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» 2005年01月26日 14時51分 公開

ターゲットは世界。海外市場へ飛び出す韓国端末韓国携帯事情(2/2 ページ)

[佐々木朋美,ITmedia]
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 「それは、世界を相手にしたほうが市場が広いうえ、韓国の携帯電話の所有率が3分の2と飽和状態に近くなっているからです。しかも韓国人は携帯電話でも何でも、SamsungやLGといったブランドで選ぶ傾向がかなり強い。だから韓国の企業家たちは、輸出する考えの強い人が多いのです」と説明してくれたのは、VKマーケティングチーム課長のキム・ギヒョン氏だ。

 VKは現在、中国、東南アジア(香港、台湾含む)、米国、欧州に「VK Mobile」のブランド名でCDMAやGSM端末を供給しているメーカーだ。特に中国では、2002年に地元企業のXiamen Chabridge Equipmentを子会社化して上海や北京に直営店を出すなど、本格的な進出を果たしている。さらに2003年末からは、国内キャリアSKT向け端末もリリースし始め、じわじわとその知名度を広げてきている。

 VKが最初に海外へ向けて端末をリリースしたのは、2001年12月のこと。香港と台湾に向け、GSM端末を出したのが最初だった。日本よりも早く韓流ブームが巻き起こっていた香港や台湾において、いち早く韓国メーカーであることを印象付けようと広告に人気の韓流スターを起用。価格は日本円にして約12万円程度と高めに設定した。パッケージも高級感あるデザインにすることで、SamsungやLGと同じ韓国からやって来た質の高いメーカーであることをアピールした。

 その強気の戦略が新しいタイプの端末を探していたユーザーに受け入れられ、2002年には約5000万ドルの輸出額を達成。それを足がかりに、中国本土、そして欧州といったGSM圏から、CDMA圏の米国へも販路を拡大すると、2003年には1億ドル、2004年には2億ドルにまで達し、2004年11月には「アジア・太平洋地域 高速成長企業 500」にも選出されている。

2004年1月、カメラフォンの広告(左)。VK端末の人気の火付け役となった、韓流スター、チョン・ジヒョンを起用。2004年、VK Mobile製品のイメージ広告(中)。チョン・ジヒョンで10代の心をつかんだ後、さらに年齢層を拡大しようと、韓流スター、アン・ジェウクを起用し高級感をアピール。2003年6月、ロシアの広告(右)。当時としては世界最小のカラー液晶携帯であることを強調
韓国では、他国とのイメージとは一変し、親しみやすさを強調。価格も20万ウォン(約2万円)前後とリーズナブルで、子どもやお年寄り、「節約派」のユーザーを中心に人気。今年から始まった番号ポータビリティも後押しして、2004年には国内での総出荷数が、5万台という予想を6倍以上超える、約33万台を達成した

2年半ぶりの日本ローミングフォンがリリースと日本進出

 そのVKが1月14日、日本へのローミング(cdmaOne)が可能な「VK220C」をリリースした。外国へ持って行ってもそのまま使えるローミングフォンだが、日本の場合、周波数の特殊性から特定機種でしかローミングができない。日本対応機種のリリースは、なんと約2年半ぶりだ。

 現在も日本を往復するビジネスマンなどに細々と売れ続けているローミングフォンは、実質Anycall(Samsung)製の1機種(KTFは「SPH-X6000」、SKTは「SCH-X600」という型番)のみ。それ以前にも三洋製の「C111SA」しか存在しておらず、端末に選択の余地がないのが現状だ。

 新たにローミングフォンを作った理由として、前出のキム・ギヒョン氏は「SKT側からの要求が大きかったのです。日本向けローミングフォンを、長い間リリースしていない状態でしたので、カメラ付きのものを出そうということになりました。私たちとしても、既存の機種をローミング用にアップグレードさせただけで、大きな負担なく作ることができました」という。

 ちなみにこれをきっかけとした日本進出はあるか? との質問には「W-CDMAの日本市場で勝算があるようなら」と前置きしつつ、「進出してみたいですね」と話す。VKの今年の目標は、利益率と、昨年の総売り上げの10%程度しか占められなかった欧州市場でのシェアを伸ばすことだ。

 「国内で20%。残りの80%は3分の1ずつを、中国、ヨーロッパ、東南アジアという配分を目指します。活動基盤である中国市場だけを見れば、その比率を減らすことになりますが、実質損にならないよう全体の売り上げを伸ばします」(キム・ギヒョン氏)と意気込む。

VK Mobileの日本ローミングフォン「VK220C」(左)。130万画素カメラ付き、2インチ26万万色TFT LCD(176×220ピクセル)のスライドフォンだ。これまで日本ローミングフォンといえば、Anycallのこの機種のみだった。6万5000色液晶で40和音(右)。

次世代へ向け、淘汰が始まる

 ただしVKのように好調なメーカーだけではない。裏には厳しい現実もある。中国市場を中心に端末を提供していたセウォンテレコムは、2002年に中華圏へ167万台を輸出。2003年8月時点では中小企業の中で初めて輸出3億ドル突破という記録を樹立し、輸出量もこれまでの2倍以上増の467万台となった。しかし輸出拡大の一方で、営業利益337億ウォンもの赤字を出し、結局2004年5月、法廷管理(日本でいう会社更正法)を申請する結果に終わっている。

 1年という短い期間で、最盛期と転落を経験してしまった理由はさまざまあるが、大きな原因はSARSなどの影響で中国市場が冷え込んだことと、時期を同じくして中国メーカーが技術力をつけ、中・低価格帯を中心にシェアを拡大してきたことだ。

 自社ブランドよりOEMによる生産・販売が多かった同社はその影響をもろに受け、1台約150ドルの輸出価格を60ドル台にまで下げ、赤字の輸出を行ったことが破綻につながった。現在も価格競争力の強い中国メーカーはシェアを徐々に拡大しつつあり、今後ブランド力の弱いメーカーは苦戦を強いられる可能性が高い。

 昨年NokiaとMotoloraが日本市場への返り咲きを果たしたように、目前に迫っているW-CDMAへの移行に伴って世界の動きは活発。韓国でも、ブランド名「SKY」の端末メーカーSKテレテックと、ブランド名「EVER」の端末メーカーKTFテクノロジースが、海外進出へ向け動き出しているという。

 韓国の携帯電話メーカーが新たに2つ参入することで、競争はさらに激化しそうだ。逆に世界市場で争えるだけの舞台が整った今、未だ存在感を発揮できずにいる日本メーカーの活躍にも期待したい。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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