GALAXY S5やXperia Z2といったフラッグシップの発表されたMobile World Congressだったが、大きな視点で見ると、目立っていたのはやはり新興国市場への取り組みだ。23日(現地時間)にMicrosoftが行ったWindows Phoneに関する発表では、Windows Phoneを採用するための規制緩和を行い、Snpadoragon 200やSnapdragon 400など、より低いスペックに対応していくことが明かされた。端末上に設置されていたWindowsキーや戻るキー、検索キーなども必要なくなり、Androidと同じハードウェアで動作するようにしたのが発表の要点だ。
OSレベルでは、中国などで一般的な「デュアルSIM」にも対応していく。Microsoftは従来、シャシー戦略を採用し、ハードウェアに対する要件をAndroidなどより厳しく定義していた。Nokia、HTC、Huaweiとメーカーを問わず、形状やスペックが一定に保たれていたのも、そのためだ。一方で、このシャシー戦略は端末から個性を奪うことになるだけでなく、価格を抑えた機種を作りにくいというデメリットも生んでしまった。スマートフォンの次の大きな市場が新興国という状況の中で、これは得策とはいえない。こうした市場の動きが、Microsoftの規制緩和につながったというわけだ。
こうした新興国への取り組みで一歩リードしているのが、MozillaのFirefox OS。Mozillaは23日(現地時間)に開催したプレスイベントの中で、25ドル(約2500円)のスマートフォンを発表した。この端末はSpreadtrumという上海のチップセットベンダーが開発したリファレンスモデルとなり、市場へはOEMが流通させる仕組みだ。そのため、メモリなどのスペックは変わる可能性があり、値段も25ドルはあくまで最低ラインだという。価格を抑えて南米などに徐々に広がるFirefox OSだが、その動きにさらなる弾みがかかるかもしれない。
メーカーという観点では、Microsoftの傘下になるNokiaが、Androidベースのスマートフォンを開発したことも注目を集めた。Androidベースとはいえ、あくまでAPIはNokiaのものとなり、Google Playをはじめとするアプリやサービスは利用できない。規制緩和を行うWindows Phoneを待つ前に、Androidをカスタマイズしてより安価なレンジの端末をそろえたいというNokiaの思惑が見え隠れする。
チップセットについても同様で、新興国を見すえた動きが目立っていた。例えば、Qualcommは「トリプルSIM」に対応した「Snpadragon 410」を発表。デュアルSIMへの取り組みをプレスカンファレンスでアピールしたほか、中国市場などで売りになっているオクタコアCPUにも取り組んでいくという。
もちろん、これらの取り組みは新興国を見すえたものだが、端末や技術は違った切り口で日本に入ってくることも考えられる。例えば、デュアルSIM、トリプルSIMは、格安SIMを販売するMVNOにとって面白いソリューションといえる。同様に、端末と回線が分離されているMVNOにとっては、安価でそこそこのブランド力がある端末も必要だ。こうした観点では、新興国向けの動きも注視しておいた方がいいだろう。
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