1月に、2013 International CESの取材のために米ラスベガスに行ってきたが、その前日に出発準備をしているときに“事件”は起きた。現地に持っていこうと思っていた「HTC J butterfly HTL21」(以下、butterfly)を充電しようとMicro USB端子のキャップを開けたら、キャップがポロッと取れてしまった。特に乱暴に引っ張ったわけでもなく、いつもと同じように開けただけなのに……。12月9日に購入してから、わずか1カ月弱での出来事だった。
端子のキャップは頻繁に開閉するので、簡単に取れてしまっては困る。キャップと本体は通常、プラスチックの付け根でつながっており、キャップを閉めているときは、この付け根が収納されるようになっている。付け根が取れてしまっても、自力で入れ直せる場合もある。HTC J butterflyにも付け根があるが、筆者の場合、付け根からキャップがはがれてしまった。HTC J butterflyの付け根は短く、付け根とキャップの接着が弱い気がする。もともと、少し力を入れないとキャップを開けられないのも不便に感じていた。そして付け根からキャップが1度はがれてしまうと、素手では直せない。瞬間接着剤で修繕したという話も聞くが、それで品質が保証されるのかは微妙だろう。
キャップなしの状態だと防水性能が損なわれてしまうが、筆者はスマートフォンを水回りで使うことは少ないので、「まあいいか」と思ってそのまま使い続けていた。充電のたびにキャップを開閉する必要がなくなったので、「むしろ便利になった」くらいの心持ちで。しかし、キャップが取れた状態のbutterflyは、キャップの付け根が微妙に出てしまい、蝶に変な尻尾が生えてしまったようで、あまり格好良くない。「こんなbutterflyはひとめ惚れされない!」というわけで、修理に出すべくショップに相談してみた。
明らかな過失でキャップが取れてしまったのなら有償での修理も仕方ないが、今回はあまりにも簡単に取れてしまったので、有償だとちょっと納得いかない感もある。筆者の周りでも、butterflyのキャップがあっけなく取れてしまったという声をよく聞く。都内のauショップ3店舗に問い合せたところ、いずれも「店頭では判断できず、メーカーの修理拠点で有償か無償かを判断する」という回答だった。ある店舗では「キャップが取れただけなら無償で対応する」と言われたが、破損状況を見ないと何とも言えないようなニュアンスを残していた。初期不良なら1年間の無償保証の対象になるが、「その対象かどうかもメーカーが判断することになる」と答えた店舗もあった。有償になるにしても、「キャップだけなら1200円〜1300円ほどのケースが多い」そうだ。
ショップに問い合せた限りは、何とも腑に落ちない。KDDIはbutterflyのキャップについてどう認識しているのだろうか。
広報部に問い合せたところ、「同様のお問い合わせはほかにもいただいており、キャップの問題は認識している」とのこと。そして具体的な対応については「キャップが取れたものについてはメーカーの預かり修理になるが、基本的に無償で対応している」という。ただしショップでの回答と同じく、メーカーの判断によって有償になるケースもあるとのこと。さらに、比較的初期に発売されたモデルについては、キャップを修繕すると、従来よりも耐久性が向上するという。現在のモデルは「対応済み」とのことなので、初期ロットのモデルには、キャップの耐久性が劣るものがあったと推測される。
キャップ問題について「初期不良だとは認識していない」ためか、現在は修理対応についてユーザーに周知させる予定はないとのこと。butterflyのキャップが取れてしまった人は、まずはショップに持ち込んで確認してもらうことをオススメする。
ショップに持ち込むと預かり修理となり、修理が完了して端末が戻ってくるまでに10日〜2週間ほどかかる(その間は代替機が渡される)。なお、預かり修理に出す場合は端末を初期化する必要がある。
筆者はbutterflyでおサイフケータイを使っているが、おサイフケータイのデータはどうなってしまうのか。これも確認したところ、「設定」からユーザーが行える初期化をしても、おサイフケータイのメモリはクリアされないが、預かり修理に出すと、おサイフケータイのメモリもクリアされてしまう。なので「機種変更をするときと同じようにデータの移行手続きをする必要がある」(auショップ)とのこと。これはなかなか面倒だ(Edyはお預けサービスの利用に105円かかるし)。外装の交換だけなら初期化しなくてもいいのでは……と思えるが、「修理した後に端末が正常に使えるかどうかを判断する」(同)ので、手続き上、初期化は必須だそうだ。
もう1つ気になるのが卓上ホルダだ。12月の時点でbutterfly用の卓上ホルダは発売されておらず、「準備中。何らかの形で発売する」(KDDI)とのことだった。しかしbutterfly発売から2カ月半がたった今も、卓上ホルダが発売される気配はいっこうに感じられない。再度KDDI広報部に確認したところ、発売時期は依然として「検討中」とのこと。せめて卓上ホルダはbutterflyと同時に発売(できれば同梱)すべきだったと思う。早めの登場を期待したい。
HTC J butterflyは機能が充実しているし、端末のデザインも気に入っていて、とても満足して使っている。……が、この取れやすいキャップが満足感に水を差しているのは否めない。こうしたハードの基本部分は、一定の品質を担保してほしいと思う。
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