アルコールを検知するとエンジンが始動不可に――東海電子の「ALC-LOCK」第1回 国際自動車通信技術展

» 2009年10月22日 21時09分 公開
[田中聡,ITmedia]
photo 各アルコール測定システムの特徴

 東海電子は、全国1万以上の事業所に導入している業務用アルコール測定システム「ALCシリーズ」をKDDIブースで展示。ALCシリーズは現在、「ALC-mini II」「ALC-Mobile」「ALC-PRO II」の3種類で展開。いずれの製品も、専用のマウスピースに息を吹き込んでアルコールを測定、記録するのが目的だが、記録する媒体が異なる。3システムとも測定の精度に差はない。

 シンプルな機能に特化したALC-mini IIは、アルコールの測定後に、記録内容が記載されたロール紙が出力される。価格は6万9000円。

 ALC-Mobileは東海電子とKDDIが共通開発したシステムで、2006年にはとバスが導入した。測定器とauケータイを接続し、測定結果をケータイメールで管理者へ送信する。ケータイで撮影したドライバーの写真や、GPSを利用した位置情報を測定データに添付することで、測定結果の改ざんを防止できる。価格は8万9000円。

photophoto 「ALC-mini II」(写真=左)と「ALC-Mobile」(写真=右)

 PCで測定データを管理するALC-PRO IIは、付属のUSBカメラでドライバーの写真を撮影し、各ドライバーの認証IDと写真を組み合わせることで、測定結果の改ざんを防止する。さらに、オプションのIDカードリーダーを利用すれば、免許証を挿入するだけで(認証IDを入力することなく)スピーディに測定できる。

photophotophoto 「ALC-PRO II」は、オプションのIDカードリーダーに免許証を挿入すれば、スムーズに測定できる。測定器に取り付けたマウスピースに息を吹き込んで測定する
photophoto 測定結果がモニターに表示される。写真ではアルコールが検出されていないことが分かる(写真=左)。測定結果はPCのソフトに記録される(写真=右)
photo 「ALC-LOCK(アルコールインターロック装置)」はKDDIの通信モジュールを搭載している

 飲酒運転を防ぐ究極の装置として注目したいのが、同社が新製品として展示していた「ALC-LOCK(アルコールインターロック装置)」。ALC-LOCKは車に取り付けて利用するもので、息を吹き込んでアルコールが検知されないとエンジンが始動せず、アルコールが検知されるとエンジンがかからなくなる。この仕組みにより、別の人間が測定のみをするという“なりすまし”を防げる。

 さらに、測定器はKDDIの通信モジュールを内蔵しており、測定器のカメラで撮影したドライバーの写真や測定結果、GPSで測位した位置情報などを管理者へリアルタイムに送信できる。東海電子の説明員によると、通信モジュールを内蔵した車載のアルコール測定システムは、純国産モデルでは初だという。

photophotophoto ALC-LOCKのデモを行っていた車(写真=左)。測定に使うハンディユニット(写真=中)とディスプレイ&カメラユニット(写真=右)
photophotophoto ハンディユニットにマウスピースを取り付けて測定する(写真=左)。20秒ほど経ってから息を吹き込む(写真=中)。アルコールが検知されないと、ディスプレイに「0000」と表示され、運転可能になる(写真=右)

 企業がアルコール測定システムを導入する目的は、「飲酒運転を防ぐためというよりも、導入会社が外部に対して、飲酒運転防止の管理を徹底しているという経営指針を示すことが大きい」(説明員)という。その“示し”の方法として、ALC-LOCK導入車には「この車は、アルコールを検知するとエンジンがかかりません」と明記されたステッカーが貼られる。

 ALC-LOCKは2010年をめどに導入を予定しており、1社あたり80台の導入を目指すという。価格は12万8000円。

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