KDDIが3M戦略第3弾「au WALLET」を5月にスタート――田中プロ「ポイントが通信料支払いに使えるってウケませんかね?」石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)

» 2014年02月21日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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―― カードはICチップ搭載型ではなく、磁気ストライプのみになるのか。

田中社長 そうですね。

担当者 別のところでICを使うかも知れません。

田中社長 マスターカードの情報を読むのは磁気を使います。

―― これはKDDIが決済サービスに本格参入すると考えてよろしいのでしょうか。

田中社長 決済という言葉の範囲が広い。いまでもかんたん決済などもやっているので。新たな電子マネーの市場に入るということと、それにポイントがくっついていると。

―― どれくらいのビジネスになると考えているのか。

田中社長 流通額1兆円を3年後に目指したい。それがいくらの利益になるかというのは皆さん、お楽しみに。

―― 他社ユーザーにカードを発行するというのはあり得るのか。

田中社長 auになって欲しい。auユーザーのためにと申し上げているじゃないですか。

―― いまおサイフケータイの利用者って、どれくらいの割合がいるのか。

田中社長 それはきっと言っちゃいけないんだわな、きっと。

(★ これ自分の質問。なぜカードにこだわるのかを聞きたかったので)

―― 減っているのですか。

田中社長 減ってはないと思う。

―― iPhoneユーザーが増えていても、か。

田中社長 iPhoneが増えたら減るのかな。そりゃそうだわね。数字感覚はないのですが、少なくとも50%は超えてないですね。

(★ おサイフケータイを使っていた人がiPhoneに乗り換えるとき、多くの人はどうしているのだろうか)

―― おサイフケータイで展開するとユーザー層が絞られてしまうからプラスチックカードなんですかね。

田中社長 やっぱり、物理的なカードという価値が、わかったというのが本音。最初の議論をするときに、au IDでやりたいことだった。リアルにつなぎたい。スマホを使ってリアルにつなぐやり方と、物理的なカードを1対1でつなげるのがどっちが便利かといったら、カードがあったほうが便利。auショップに行ったら、カードでログインができる。もっと用途の幅が広がる。カードのほうがいいですよね。本当に細かく分析していくと、若い人、特に女性は別に持ちたい人がいらっしゃる。カードを発行しないことによって、対象市場を狭める必要はない。われわれがしたいのは、auユーザーには全員に持ってもらいたい。なんで自分でターゲットを狭めるのか。そういう回答はないよね。財布の一番上になるようにしたい。クレジットカードで買ってもらっても良いが、普段、寄るときはカードを出してもらえれば、ポイントは悩まなくて良い。っていうのは便利じゃないですか。

(★ そうそう。プラスチックカードは自分が「所有している」ということを再認識できるのが大きなメリット。おサイフケータイだと「アプリ」になってしまうので、使っていたことを忘れてしまったり、機種変更時に移行しなかったりするのが、欠点かと)

―― クーポンの施策も考えていくのか。

田中社長 それはいろいろありますよね。特約店を作っていく仕組みも一緒だし。みなさん、スマホの世界がある、ネットの世界がある、でも僕らはこっち(スマホ)から向こう(ネット)という、単なる決済手段でしか関係を持てなかったものが、多彩にリアルの店と関係を持てる。僕はバリューチェーンって書きましたけど、それを作らないといけない。そうしないと、せっかくいっぱい機能がついているスマホをもってらっしゃるのに、もったいないと思っている。

 その一段目として、IDとつなぐ仕組みとして、au IDカード、au WALLETを発行するということと、ポイントシステムをリニューアルして、その間をつないでくれる、流通するバリューにしたい。いろんなことを全部、使えるようにしたい。どこでも貯まるようにするにはマスターカードさんが協力してくれる。我々の子会社にウェブマネーがある。で、くっつけよう。すると世界ができてきて、あとはこれをローンチしていく。

―― そこにじぶん銀行ははいってくるんですか。

田中社長 鋭いご質問。それはまた別途。

(★ これも自分の質問。貯まったポイントがじぶん銀行と連携させると現金になる、というのなら、飛びつく人も多いかと)

