ディスプレイの解像度は、11.6型ワイド液晶も13.3型ワイド液晶も1366×768ドットと、Windows 7搭載PCとして標準的なスペックだ。解像度が同じため、13.3型ワイド液晶のほうが画素ピッチが広く、細かい文字などが大きく見やすい。11.6型ワイド液晶では画素ピッチがやや狭く、密度の高い表示となる。
もっとも、海外メーカーを中心に、より高解像度の液晶ディスプレイを採用しているUltrabookも複数存在するため、できればオプションで1600×900ドットやそれ以上の高解像度を選べるようにしてほしかった。13.3型ワイド液晶のVAIO Sで1600×900ドット、13.1型ワイド液晶のVAIO Zで1920×1080ドットの選択肢が用意されていることを考えると、ラインアップの位置付け上、どうしても見劣りする部分だ。
表示傾向は11.6型ワイド液晶と13.3型ワイド液晶でだいたい同じだ。総じて、Ultrabookとして標準的な表示品質といえる。
モバイルノートとして輝度とコントラストは十分保たれており、色温度はやや高めだが、カラーバランスや階調性はそう悪くない。TN方式の液晶パネルなので、上下方向の視野角はやや狭いが、液晶ディスプレイのチルト角度は11.6型で約142度、13.3型で約148度まで大きく開くので、ローテーブルなど低い位置に置いても画面の角度は合わせやすい。ただし、液晶ディスプレイの表面はグレア(光沢)仕様なので、照明の映り込みはそれなりに目立つ。
試しに、今回入手した4台のVAIO Tをエックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」(製品パッケージとしては「i1Basic」)で計測したところ、結果は以下の通りだった。
i1 Proで計測したVAIO Tの液晶ディスプレイ表示 | ||||
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分類 | 11.6型店頭モデル | 11.6型直販モデル | 13.3型店頭モデル | 13.3型直販モデル |
製品名 | SVT11119FJS | SVT1111AJ | SVT13119FJS | SVT1311AJ |
液晶 | 11.6型ワイド | 11.6型ワイド | 13.3型ワイド | 13.3型ワイド |
輝度(最大) | 182.7カンデラ/平方メートル | 201.5カンデラ/平方メートル | 200.1カンデラ/平方メートル | 191.6カンデラ/平方メートル |
輝度(最低) | 0.5カンデラ/平方メートル | 0.4カンデラ/平方メートル | 0.3カンデラ/平方メートル | 0.3カンデラ/平方メートル |
色温度 | 7500K | 7500K | 7600K | 6900K |
ガンマ | 2.1 | 2.1 | 2.1 | 2.2 |
液晶ディスプレイの表示を安定させるため、4台のVAIO Tは全画面に白を表示して1時間程度待ってから計測したが、輝度の値は11.6型店頭モデルが少し低い値で、20カンデラ/平方メートル程度のバラツキが出た。液晶ディスプレイの供給元が違うのか、あるいは個体差と考えられる。
また、13.3型直販モデルのみ色温度が6900Kでガンマが2.2となった。それ以外は色温度が7500〜7600K、ガンマが2.1という結果だ。いずれも目視での印象と同様、Windowsやネットコンテンツで標準的なsRGB規格(6500K)に比べるとやや高く、白が少し青っぽく見える。ガンマは2.1〜2.2となっており、sRGB(2.2)とほぼ同じだ。
ガンマカーブの補正結果を見ても、赤と緑が暗部から明部までリニアに近く表示されているのに対して、青だけがずれているのが分かる(写真で青のグラフが下に膨らんでいるのは、i1Proの測定によって、中間調で青の入力に対して出力が強いのを抑える補正がなされていることを意味する)。
次にi1Proで作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、それぞれの色域を比べてみた。結果は以下の通りだ。
4台とも色域は同レベルで、13.3型ワイド液晶が11.6型ワイド液晶より色域が少し広いものの、sRGBに比べてかなり狭い。一般的なモバイルノートPC用の液晶パネルでは、この程度の色域で、標準クラスといえる。sRGBプロファイルの画像を正確な色で再現したり、鮮やかな赤や緑、深い青などを表示するには力不足だ。もっとも、液晶ディスプレイの発色に人間の目はかなり順応するので、写真や動画を見ているときに、特に彩度が低いとは感じないだろう。
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