OSはAndroid 2.3だが、発売後にAndroid 4.0へのアップデートを予定している。ただし「現時点での提供時期は未定」(説明員)とのことだ。国内向けサービスではワンセグと赤外線通信、緊急地震速報に対応するが、おサイフケータイは非対応。他社を含めた夏モデルの中では決してハイスペックな製品ではなく、やはりPHSと3Gに“デュアル”で対応するユニークさが目を引く。
WX04Kには、070から始まるPHS用の電話番号と、080か090から始まる携帯電話(3G)用の電話番号が付与される。PHSは音声通話専用であり、ライトメールやメール、データ通信サービスには対応していない。
3Gについては、ソフトバンクモバイルの回線をウィルコムがMVNOとして提供する形式。3Gでも音声通話は可能で、パケット通信は下り最大21Mbpsの「ULTRA SPEED」を利用できる。3Gの周波数帯は2.1GHzと1.5GHzで、残念ながらプラチナバンド(900MHz)は非対応。海外ローミングはW-CDMAのほかGSM(900MHz/1800MHz/1900MHz)をサポートしている。
メールに関しては3GのSMSとMMSを利用することになり、特にMMSは「〜@wcm.ne.jp」というソフトバンクが提供する新ドメインのキャリアメールを使用する。既存のウィルコムユーザーが機種変更する場合、従来のアドレスが引き継げないことと、070番号を指定してメッセージを送るライトメールも使えない点に注意したい。
またソフトバンクモバイルを含む他社携帯電話のユーザーは、080/090の電話番号をMNPを使ってWX04Kへ引き継げる。この場合も携帯電話で使っていたキャリアメールのアドレスは引き継げないが、これは他社間同士のMNPでも同様だ。ただし、080/090の電話番号を指定するSNSはMNP後も利用できる。
料金プランは専用の「ウィルコムプランD」のみで、ほかのプランは適用できない。月額料金は基本使用料980円+WEB接続料315円+3Gパケット定額5460円の合計6755円で、これにはウィルコム同士の音声通話と3Gパケット通信の定額利用が含まれている。オプションとして「だれとでも定額」(月額980円)を用意するが、当面はキャンペーン期間として“だれ定”を無料で提供するので、6755円でさらに他キャリア・固定電話への国内PHS通話(10分以内)が月500回まで利用できる。ただし、3Gを使って音声通話を発信すると相手先にかかわらず30秒21円の電話料金が発生し、またソフトバンク以外の携帯電話にSNSを送る際は1通3.15円の送信料がかかる。なお、1つの端末で2回線の電話番号を持つが、ユニバーサル料金は1回線分のみ(5.25円)徴収される。
WX04Kはウィルコム初のAndroidスマートフォンではあるが、成り立ちとしてはソフトバンクモバイル向けの3GスマホにPHSの音声通話機能を追加したモデル――という印象だ。音質の良さや定額利用など、PHSならでの通話サービスがようやくスマホで使えることは歓迎だが、月額7000円弱の専用プランや、ウィルコムのメールアドレスが引き継げない点など、既存ユーザーが乗り換えを躊躇してしまう要素があるのも事実。また“なにもかも1台で済ませたい”というニーズには、テザリングができない点がなんとも惜しい。
とはいえかなり意欲的でユニークなデバイスなことに違いはない。ウィルコムとソフトバンクという2つの電話番号の使い分けなど、ほかのキャリアのスマートフォンにはまねできない魅力を持った1台だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.