ユーザーが許せる幅を探せ!──ドコモが考える「大画面と幅と気持ちよさ」の関係それは“3ミリ刻み”の戦いであった(3/4 ページ)

» 2013年11月07日 10時45分 公開
[長浜和也,ITmedia]

いまは薄さが重要という認識にならざるを得ません

──デバイスのデザインは、「第一印象」重視で薄さを優先する傾向にある?

宮沢氏 デザインとサイズにはトレンドがあります。トレンドは一番売れているメーカーが作ります。その意味で、いまは薄さが重要という認識にならざるを得ません。厳密なデータはありませんが、日本市場とグローバル市場でこのトレンドに大きな違いはないと思っています。

木下氏 ただ、ボディが薄くてもバッテリー駆動時間が短いなど、使い勝手に影響するものはドコモのラインアップとして受け入れることはできません。防水性能もグローバル市場では注目していませんが、日本市場では要求が強いです。ただ、防水性能を持たせると本体は厚くなってします。このあたりの事情は、特に海外のメーカーに対して日本のデザイントレンドとして説明しています。

「ファーストインプレッションを重視して薄型化を最優先」というコンセプトでデザインしているSamsung電子の「GALAXY S4 SC-04E」

──現在、5インチディスプレイモデルは主流となりましたが、以前登場した5インチモデルが売れなかったのはなぜ?

宮沢氏 画面サイズが同じでも本体の機能がまったく異なるのが原因でしょう。スマートフォンは、画面価値を提供するデバイスなので、本来なら大画面になるほど使いやすいはずです。今のモデルはディスプレイの表示も高精細で見やすいですが、このような画面価値を提供できなかった以前の5インチデバイスはトレンドとならなかったのでしょう。でも、いまは受け入れてもらえます。

木下氏 いまのスマートフォンユーザーは、サイズとデザインで選ぶ割合が少ないのです。いまは、使いやすさで選びます。機能と中身、その次がデザインや色、そして、ブランドです。

宮沢氏 本体の幅に対する許容量は少しずつ進むと思います。以前のユーザーなら受け入れられなかった幅でも、将来のユーザーに受け入れてもらえることは十分にありえます。

高間氏 解像度は、高精細表示で人間の目を超えたレベルにきているので、ここでひと段落すると考えてます。実際、800×1280ピクセル表示と1080×1920ピクセル表示を比べてどちらもそれほど変わりません。ただ、ユーザーは1080×1920ピクセルを選びますね。

QWERTYキーボード搭載コンパクトデバイスは難しい

──ユーザーのニーズという意味では、ハードウェアキーを搭載したモデルは登場しにくい状況?

宮沢氏 先ほど紹介したユーザー調査では、1年前まで、ハードウェアキーやキーボード、テンキー搭載など、20種類ほどテストしていました。QWERTYキーを好むユーザーは一定数存在しますが、その割合は年々下がっています。いまでは、ユーザーが高い必要性を感じていません。それで、いまのところはスレートタイプを中心に提供しているのです。

──フィーチャーフォンからスマートフォンに移行するユーザーはテンキーを搭載するモデルが安心できると考えているようですが。

宮沢氏 テンキー搭載スマートフォンも出したが、スライドにするのか折りたたみにするのかで選択が分かれます。スライド機構にした場合、スライドに必要な面積が大きくなってしまうので、ディスプレイに4インチサイズを確保すると本体がかなり大きくなってしまい、フィーチャーフォンのユーザーに違和感を与えてしまうのです。

──ディスプレイは4インチ以上が必ず必要なのですか。

宮沢氏 タッチ操作を考えるとそうなります。

──女性ユーザーには、3インチディスプレイのスマートフォンなら、親指で画面すべてを扱えるので使いたいという声もあります。

宮沢氏 そういうユーザーの意見が、一定数いるのも事実で、ドコモもAQUOS PHONE STなども出しましたが、結果を見ると、大きなボリュームにはなっていません。多くのユーザーは大きい画面にシフトしているようです。

木下氏 小さい画面にはメリット以上にデメリットがあります。画面にソフトウェアキーを表示するとキーピッチが狭くなって入力が困難です。ただ、音声入力が一般的になってこういう問題が解決すると、小さい画面のモデルも積極的に投入できるかもしれません。

 また、4インチ後半サイズのディスプレイでも、画面が使いやすいように、画面の上にあるキーを下に持ってくるなど片手で操作しやすい機能を導入すればいいでしょうね。大きなサイズと使いやすさのバランスをとることはこれからも引き続いてやっていきたいと考えています。そういう意味で、コンパクトサイズを好むユーザーを軽視するのではなく、入力環境の問題を解決したモデルを提供したいです。

というわけで、超私的に愛してやまないXperia mini proのようなデバイスが今後登場する可能性は限りなくゼロに近い

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