Windows 8で本当に注目すべき2つのキーワード本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)

» 2012年08月15日 17時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]

本当の主役は、Windows 8そのものではなく……

ついに完成し、10月26日には一般販売が開始されるWindows 8(画面はRelease Preview)

 今年の秋、10月26日にはWindowsの最新バージョン、Windows 8がいよいよ発売される。Windows 8はメモリの消費量が少なく、省電力化もより進んでいるため、従来のPCにインストールしても、その恩恵を受けることはできるはずだ。Windows 8 Release Previewも少しずつアップデートが行われ、かなり動作は落ち着いてきている印象を受ける。

 Windows 8自体は8月1日に開発が完了し、8月15日に開発者向けコミュニティであるMSDNやTechNetの加入者へ、8月16日にソフトウェアアシュアランス(SA)プログラムに加入している法人顧客へダウンロードでの提供が行われ、一般向けの販売開始に向けて準備が整ってきた。

 ただし、今所有しているPCでWindows 8を使いたいのであれば、急いでバージョンアップを行うのではなく、自分の持っているPCがWindows 8に対応しているか否かをメーカーのWebサイトで確認することをおすすめする。多くのPCが、そのままWindows 8をインストールするだけで動作するだろうが、完全に互換性のないソフトウェアやハードウェアと組み合わせると、厄介な問題を抱え込むことになる。

 とはいえ、これはOSアップデート時の“お約束”とも言える行事だ。自分でWindowsを新バージョンにしようというぐらいならば、これまでにもアップグレードを経験している方は少なくないだろうし、今さら注意を喚起する必要もないだろう。

 繰り返しになるが、Windows 8は従来よりもコンパクトなメモリサイズでパフォーマンスよく動作し、よりセキュアで内部の機能実装も洗練されている。もっとも、そこは新バージョンのOSというからには、あらかじめ期待されるところであって、Windows 8の主たる任務ではない。

Windows 8(Windows RT)ではついにマイクロソフト純正のタブレットデバイス「Surface」も登場する

 Windowsに限らず、OSのバージョンアップは新しいハードウェア(PC本体だけでなく、周辺機器や通信技術など、PCを取り巻く動向すべてを含む)設計に合わせてこそ、その長所を引き出せる。既存のPCにそのままインストールして、新しい機能やユーザーインタフェースを楽しむのもいいが、本領を発揮できるのはWindows 8を前提に設計された新しいPCでのことになってくる。

 したがって、ARM版Windows 8のWindows RT搭載機を含むタブレット型のコンピュータとの組み合わせで、どんな新しい価値を生み出せるかが大事だが、すでにRelease Previewで多数の人がその体験をしているので、ここで改めて説明するまでもないだろう。従来のデスクトップ型ユーザーインタフェースを引き継ぎつつも、タブレットコンピュータらしいシンプルな全画面ユーザーインタフェースもサポートするという大胆な方策をマイクロソフトは選んだ。

 さて、それが製品版になるとどうなるのだろう? という部分にも興味は集まる。しかし、このところのマイクロソフトへの取材や関係者とのミーティングを通して思うのは、本当の主役はWindows 8そのものではなく、Windows 8に最適化したハードウェアの規格でもなく、Windows Liveとして展開してきたサービスだろう、ということだ(Windows 8ではWindows Liveのブランド名が廃止され、「〜 app」などの名称に変更される)。

 その中でも、SkyDriveとHTML5は重要なキーワードとなる。

洗練度を高め、クラウドとOSを結びつけるSkyDrive

 マイクロソフトはクラウドを中心に、テレビ(Xbox)、PCディスプレイ(Windows)、タブレットコンピュータ(Windows RT)、スマートフォン(Windows Phone)の4スクリーンを結びつけ、統合しようとしている。同じ取り組みは世界中の会社が行っているので、マイクロソフトが特別というわけではないが、Windows 8がリリースされると、彼らは4スクリーンに対するアプローチでよい位置に来ることができるはずだ。

マイクロソフトのクラウドストレージサービス「SkyDrive」は、アップデートにより、これまで「Metroスタイル」と呼ばれてきたタイル状のデザインを採用。Windows PhoneとiOS用のアプリに続き、Androidアプリも提供される

 Windows 8をDeveloper Previewのころからテストしている方は、すでに感じているだろうが、昨年9月以降のβテストで、洗練度が最も向上したのはSkyDriveの各アプリケーションでの実装だ。サービス側とWindows 8、両面のアップデートが繰り返されたことで、SkyDriveはその名の通り、クラウドの向こう側に存在し、クラウドとクラウドをつなぎ合わせる存在になっている。

 SkyDriveの基本的なコンセプトは、かつてのLonghorn(開発が中止されたWindows Vistaの前身)におけるWinFSに近い。データを単なるファイルとして見るのではなく、データ種別や属性を含めて保存し、それぞれ適した振る舞いを行うようになっている。

 SkyDriveユーザーならば、SkyDrive内にフォルダを作り、そこに写真を放り込むだけで、フォルダが電子写真アルバムのように振る舞うことを知っているはずだ。また、Office文書を放り込んでおき、SkyDriveにWebブラウザからアクセスするとOffice Web Appsへとブラウザ内でジャンプして内容を参照、簡易編集できる。

 Windows 8ではセットアップ時にMicrosoft IDの入力(あるいは作成)が求められるが、このときに既存のIDを入力すれば、ひも付けられたあらゆるデータの設定が自動的に行われる。筆者の場合、Microsoft IDに関連付けていたTwitter、LinkedIn、Facebookなども自動的にひも付けられた。Googleアカウントを追加(メール、連絡先、カレンダーを同期可能)することもできる。

 Googleアカウントに対応することにより、Googleが提供する基本的なWebサービスと、Windowsの基本機能を結びつけることで、メジャーなWebサービスには対応する姿勢を見せている。しかし、マイクロソフトがWindows 8で目指しているユーザー体験は、もっと密度の濃いものだ。

 データは手元のコンピュータ内部にあるのか、それともクラウドの中にしか存在しないのか、複数の端末で同じデータ、同じサービスを継承し、ユーザーに余分な使いこなしを求めない。マイクロソフトはP2Pデータ同期ソリューションのWindows Live Meshの新バージョンを提供しないことを決めた。これは、SkyDriveとの連動性をさらに強めることで、データの扱いを統一するためだ。同様の機能はSkyDriveを中心に提供するという意思の表れと言える。

 こうしたネットワークサービスとOSの統合は、個人向けコンピュータだけの話にはとどまらない。中小の事業所ならば、Office 365で社内コラボレーションを促し、大企業向けにはサーバ製品を中心にクライアントとサーバの一体化を指向する。

 パーソナルユースに向けて無償でOffice Web Appsを提供するだけでなく、小規模事業者から大企業まで幅広く提供する自社製品との連携などを強化していけることが、マイクロソフトの大きな強みになるはずだ。

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