ヨーロッパの各国では、大手通信事業者が国を超えてサービスを展開している。イギリスも各国資本の通信事業者が5社あり、各社はプリペイドサービスも行っている。通信方式はGSMとW-CDMA(3G)で、高速なHSPAのデータ通信サービスもある。
なお、イギリスはヨーロッパでは珍しくプリペイドSIMカードの購入に身分証明書の提示やユーザー登録が必要ない。店舗によっては名前やイギリス居住地の郵便番号を住所の代わりとして求められるが、パスポートなどを提示する必要はなく、トランジットで現地のホテルに滞在しないなら、その旨を伝えれば郵便番号も必要ない。
というわけで、イギリスはなかなか自由にプリペイドSIMカードが購入できる国である。例えばロンドン・ヒースロー国際空港のターミナル3にはプリペイドSIMカードの自動販売機があったりする(言葉の問題で対面販売の方法が少し苦手な人にもうれしいと思う)。また各都市には各通信事業者が店舗を連ねており、そこでも比較的手軽に購入できる。ロンドンであれば繁華街のオックスフォード・ストリートにVodafone、Orange、T-Mobile、O2、3(Hutchison 3G UK)の店舗が軒を連ねているので、ショッピングのついでに立ち寄るといいだろう。このほか、各社の製品をまとめて比べながら選びたいなら大型の携帯電話小売店「Carphone Warehouse」へ出向くのもよさそうだ。
イギリスの通信事業者 | 資本元 | 備考 |
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Vodafone | イギリス | ─ |
Orange | フランス | T-Mobile(イギリス)と資本合併 |
T-Mobile | ドイツ | Orange(イギリス)と資本合併 |
O2 | スペイン | Telefonica傘下 |
3(Three) | 香港 | ─ |
今回はイー・モバイルのSIMロックフリースマートフォン「Pocket WiFi S(S31HW)」で、現地のプリペイドSIMカードを活用してみよう。購入したSIMカードは、イギリスで最後発(2003年)にサービスを開始した「3(Three)」のもの。“3”は3G専門の通信事業者であり、後発ということもあり低価格を武器に利用者を増やしている。
前述したロンドン・ヒースロー国際空港の自動販売機で購入できるものの1つで、価格は10英ポンド(2011年2月現在、日本円換算で約1340円)。1カ月間・最大通信量1Gバイト分まで利用可能だ。市内の“3”のキャリアショップでは、これと同じタイプ、あるいは3カ月間・同3Gバイト分利用できるものも販売されている。
さて、Pocket WiFi SにはSIMロックが施されないSIMロックフリーの端末なので、海外でも現地のプリペイドSIMカードを入手することで、国内キャリアの海外ローミングサービスを利用するより割安に通話・通信を利用できる。SIMカードを入れ替えて電源を入ると、アンテナマークが立つはずだ。ただし、待受画面上部にはデータ通信中のアイコンが表示されず、データ通信ができない状態となっている。3のSIMカードを入れると自動的にデータ通信設定が登録されるものの、こちらはMMSの設定であり、Pocket WiFi Sでのデータ通信用設定ではないためのようだ。
3 プリペイドSIMカード用APN | |
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APN | three.co.uk |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
データ通信のためのAPN(Access Point Name)は手動で設定する。Android OSの設定→無線とネットワーク→モバイルネットワーク→アクセスポイント名のメニューより任意の名前で新しいAPNを登録する。3のAPN設定は右記の通りだ。
設定後、登録したAPNを有効にすればデータ通信利用ができるようになるはずだ。あとはPocket WiFi Sの待受画面中央にあるテザリング開始ボタンを押せば、本体でのデータ通信および、ほかのノートPCやスマートフォンなどでも無線LAN経由でインターネットが利用できるようになる。
さて、最大通信量は1Gバイトまでだが、これを使い切った場合はプラス1Gバイト・1カ月分で10英ポンドなどで残高を追加できる。利用状況はPocket WiFi Sからhttp://www.three.co.uk/my3/へのアクセスで確認が可能だ。
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