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» 2009年06月30日 18時18分 UPDATE

Ericsson Business Innovation Forum 2009:ネット端末「500億台」を見据えるEricsson

HSPAやWiMAX、LTEと高速なモバイル通信技術が普及することで、固定ブロードバンドとモバイルブロードバンドの垣根がますます低くなっている。Ericssonが見据える「ネット端末500億台」時代とはどんな未来なのだろうか。

[末岡洋子,ITmedia]
photo Ericsson CTO兼上級副社長のホーカン・エリクソン(Hakan Eriksson)氏

 スウェーデンのEricssonは6月22日と23日(現地時間)、ストックホルム郊外にある本社でプレス向けイベント「Ericsson Business Innovation Forum」を開催。“イノベーション”をキーワードに、テレコム業界の最新動向と、Ericssonの今後の取り組みを紹介した。

 22日はEricssonのCTO兼上級副社長のホーカン・エリクソン(Hakan Eriksson)氏が登場し、同社主力事業のモバイル通信におけるトレンドを語った。

 近い将来、固定と無線の両方でブロードバンドインターネットが普及すれば、さまざまな端末からインターネットとその先にあるサービスにアクセスできるようになる。例えば外国を旅行中に入ったレストランで、メニューが読めなくても、携帯電話のカメラで写真を撮り、ネット上にある翻訳サービスにアクセスして、メニューを母国語に翻訳するといった利用なども考えられる。3GやHSPAなどの高速なモバイル通信技術に、RFIDタグやQRコードなどの技術を組み合わせれば、利便性がさらに高まる。

 「新しい技術には、イノベーションと開発の2つのフェーズがある」とエリクソン氏は説明する。イノベーションの次に訪れる開発フェーズでは、基礎技術の上にアプリケーションが生まれるというのだ。現在のモバイル技術は、イノベーションと開発の中間にあるという。

エリクソン氏は携帯電話が2Gから3Gへ進化したとき、「(開発と普及の)サイクルも速くなった」と指摘する。技術革新と普及のサイクルは加速を続け、Ericssonでは2040年にはブロードバンド人口は30億人に達すると予想。このうちの80%がモバイルブロードバンドを利用するとみている。「モバイルは独占的な技術になる」と、エリクソン氏は話す。

 モバイルブロードバンドの普及で課題となるのが、爆発的に増加するトラフィックの処理だ。現在主流の音声ユーザーがデータ通信を利用するようになると、ネットワークへの負荷は一気に増大する。今後10年でデータ量が1000倍に膨れるとしたら、ネットワークは対応できるのか? エリクソン氏は「われわれなら対応できる」と胸を張る。

 モバイルブロードバンド時代の主要技術は、3G/HSPA/LTEなどの3GPP技術だ。このほかにもWiMAXなどがあるが、モバイルWiMAXののシェアは2014年に1%程度にとどまり、CDMAの3GPP2が融合した3GPPは圧倒的に有利な立場となる。

photo 下からCDMA(赤)、Mobile WiMAX(黄色)、TDSCDMA(ピンク)、GSM/GPRS/EDGE(青)、WCDMA/HSPA(水色)、LTE(薄い水色)
photo Ericsson IP&ブロードバンドネットワークス担当事業部長代理のヤン・ハーグルンド(Jan Haglund)氏

 現在、モバイルには40億の加入数、固定ブロードバンドには4億の契約があるが、主流は家庭ごとの固定ブロードバンドから、個人ベースのモバイルブロードバンドに移行しつつある。将来は個人ベースから端末ベースのモバイルに移行するとEricssonはみており、「2020年には全世界で500億台のモバイル端末がネットワークに接続される」と、固定と無線のコンバージェンス(融合)が起こるとエリクソン氏は予想する。

 固定インフラ側の取り組みを紹介したIP&ブロードバンドネットワークス担当事業部長代理のヤン・ハーグルンド(Jan Haglund)氏は、この“コンバージェンス”をさらに掘り下げて説明した。

 ハーグルンド氏によると通信のコンバージェンスは、サービス/ネットワーク/技術の3つの側面から考える必要があるという。サービスは、必要なときにどこからでもサービスにアクセスできる環境で、Ericssonでは「フルサービスブロードバンド」と呼んでいる。モバイルと固定は今後も並行して存在するが、2つのネットワークのキャパシティと速度は異なる。

 インフラプロバイダーとサービスプロバイダーは、ともに2種類のアクセスを考慮してサービスを提供する必要があり、またアクセスする端末が携帯電話やデジタルカメラなどのガジェットからリビングの薄型テレビまで、多岐にわたる可能性を考慮しなくてはならない。各デバイスのディスプレイサイズに合わせてサービス画面をシームレスに調整する機能も必要だという。

 そしてネットワークで鍵を握るのが「IMS」だ。現在、無線、固定、データ通信、テレビなどサービスごとに専用ネットワークがあり、それぞれに運用と管理などのプロセスが分かれている。これらを共通化するIMSを使うことで、コスト削減を達成できるという。ハーグルンド氏によると、IMSへの移行は以前からいわれているトレンドだが、このところの経済危機により、低コストを求めてのIMS移行が加速しているという。

 こうしたサービスとネットワークは、IP技術をバックボーンとすることで実現する。LTEなどの無線アクセス技術はIPパケットに最適化されており、IP-TVによるテレビ配信、VoIPを使った音声電話を、都市部の通信網をすべてIP化した“メトロイーサネット”上で提供。ハーグルンド氏は、「IPがユビキタスサービスを実現するコア。Ericssonの無線知識とIP技術を組み合わせることで、コンバージェンスを推進できるだろう」と自信を見せる。

 さらに、「固定とモバイルのフルサービスブロードバンドにおけるEricssonの戦略は、オープンな国際標準をベースとした製品ポートフォリオと柔軟なアキーテクチャによるコスト効果にある」(ハーグルンド氏)と続けた。

 ハーグルンド氏は最後に、5月に世界初の商用LTE基地局を設置した北欧のオペレーターTeliaSoneraと、世界初のHSPA+の商用サービスを開始したオーストラリアのTelstraなどがEricsson製のインフラを導入した事例を紹介。今後もモバイル業界をリードし続けるという強い決意を見せた。

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