ドコモ超えは「ほぼ明確に見えてきた」、次は世界ナンバー1を目指す――ソフトバンク孫社長(1/2 ページ)

» 2013年07月30日 22時52分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ソフトバンクが7月30日、2014年3月期第1四半期の決算発表を行った。売上高は、前年同期比21%増の8811億円で、過去最高を記録した。営業利益(償却前)は3452億円で前年同期比23%増、営業利益は3910億円で前年同期比92%増。純利益は前年同期比2.3倍の2382億円、でこちらも過去最高となった。

photophoto 売上高(写真=左)と営業利益(売却前)(写真=右)
photophoto 営業利益は、ガンホー子会社化に伴う一時益などで、92%増となった(写真=左)。純利益も過去最高を記録した(写真=右)
photo ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏

 ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は冒頭で「先日の株主総会で久しぶりに『大ぼらを吹く』と申し上げた。それは、我々が300年以上成長する企業になること。たいへん長い道のりの旅だと思っている」と切り出す。1981年の創業から始まった、このストーリーの第1章が、国内ナンバー1になること。具体的には「NTTドコモを超える」こと。孫氏は「今年、この第1章を達成できることがほぼ明確に見えてきた」と自信を見せる。

 そして第2章が世界ナンバー1になること。この幕開けとして、ソフトバンクは7月11日に米国の通信事業者 Sprint Nextelの買収を完了させ、SprintによるClearwireの買収も完了した。「相手(Sprint)は世界でも有数の規模を持つ会社。そこに挑戦するのは、今まで日本の王者だったドコモへの挑戦とはレベルの違う戦いになる。Jリーグからワールドカップという世界だと思っている」と意気込みを話した。

Sprintを含めれば「ドコモをはるかに上回る規模」に

 国内ナンバー1になったと言える根拠はどこにあるのか。孫氏は「ドコモさんよりサービスで劣っていて、反省しないといけない点はある」としつつも、「利益」「合算ユーザー数」「電波のつながりやすさ」ではドコモを超えたと話す。

 まずは利益。第1四半期の営業利益はドコモが2475億円、ソフトバンクが3910億円で、ソフトバンクが上回った。また前年同月比における営業利益の増減率も、ドコモが6%減であるのに対し、ソフトバンクは92%増と差をつけた。孫氏は「売上高、EBITDA(減価償却前営業利益)、営業利益、純利益の4つすべてで過去最高の数字を出せた」と手応えを話す。

photophoto 営業利益でドコモを逆転した(写真=左)。営業利益の増減率は、ドコモより大幅に高い(写真=右)

 続いてユーザー数。2013年4〜6月におけるソフトバンクモバイルの契約純増数は81万で、4期連続で過去最高となった。この3カ月間の純増数はドコモ(9万)とau(67万)を上回る。グループ会社のイー・アクセスとウィルコムを含めた契約数は6月時点で4283万で、これにSprintの契約数を加えると累計9804万となり、グローバル規模ではあるが「ドコモをはるかに上回る規模のユーザー数になった」と孫氏は強調する。なお、ARPUの4460円はドコモの4610円よりも低いが、「順調に推移している」とした。

photophoto 2013年4〜6月の純増数(写真=左)。イー・モバイルとウィルコムの契約数を合わせれば、計95万契約となる(写真=右)
photophoto Sprintも含めた累計契約数ではドコモを逆転した(写真=左)。ARPUも順調に推移しているという(写真=右)

 7月からソフトバンクの子会社となったウィルコムについては「ソフトバンク傘下に入った途端にV字回復して毎月黒字を出している。ウィルコムの株式価値は、ソフトバンクが救済を開始したときは3億円だったが、現在は1041億円にまで伸びている」と孫氏は手応えを話した。

接続率の高さが信じられないのは仕方がない?

