磨き上げられた使いやすさ ほぼ全部入り「ARROWS V F-04E」を試す(後編)(2/2 ページ)

» 2012年11月19日 12時00分 公開
[園部修,ITmedia]
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富士通のお家芸、指紋センサーとプライバシーモードがすごい

 ヒューマンセントリックエンジンで実現される使い勝手のよさに加えて、ARROWS V F-04Eにはもう1つ興味深い機能が用意されている。それが指紋センサーを活用したセキュリティ機能だ。富士通といえば、これまで携帯電話にも指紋センサーを搭載した実績があり、古くからドコモを使っているユーザーの中には、「セキュリティの高い端末」というイメージも強い。しかしAndroidスマートフォンには、この高度なセキュリティが移植されるのに時間がかかっていた。

Photo ボディ背面の中央に指紋センサーを搭載している。センサーはスイッチになっているので、ここを押して画面をオンにし、指をスライドさせると指紋を読み取ってロックが解除できる

 ARROWS V F-04Eでは、スイッチ付きの指紋センサーを備え、ロックの解除に利用できるのはもちろん、携帯電話時代に提供されていた強固なセキュリティ機能、「プライバシーモード」もかなりのものが利用できるようになっている。

 プライバシーモードは、Webブラウザのブックマークや端末内の画像、ホームアプリをNX!ホームにした場合は任意のアプリケーションを非表示にできるモードだ。さらに、プライバシーモードに対応したNX!電話帳とNX!メールでは、アドレス帳から特定の人物だけ非表示にしたり、特定の人物からのメールを非表示にしたり、さらには特定の人物からのメールや電話の着信を非通知にしたりもできる。

 また、ARROWS V F-04Eでは、これまでできなかった予測変換辞書のプライバシーモード対応も実現した。プライバシーモード設定中は、プライバシーモード解除時とは異なる辞書を用意(通常用辞書と秘密用辞書を用意)しており、プライバシーモードを解除した状態で学習した内容は、プライバシーモード設定中には表示されない。つまり、プライバシーモードを解除した状態で変換した内容、例えばあまり他人に知られたくない地名や人名などは、プライバシーモードにしておけば変換候補に現れないのだ。

 非表示にするアプリケーションを設定した場合は、通知情報があっても、ステータスバーや通知パネルにその情報を表示しなくなったのもポイントだ。これまでは、非表示にしていても通知が出ることがあったが、ステータスバーや通知パネルにも非表示になることで、よりアプリの存在に気付かれにくくなった(一部非表示にできないものもある)。

 そこまでの機能を何に使うのか、などと野暮なことを聞いてはいけない。そういう機能が必要な人には大変重宝するものなのだ。なお、spモードメールやdocomoアカウントのアドレス帳データをプライバシーモードで非表示にすることはできないため、アドレス帳の変更作業が必要だ。

PhotoPhotoPhoto プライバシーモードは、“隠していることがバレない”というすごい機能。さまざまな用途に応用できるだろう

 プライバシーモードを利用するには、あらかじめセキュリティ解除方法を設定しておく必要がある。ARROWS V F-04Eでは、「指紋」を選ぶのが一番いいだろう。あとは、非表示にしたい人やグループをアドレス帳で指定すればOKだ。

 非表示にしたい人は設定の「セキュリティ」メニューから「プライバシーモード設定」を選んで「電話・メールの設定」から、非表示にしたいアプリ、画像などは「その他の設定」から指定する。ここで指定したものについては、プライバシーモードをオンにすると、瞬時に非表示になる仕組みだ。なお、当たり前だがプライバシーモード中でもプライバシーモードになっているかどうかは、一目では判別できない。

 ちなみにプライバシーモード中に、非表示に設定した人からの着信や非表示にしたアプリに通知があると、画面上の“ある部分”が変わるようになっている。そこが変わると着信があったことが分かるわけだが、おそらく知識がなければまず気付くことはない。このアイデアには脱帽する。極限まで突き詰められ、かつ実用的な“セキュリティ機能”が気になる人は、ぜひARROWS V F-04Eを購入して確認してほしい。

さらなる使いやすさを実現する“小技”

 ここまで紹介してきたヒューマンセントリックエンジンによる機能やセキュリティ機能に加えて、ARROWS V F-04Eには小気味のよい便利機能も多数搭載されている。その1つが、スワイプ操作でよく使うアプリやショートカットが起動できる「スライドイン」機能だ。

 スライドイン機能では、スライドを開始する画面上の領域が11カ所用意されており、その場所から指をスワイプするとランチャーを呼び出せる。ランチャーはアプリやショートカットが登録しておける円形のメニューで、内容は自由にカスタマイズ可能。4種類の異なるランチャーが設定できるので、呼び出す場所に応じてアプリや機能を分けておくと使いやすい。

PhotoPhotoPhoto 画面の端から指をスライドさせると呼び出せるスライドイン機能が便利。よく使うアプリなどを登録しておけば、ホームに戻らなくてもアプリが立ち上げあられる

 ランチャーのほかに、「キャプメモ」も同様に呼び出すことができる。キャプメモは、初期設定では画面右下に割り当てられており、右下の角から指をスワイプすると、簡単に画面をキャプチャできる。キャプチャした画面には手書きで文字やイラストを描いたり、マーカーを引いたりできて便利だ。加工した画像はワンタッチでSNSなどに投稿できる。

PhotoPhoto スライドイン機能と同じ仕組みで「キャプメモ」も呼び出せる。画面をキャプチャしたあと、手書きのメモなどが追加できる機能だ

 バッテリーの消費量をチェックし、バッテリーをよく食うアプリを割り出せる「電池使用量の統計」と「アプリ電池診断」も進化している。これらの機能は、設定の「電池」メニューを開き、右上にあるバッテリーとグラフの描かれたアイコンをタップすると呼び出せ、アプリが動作していた累積時間をランキング形式で表示してくれたり、バックグラウンドで通信をしていて、スリープ状態を妨げているアプリを特定したりできる。知らず知らずのうちにバッテリーが減っている、と思ったら、この機能をチェックすることでバッテリーを無駄に消費しているアプリなどが確認できる。

 また、アプリケーション一覧からアプリ情報で、インストール・更新日時が確認できるようになったのも興味深い。なんだか最近調子が悪いな、と感じたら、「インストール・更新順」でソートすることで、最近インストールしたアプリを確認できる。地味な機能だが、これはぜひ他の機種にも広がってほしい部分だ。


 高性能なハードウェアに、練り上げられたソフトウェアを組み合わせたARROWS V F-04E。この組み合わせによる快適な操作性には正直驚かされた。Androidスマートフォンも、ここまで磨き上げられると、かなり使い勝手はいい。日本メーカーのこまやかな気遣いが感じられる製品だ。

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