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神尾寿のMobile+Views:エコシステム拡大に拍車がかかる!? iPhone OS 3.0とiPhone 3G Sのインパクト (1/3)

全世界で4000万台を超えたことが明らかにされたiPhone/iPod touchの出荷台数。そのエコシステムにiPhone OS 3.0とiPhone 3G Sが加わることで、さらに拡大が進むことは想像に難くない。ほんの2年ほど前に発売されたばかりのiPhoneは、今や社会インフラになり得るポテンシャルを持つ。

 6月8日(現地時間)、米国・サンフランシスコでAppleの開発者向け年次イベント「Worldwide Developers Conference 2009(WWDC 2009)」が始まった。すでに現地リポート記事も掲載されているが、WWDC 2009の幕開けとなる基調講演は例によって2時間近くの長丁場となり、新型「MacBook Pro」シリーズから新たなMac OSとなる「Snow Leopard」、Webブラウザの「Safari 4」、そして「iPhone OS 3.0」とiPhone 3Gの新型となる「iPhone 3G S」が発表された。これだけ多くのプロダクトが一斉に発表されたこともあり、基調講演の会場内は立錐の余地がないほどの混雑ぶり。正式な参加人数は公表されていないが、「これまでのWWDC(の基調講演)においても、過去最大規模の参加者数」(アップル広報)だという。

PhotoPhoto 6月8日から開催中のWWDC 2009。今年の注目はやはりiPhone OS 3.0とiPhone 3G Sだ。会場に掲げられた横断幕の「One year later. Light-years ahead.」(1年後 数光年先)という文字が印象的。基調講演の会場は人混みであふれかえっていた。参加人数は過去最大とのこと

 iPhone/iPod touchのエコシステムはどれだけ盛り上がっているのか。そして、6月17日のリリースが正式発表されたiPhone OS 3.0と、日本でも6月26日からの販売が決定したiPhone 3G Sのインパクトはどれほどあるのか。

 今回のMobile +Viewsでは、WWDC会場およびプレス向けグループインタビューから、iPhoneを取りまくエコシステムの現況と今後を見ていく。

光速で拡大したiPhoneプラットフォーム

 今回のWWDC 2009では多くのプロダクトが発表されたが、その中でもやはり注目はAppleの新たな“顔”となったiPhone/iPod touchのプラットフォームであり、エコシステムだ。WWDC 2009の会場内にはAppStoreで販売されているiPhone用アプリのアイコンが飾られ、来場者受付の横断幕には「One year later. Light-years ahead.」(1年後 数光年先)という文字がシンプルに、しかし自信に満ちた感じで掲げられていた。そう、iPhone 3Gの登場から、まだ1年弱しか経過していないのだ。その1年でiPhone/iPod touchのアプリケーションやサービスのプラットフォームは、まさに光のようなスピードで世界を駆け抜けた。日本を含む世界81カ国で、単一のプラットフォームがこれほどのスピードで拡大したことは特筆に値するだろう。

 基調講演では、このiPhone/iPod touchのプラットフォーム規模の拡大について、あらためて紹介された。iPhoneおよびiPod touchの普及台数は、グローバルで約4000万台。AppStoreで流通するアプリは5万種類を超えており、ダウンロード総数は10億の大台を突破したという。

 単一のハードウェアを普及させて、ソフトウェアやサービスの部分で「進化と多様性の提供」を行う。Appleのアプローチは、地域市場やユーザーニーズにあわせて少量・他品種のハードウェアを開発・投入するという“携帯電話メーカーのビジネスモデル”と真逆を行くものだが、これらのデータからは、それが着実に市場に受け入れられ、iPhoneの成功要因になったことが分かる。

 さらに基調講演では、米国内のモバイル端末からのブラウザー接続において、iPhoneのシェアが65%に達していることが紹介された。この1年で、多くのWebサービスやWebメディアがiPhoneに最適化されたサイトを構築するようになり、iPhoneのSafari(そしてAndroidやNokia端末などにも採用されているオープンソースのブラウザエンジンWebKit)はモバイルブラウザのデファクトスタンダード(事実上の標準)になりつつある。PCインターネットの世界におけるマイクロソフトのInternet Explorerがそうであったように、ブラウザーの利用シェアの高さはビジネス的な優位性につながる。そうした観点で見れば、iPhoneのSafariが、次世代のモバイルブラウザーにおいて高いシェアを確保していることは注目のポイントと言えるだろう。

iPhone OS 3.0で機能・性能が大幅に向上

 このような規模の拡大を背景に、その可能性を大幅に広げるアップデート。それが6月17日にリリースされるiPhone OS 3.0だ。

 基調講演ではまず、iPhone OS 3.0が100以上の新機能が実現されたメジャーバージョンアップであることを強調。iPhoneは無料で、iPod touchは9.95ドル(日本価格は未発表)でアップデートできると発表されると、会場から歓声が沸いた。

 iPhone OS 3.0ではUIから搭載機能まで大幅な改修が加えられており、待望の「カット&ペースト」や「MMS」への対応、本体を横向きにしてキーボードが使える「Landscapeモード」、高度な検索機能の「Spotlight」、紛失したiPhoneを探したり、遠隔操作でデータを削除する「Find My iPhone」などさまざまな新機能が実装される。

PhotoPhoto カット&ペーストやメール・メモなどでのランドスケープ(横画面)モードのサポートなど、待望の機能が多数実装された

 コンテンツ/アプリ環境の進化も著しく、アプリ単位で新着情報を通知する「Push Notification」や、アプリ内からの追加コンテンツ購入や、月額課金が可能になる「In App-Purchase」などが用意された。さらにDockコネクターやBluetoothの制御もアプリ側から可能になり、独自プロトコルの開発や利用が可能になっている。これにより外部機器と連携したアプリやサービスも作りやすくなった。またWebブラウザーの動作速度や安定性も向上しているため、iPhone向けのWebサービスにとってもiPhone OS 3.0は有利に働くという。

 これら新機能以外にも、iPhone OS 3.0は現行バージョンに比べてソフトウェアの最適化が進んでいるとのことなので、全体的な動作速度や安定性、バッテリー持続時間などの改善が期待できそうだ。こうした“OSのバージョンアップで、性能や機能が劇的に向上する”のは今のところiPhoneシリーズのみが持ち得る優位性である。

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