 そして孫氏が「一番大変だった」と話すのが、電波のつながりやすさだ。ソフトバンクモバイルは、2012年7月に「プラチナバンド」と呼ばれる900MHz帯の認可を得たが、15MHz幅(×2)のうち、10MHz幅(×2)はMCA無線などに使われているため、現在利用できるのは5MHz幅(×2)のみ。「ほかのユーザーが存在しているところを、全部立ち退いてもらってから使っていいよ、自分で汗をかいて電波の地上げをしなさいよと(いうこと)」と話し、もどかしさを感じているようだ。ただ「5MHzでもたいへんありがたい」と孫氏。「残りの10MHzも、既存ユーザーの方々には、何とかほかの周波数に移動してください、そのために必要な機器や処置を行います――とお願いし、必死の思いで毎日作業している」(孫氏)

 プラチナバンド(900MHz帯)対応の基地局数は、2013年7月時点で約2.5万局。「世界中を見ても、信じられないほどのスピードで増設している」と孫氏はアピールする。

 ソフトバンクが特許出願済みという手法で調査をしている「パケット接続率」についても、あらためて説明した。この接続率は、「防災速報」アプリ(ヤフー)と「ラーメンチェッカー」アプリ(Agoop)を使っているドコモ、au、ソフトバンクユーザーに了承を得で、月間9億件の通信ログを取って調べたもの。基地局や地図、時間などの情報を掛け合わせて、300億のレコードをリアルタイムで分析しており、ピンポイントでどこに通信の穴があるかを把握できるという。「例えばドコモのXperiaが、月曜の朝7時に、渋谷駅周辺で何%つながっているか――といったことも解析できる」と孫氏は説明する。

 調査範囲は「全国を100メートルメッシュのブロックに分けて展開している」そうで、「ここまでやったのは世界で初めて」と孫氏は胸を張る。

 「最近、一部のマスコミなどで『ソフトバンクの接続率は独りよがりではないか?』という記事が見受けられる」が、孫氏はこれに反論。「これらの記事は、記者の皆さんが200箇所だけ調べました、1000人に聞きましたという程度の調査(にもとづくもの)では。我々は月間で9億回、合計300億件のリポートを把握している。これほど大量のデータを全国に渡ってくまなく把握しているのは我々しかいない」

photophoto 接続率の算出時には、300億のレコードを分析している(写真=左)。時間ごとの人の流れや対流も把握している(写真=右)

 ただし、ソフトバンクの接続率が他社を上回るのは、LTEスマートフォンやSoftBank 4G(AXGP)対応スマートフォンを使った場合だという。ソフトバンクのLTEスマートフォンの音声接続率(7月23日)は98.7%、LTEスマートフォンのパケット接続率は97.8%で、いずれもドコモとauを上回っているが、「(プラチナバンド非対応など)古い機種だとここまでの好成績は出せない」と孫氏。「(接続率の数字が)信じられない人がたくさんいるのは仕方ない。LTEを使っておらず、二つ折りのケータイを使っていて、実感として良くなっていないと感じる方はたくさんいる。しかしiPhone 5や最近のAndroidなら、我々の方がはるかにつながる。(接続率の良さを)体感する人が増えて、周囲に知れ渡るのは時間の問題だと思う」と楽観的な見方を示した。

photophoto LTEスマートフォンの音声接続率(写真=左)とパケット接続率(写真=右)
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photophoto 孫氏は、第三者機関のパケ詰まりや速度に関する調査でも、ソフトバンク端末が他社端末よりも優れた結果を出した事例も紹介した

 ソフトバンクモバイルは重大な通信障害が少ないことにも言及。影響者数が3万人以上、2時間以上の障害が起きたときは、通信事業者は重大事故として総務大臣に報告しなければならないが、ソフトバンクモバイルはこれを796日間起こしていない。「2013年に入ってからはドコモさんは改善したが、auさんはいまだに大きな事故が続いている」(孫氏)

photo ソフトバンクモバイルは、796日間、重大事故を起こしていない
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