extremeを組み込んだシステムでありながら、システム全体の消費電力はピークで200ワット前後、アイドル状態では100ワットを下回る。Radeon HD 5850と比べて、Radeon HD 5770はピーク状態で29ワット下回り、アイドル状態で1ワット下回る。AMDが資料で示している「60ワット差」からすれば半分だが、これは、測定条件の違い(今回用いた3DMark03の負荷)に起因するのだろう。GPUの負荷がより高いテストでは一層の差が付くものと思われる。なお、 Radeon HD 5750の消費電力は、Radeon HD 5770に対してピーク状態で16ワット下回り、アイドル状態で2ワット下回った。
Radeon HD 5700シリーズは、メモリ帯域幅が128ビットであるため、高解像度条件で上値を抑えられているところもあるが、低解像度設定や、ゲームの標準画質設定を想定するメインストリームユーザーには1世代前のハイエンドGPUに相当する性能を提供できる。Radeon HD 5800シリーズは、従来の世代からスペックもパフォーマンスに2倍に引き上げられた。Radeon HD 5700シリーズのスペックはRadeon HD 5800シリーズの2分の1に設定されているが、性能は1世代前のハイエンドモデルに匹敵する(ただし、負荷が低いという条件がつくが)。
実売価格で見ると、Radeon HD 5770が2万円強、Radeon HD 5750が1万8000円前後が主流のようだ。Windows 7とDirectX 11に対しても備えができるわけで、期待が高まるところだが、Radeon HD 5000世代で気になるのが流通量だ。Radeon HD 5800シリーズが発売されて数週間になるが入荷数はまだ少ない。魅力的なGPUであるだけに、上位GPU同様、流通量が安定してくれることを望みたい。
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