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» 2012年06月08日 14時00分 UPDATE

明日発売! 11.6型/13.3型を徹底比較:ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(前編) (1/6)

かつて小型軽量モバイルノートPCの名機として支持された「VAIO T」が、Ivy Bridge搭載のUltrabookとして復活した。まったくの別物となったVAIO Tをどう解釈すべきか。4台の新生“T”でその実力を確かめる。

[前橋豪(撮影:矢野渉),ITmedia]

VAIO初のUltrabookは意外にも“スタンダード”路線

 ソニーの最上位モバイルノートPCといえば「VAIO Z」だが、かつては11型クラスにも「VAIO T」という名機が存在した。光学ドライブを内蔵した完成度の高い小型軽量モバイルノートPCとして、好評を博した製品だ。そのVAIO Tも2009年秋冬モデルを最後にラインアップから姿を消し、2年以上の月日が流れたが、まだまだ現役で使い続けているユーザーは少なくない。

 VAIOユーザーにとって、「T」は「Z」や「X」のようにスペシャルな型番といえるが、2012年6月4日に発表された夏モデルでは思わぬ形でVAIO Tが復活を遂げた。既報の通り、ソニー初のUltrabookにその名を与えたのだ。久しぶりのVAIO T、しかも各社がしのぎを削るUltrabookでの登場に期待は大きく膨らんだが……、誤解を恐れずにいうと、実物は筆者のイメージとは大きく違っていた。

tm_1206vaiot_rv_01.jpgtm_1206vaiot_rv_02.jpg 光学ドライブを内蔵した小型軽量モバイルノートPC「VAIO T」の最終モデル(写真=左)。2012年夏モデルでUltrabookとして復活した「VAIO T」の11.6型モデル(写真=右)

 Ultrabookとしての新生VAIO Tは、VAIO Zを頂点とするソニーのモバイルノートPC製品群において、オールインワン型の「VAIO S」より下位、つまりエントリークラス寄りのボリュームゾーンを狙っている。したがって、仕様的にはUltrabookの要件を満たすが、実体は性能と価格のバランスに配慮したエントリーモバイルノートPCに近い。極限の薄さや軽さ、突出した性能を追い求めたプレミアムモデルではないということだ。製造も“MADE IN AZUMINO, JAPAN”を掲げるVAIO Zとは異なり、海外で作られる。

 「T」を背負ったソニー初のUltrabookということで、VAIO Zに近い過剰な作り込みを期待してしまった筆者だが、冷静になって仕様を見返してみると、控えめの価格設定を含め、スタンダードなUltrabookとしてバランスがよさそうではある。新生VAIO Tには、11.6型ワイド液晶と13.3型ワイド液晶のモデルが用意されているが、その違いも含めて実力をじっくり確かめていこう。

 今回は、店頭販売向けの標準仕様モデルと、ソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナメードモデルを両方試してみた。テストしたのは11.6型の店頭モデル「SVT11119FJS」、11.6型の直販モデル「SVT1111AJ」、13.3型の店頭モデル「SVT13119FJS」、13.3型の直販モデル「SVT1311AJ」の計4台だ。これらは最終に近い試作機だが、実際の製品とは一部異なる可能性もある。

tm_1206vaiot_rv_07.jpg 13.3型モデル(左)は11.6型モデル(右)をそのまま一回り大きくしたようなボディだ。ちなみに、店頭モデルも直販モデルも外観は変わらない

tm_1206vaiot_rv_03.jpgtm_1206vaiot_rv_04.jpg VAIO Tの11.6型ワイド液晶搭載モデル

tm_1206vaiot_rv_05.jpgtm_1206vaiot_rv_06.jpg VAIO Tの13.3型ワイド液晶搭載モデル

 詳細は追って解説するが、今回入手した4台のスペックは以下の通りだ。

今回入手したVAIO Tの仕様
分類 11.6型店頭モデル 11.6型直販モデル 13.3型店頭モデル 13.3型直販モデル
製品名 SVT11119FJS SVT1111AJ SVT13119FJS SVT1311AJ
CPU Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)
チップセット Intel HM77 Express Intel HM77 Express Intel HM77 Express Intel HM77 Express
グラフィックス Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
液晶(サイズ、解像度) 11.6型ワイド、1366×768ドット 11.6型ワイド、1366×768ドット 13.3型ワイド、1366×768ドット 13.3型ワイド、1366×768ドット
メモリ PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール) PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール)
データストレージ 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) 512GバイトSSD 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) 512GバイトSSD
OS 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)
オフィススイート Microsoft Office Home & Business 2010 Microsoft Office Home & Business 2010
価格 11万円前後(量販店の実売価格) 17万8800円(ソニーストア直販価格) 12万円前後(量販店の実売価格) 18万8800円(ソニーストア直販価格)