―― ポートアウトしたらカードは無効になるのか。

担当者 その場合は無効になりません。バリューは生きております。通信料によって、auポイントが貯まるとかそういうのはなくなります。

田中社長 結構ウケると思うのが、通信料に使えるとか。ウケませんかね? これ、結構一押しで書いたんですけど。

―― どれくらいの数を発行したいのか。

田中社長 僕らとしては1700万まで行きたいのですが、まずスマパス使うところまでは行きたいよねと思っていて、いままで2年かかって3M戦略がここまで来たので、3年目はこれを花開かせて、リアルを頑張っていきたい。

―― ドコモが付加価値ビジネス1兆円と言っているが、これで抜き去ってしまうということになるのか。

田中社長 ちょっと違うと思いますね。流通額ですからね、我々は。

―― KDDIにとってのビジネスモデルはハンドリングチャージがメインになるのか。それともO2Oのコンサル的なものになるのか。

田中社長 僕らは経済圏を作りたい。これはツールだと思っている。実際にここで我々が商売をするショップがあるわけではない。それは他社、パートナーがやることなので。我々はパートナーさんと一緒にビジネスをしていくのが基本だから、そのために必要なものは何っていったら、カードであり、ツールであり、ポイントである。それってプラットフォーマーであるキャリアがやるべきだよね、と思っていて。それがうまく回るようにしないといけない。(ドコモのように)本当に1兆円の付加価値ARPUを目指していくとなると、何か(企業を)買っていかないといけない。

―― コンビニを押さえる上で、セブン&アイ・ホールディングスは重要であり、特にnanacoはポイントが強いと言える。nanacoユーザーを取り込むのは大変ではないか。

田中社長 それって特約店の話だと思っている。僕らの仕組みがワークして送客力が高まれば、送客力に合わせて特約店化されていく。ポイント何倍の議論じゃないですか。いま、お客さんが望んでいるのは1枚のカードで、どこでも使って、どこでも貯まる。それが調査結果だったので、こっちを優先した。加盟店開拓はこれからですから、頑張りますとしか、いまは言えない。

 あとはエコシステムが変わっていきますので、auポイントはこれまで家族についていたので、ここを分けていかないといけない。分けるうえで、いままでのポイントを移行させないといけない。それで個人でポイントを使えるようにしていかないといけない。

―― お店としてはマルチキャリアで来てもらいたいと思うが。

田中社長 それはたぶん違うと思うよ。お店とすればauのお客さんが来てくれればいい。ドコモもそういったものもあれば来て欲しいというのであって、別に差別的でも全然ないじゃないですか。と言うことだと思います。

囲みを終えて

 au WALLET記者会見、参加している記者は当然、通信系がほとんどであるため、田中社長に対する質問も微妙にズレているものがあった気がした。通信とは異なるジャンルであるため、この記者会見だけで全体像を理解できていないメディアが多いのではないか。

 今回の会見で個人的に注目したのが、KDDIがおサイフケータイではなく、プラスチックカードをメインに採用してきたという点だ。通信事業者なら当然、おサイフケータイという選択肢になりそうだが、実際の利用率と言えば2割行くか行かないか、といった程度しかない。

 田中社長が「対象者を狭める必要はない」として、プラスチックカードを採用してきたのは、とても真っ当のような気がする。

 日本でFeliCaが普及したと言っても、Suica、楽天Edy、nanaco、WAONなどサービスが乱立していて「おサイフケータイを使いたいけど対象サービスではない」という理由で使えないことが多すぎた。

 ここ数年で、ようやくコンビニもマルチ対応するようになったが、遅すぎた感は否めない。

 そんななか、KDDIはNFCでもなくFeliCaでもなく、このタイミングで磁気カードをメインにしてきた。マスターカードの決済システムを利用することで、au WALLET自体はプリペイドカードだが、実際の決済はクレジットカードのシステムを使うため、本当に多くの場所で利用ができる。

 折しも、元ドコモの夏野さんが「秋葉原駅ホームでモバイルSuicaが使えなくて激怒」していたことが話題となっていたが、ひょっとすると、おサイフケータイの限界が見え始めてきたのではないか。

 電車の乗り降りには便利であるが、決済系などにおけるおサイフケータイの役割はフェードアウトしつつあるのかも知れない。

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