2月17日から2月28日の間で、最も大きなトピックはスペインのバルセロナで開催されたMobile World Congress(以下、MWC)だろう。ここでは、ソニーモバイルコミュニケーションズやSamsung電子といった大手メーカーがフラッグシップモデルを発表したことに加え、MozillaやTizenのような“第3のOS”陣営にも大きな動きがあった。ネットワーク関連の発表も相次いで行われた。今回はこのMWCに焦点を絞り、注目のトピックをまとめていきたい。
MWCでは、Samsung電子やソニーモバイル、Huawei、ZTEといったメーカーが発表会を開催し、フラッグシップモデルを発表した。中でも注目を集めたのが、Samsung電子の「GALAXY S5」と、ソニーモバイルの「Xperia Z2」だ。日本での売れ行きや知名度の高い2機種だが、この2ブランドは海外でもメジャーなモデル。プレスカンファレンスには多数の来場者が集まり、我先にと端末を手に取り、その性能を確かめていた。
GALAXY S5は指紋センサーや防水・防塵といった機能に対応したモデル。ほかにも、Wi-FiとLTEの通信を合成して高速化を図る技術「Download Booster」や、オートフォーカスを高速化したカメラにも対応。全体として、機能の底上げを図っている。ディスプレイは「GALAXY S4」よりも0.1インチサイズが上がり、5.1インチとなった。
対するXperia Z2は、防水・防塵はそのままに、動画性能を強化し4Kでの撮影に対応した。MHL3.0に対応し、テレビなどにそのまま4K動画を出力できるのも特徴だ。これに加えて、音楽再生の機能も大きく進化させ、Walkmanで使われるデジタルノイズキャンセルに対応。周囲の音を拾うマイク付きのイヤフォンを利用すると、98%ノイズの削減が可能になる。実際、ブースでノイズキャンセルの実力を試してみたが、騒音が減り、音楽がよりクリアに聞こえる。特に日本ではこの機能が搭載されたWalkmanの人気が高いこともあり、Xperiaの強い売りになりそうだ。
機能の強化を図った2機種だが、CESでの傾向からも分かるように、以前よりも進化の歩みは遅くなりつつある。GALAXY S5やXperia Z2は確かにフラッグシップで、S5にはS4のときになかった防水や防塵が、Z2にはノイズキャンセルが搭載されており、分かりやすい売りはある。一方で、以前のように、最新モデルであれば確実にスムーズに動き、ディスプレイも大きく、精細になって一目で変化が分かるという状況でもなくなった。
こうした中、2社はウェアラブルでスマートフォンの体験を広げていく構えだ。Samsung電子は「GALAXY Gear」の後継機にあたる「Gear 2」や「Gear 2 Neo」を発表。これらに加えて、曲面有機ELディスプレイを採用した「Gear Fit」を披露した。対するソニーモバイルは、CESで公開していた「Core」や「SmartBand」を正式に発表。「Lifelog」アプリの仕様も発表した。カメラ付きのCoreを参考展示するなど、次に向けた動きも進めている。自社のディスプレイ技術をつぎ込み、GALAXYシリーズのみにGearシリーズを対応させるSamsungに対し、ソニーはオープン化を志向。コラボレーションやSDKの公開も積極的に進めるなど、2社のアプローチは異なっている。
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