──ある程度販売ボリュームが期待できるモデルでないと市場に投入できないのでしょうか。
宮沢氏 全体の方向としては、機種をできるだけ絞るようになっています。これまでは、モデルが多すぎてどれを買えばいいのか分からない状況でしたから。店頭でも説明員がそれぞれの特徴を説明しきれないほどで、開発側も並行して多くのモデルを開発するのが無理になっていました。いまは選択と集中でお勧めの機種に絞っています。投入するモデルを絞ると、自然と幅広いユーザーを1台でカバーできるモデルを用意するようになり、限られたユーザーをカバーする数多くのモデルを投入する方向ではなくなっていきます。
──GALAXY Noteシリーズはスマートフォンとは別なカテゴリーになるのでしょうか。
宮沢氏 カテゴリーをどう扱うかは難しい問題です。タブレットとノートPCの関係に近いですね。タブレットも大きさの意味がありますから。GALAXY Noteシリーズも大きさに意味があるので、使いやすさと画面の価値をユーザーがどう感じて選ぶのかで決まると思います。
──ドコモでは、GALAXY S4は「スマートフォン」、AQOUS PADは「タブレット」と呼んでいる。では、GALAXY Noteシリーズはどう呼んでいるのですか?
宮沢氏 ドコモでは「スマートフォン」と呼んでいます。片手で持って通話できるのか、という感覚的な理由ですね。スマートフォンとタブレットは、ディスプレイサイズ6インチが境目となるでしょう。“Phone”として売れるかどうかという一般的な感覚も大事になります。そういう意味で、GALAXY Noteシリーズも“Phone”です。メーカーはメーカーで考えがあってメーカーの主張は尊重しますが、ドコモはドコモで考えがあります。いまはドコモの共通の認識で、タブレットか“Phone”かを決定しています。
──ハードウェアキーボードを搭載するデバイスの難点とは?
宮沢氏 物理的なキーボードを載せると、キーストロークなどの動きがあるので厚みが増します。厚みが増すとバッテリーサイズを小さくしなければなりません。製造コストも上昇します。しかし、一番の問題はバッテリー駆動時間が短くなることと、快適な入力環境を確保できないことですね。使いやすさのバランスを考えるとコンパクトなデバイスは難しいです。
──最後に、「MEDIAS W」はどのように評価していますか?
木下氏 「MEDIAS W」は、大画面に対するいい答えだと思っています。いいデバイスだと思っているのですが、これがすべてではないとも考えています。厚み、コスト、バッテリーに影響する問題は、すべてユーザーに跳ね返ってしまいます。ドコモは、最低限の性能を保証した上で、最適な価格となるものを探っていますから。
MEDIAS Wは、アプリの開発でも、この端末のためだけに用意してもらう機能があるので、多くの開発者にアプリを用意してもらうのが難しく、それが、製品の価値を上げることができない理由になっていました。鶏と卵の関係と同じで、注目が集まって多くの開発者が協力してもらえると、面白くなって使い勝手も向上するという循環になるはずでした。MEDIAS Wは試金石という役割で、いまいろいろな意見を聞いています。
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