VAIO Zを踏襲したボディデザインは頑丈な作り

 ボディデザインは画面サイズにかかわらず共通だ。Ultrabookでよく見られるくさび形ボディではなく、前面から背面まで厚みが変わらないフルフラットなスリムボディ、斜めにカットして薄さとシャープさを演出した前面のライン、液晶ディスプレイを開くと背面のヒンジ部が底面に回り込んでスタンド代わりになる機構といった特徴は、上位モデルのVAIO Zを踏襲している。いかにも、VAIO Zの兄弟機といった外観だ。

tm_1206vaiot_rv_08.jpgtm_1206vaiot_rv_09.jpgtm_1206vaiot_rv_10.jpg 前面から背面まで厚みが変わらないフルフラットなスリムボディを採用(写真=左)。前面は斜めにカットして薄さとシャープさを演出している。液晶ディスプレイを開くと背面のヒンジ部が底面に回り込んでスタンド代わりになる(写真=中央/右)

 ボディカラーは明るいシルバーで統一され、キーボードのみ視認性の高いブラックとしている。液晶ディスプレイを閉じた状態では、ヘアライン加工が施されたアルミニウムの天板が美しく、シルバーのボディによく映える。背面の液晶ディスプレイヒンジ部は樹脂にメッキをして鏡面に仕上げており、中央にはSONYロゴを配置することで、デザインのアクセントとした。

 パームレストとキーボードベゼルはマグネシウム合金の1枚板で構成されており、さらっとした手触りと金属ならではの硬質感が味わえる。ボタンのないクリックパッドの採用や、余計な装飾の排除も相まって、シンプルながら幅広い層に受け入れられやすいデザインといった趣だ。ただし、液晶ディスプレイのフレームは特に11.6型で太く(左右のフレーム幅が約19ミリ、13.3型では約14ミリ)、画面の周囲は少し洗練されていない印象を受ける。

tm_1206vaiot_rv_11.jpgtm_1206vaiot_rv_12.jpgtm_1206vaiot_rv_13.jpg ボディカラーはシルバーで、キーボードはブラックだ(写真=左)。ヘアライン加工が施されたアルミニウムの天板は、光の加減で表情を変える(写真=中央)。液晶ディスプレイのヒンジ部は、中央にSONYロゴがあしらわれている(写真=右)

 液晶ディスプレイのフレーム部は樹脂、底面から側面のボトムケースは強化樹脂だが、見た目は金属製のパームレストに近く、チープさは極力抑えられている。天面、パームレスト面、底面は指紋が付きにくいため、気楽にベタベタと触っても美観が保たれるのはいい。指紋が目立つのは、鏡面仕上げのヒンジ部分だけだ。

 一方、底面のデザインにもこだわったUltrabookは多いが、VAIO Tをひっくり返してみると、コインで回せるネジ(コインネジ)で固定されたバッテリーパック、メモリスロットやストレージにアクセスするためのカバーが背面に用意され、吸気用のスリットも複数開けられており、実用重視の設計といえる。見た目はあまりよくないものの、内部にアクセスしやすい構造を好ましく思うユーザーは少なくないだろう。

tm_1206vaiot_rv_14.jpgtm_1206vaiot_rv_15.jpg 11.6型モデルの底面(写真=左)。13.3型モデルの底面(写真=右)。底面は実用重視でデザインにはこだわっていない

 Ultrabookのような薄型軽量ノートでは、ボディの堅牢性も気になるところだ。この点、VAIO Tに不満はない。肉厚のボトムカバーは底面から側面(前面を除く3面)まで一体成形で、マグネシウム合金のパームレストも前面で折り曲がって一体成形となっている。これを上下からしっかりとかみ合わせることで、剛性を高めているのだ。試しにパームレストを片手で握って持ち上げてみても、握った部分がへこむようなことはない。

 液晶ディスプレイ側を見ても、天面から側面を一体成形のアルミ板で覆い、背面を厚みのあるヒンジのバーで固定することにより、薄型ディスプレイにありがちな開閉時のゆがみやねじれを抑えている。

 VAIO Zのデザインを随所に採り入れたVAIO Tだが、肉厚の強化樹脂やアルミニウムを素材に用いたことで、頑丈ながら薄くしなやかなカーボン素材のVAIO Zに比べて、より外殻が硬くガッシリとしている。昨今のVAIOのモバイルノートでは、手にとって最も“強さ”が感じられるボディではないだろうか(各種耐久テストの基準は他のVAIOノートと同じとのことだが)。

tm_1206vaiot_rv_16.jpgtm_1206vaiot_rv_17.jpg 肉厚のボトムカバーは底面から側面まで一体成形、マグネシウム合金のパームレストも前面で折り曲がって一体成形となる(写真=左)。液晶ディスプレイ側も、天面から側面を一体成形のアルミ板で構成している(写真=右)

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