なぜ、このようなことができるのか。Windows 7/8.1からWindows 10への無料アップグレードでは、Windows 7/8.1でのライセンス認証が、Windows 10へのアップグレードによって「Windows 10で利用可能なデジタルライセンス」へとアップグレードされる。このデジタルライセンスに、マシン固有の情報が記録されるのだ。
これによって、一度Windows 10へアップグレードしておくと、Windows 7/8.1のプロダクトキーがWindows 10でも利用可能になり、ライセンス認証が自動で行える。
記事初出時、「MicrosoftアカウントがOSのプロダクトキー情報を記録し、自動的に当該のPCとのひも付けを行う」との表記がありましたが誤りでした。おわびして訂正いたします(PC USER編集部)
例えば、Windows 10にアップグレードした後、Windows 7/8.1の旧環境に戻したとする。次にISOイメージやUSBメモリ経由でWindows 10をインストールしたら、プロダクトキーの入力なしに自動でライセンス認証が行われ、正規のWindowsとして利用が可能になるのだ。これはWindows 10をクリーンインストールする方法としても役立つので、覚えておくとよいだろう。
ただし、Windows 7/8.1からWindows 10にアップグレードしたことがあるPCでも、その後にハードウェア構成を変えてしまうとデジタルライセンスが無効になってしまい、自動でのライセンス認証はできなくなる。ハードウェア構成を頻繁に変えるユーザーにとって、これは面倒な問題だ。
そこで、2016年8月2日に配信されるWindows 10の無料大型アップデート「Anniversary Update」では、デジタルライセンス情報をMicrosoftアカウントとあらかじめひも付けしておき、ハードウェア構成変更後のマシンに再度デジタルライセンス情報を付与する「Activation Troubleshooter」の機能が追加される。これにより、ハードウェアの構成を変更した後にライセンス認証が外れてしまう問題が解決されるはずだ。
Microsoftは、7月29日より後はGWXアプリを無効化することを表明しており、実質的にGWXアプリ経由でのWindows 10へのアップグレードは行えなくなる。このタイミング以降、Windows Update経由でWindows 10へのアップグレードが可能かどうかは不明だが、もし無料期間中にアップグレードを行わず、正規のWindows 10ライセンスを持たないユーザーに配信をしても無意味なので、恐らくWindows Update経由での提供もされないだろう。
7月29日より後に、前述の方法でマシンの固有情報をデジタルライセンスに記録していて、Windows 7/8.1のプロダクトキーをWindows 10でも利用できるユーザー、あるいは正規のWindows 10ライセンスを持つユーザーは、Microsoft公式の「メディア作成ツール(Media Creation Tool)」でISOイメージかUSBメモリを作成し、ここからアップグレードインストールまたはクリーンインストールを行うことになる。
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