携帯ショップの営業停止も――通信キャリアの“違法キャッシュバック”問題に揺れる韓国(2/2 ページ)

» 2014年08月27日 13時05分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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端末メーカーにとっても痛手

 市場の競争を健全化するために取られた事業者の営業停止措置は、端末メーカーにも大きな影響を与えた。メーカーとしては実売価格がどうであれ、端末が売れなくては利益を得ることができない。だが事業者の営業停止は端末を販売するルートも閉ざされてしまうのである。前述したように韓国は日本同様、端末の販売は事業者が行っている。サムスン電子やAppleは自社で店を構えているものの、端末の販売は事実上事業者との契約がセットになる。蛇足になるが、外国からの旅行者が各メーカーの店舗で端末を単体で購入することは可能だが、価格は事業者と契約を結んだ際より割高になる。

 特に3月から5月にかけての45日間の営業停止中は、新製品の販売戦略を大きく狂わされたメーカーが多かった。韓国でもシェア最大のサムスン電子は春商戦の最新モデル GALAXY S5を5月11日にグローバルで同時発売する予定だった。ところが3月27日にSK Telecomが突如単独で販売を開始した。これはサムスン電子からの許可を得ていないとも伝えられている。グローバルの販売予定日はSK Telecomの営業停止期間中であり、それを避けるためにKTとLT U+の営業停止期間中にあえてフライングで発売したのだ。サムスン電子は5月10日の夕方にロンドンでローンチ世界初のイベントを行ったものの、すでに韓国版が一部の国で輸入され流通している状況だった。

 また、ソニーモバイルは韓国市場に本格参入するため、フラッグシップモデル「Xperia Z2」の販売イベントを3月末に行う予定だったが、2社の営業停止中ということで中止に追い込まれた。LGエレクトロニクスの「LG G3」の発表会が5月28日になったのも、この営業停止の影響を受けたといわれている。

photophoto グローバルローンチ前に韓国で発売になったGALAXY S5。4月中には3事業者ともが取り扱いを開始した(写真=左)。各メーカーは、春の戦略モデルとなる最新機種の発売時期に影響を受けた(写真=右)

 そして最も深刻な影響を受けたのはPantechだ。同社は同じ韓国メーカーのサムスン電子とLGエレクトロニクスに大きく差をつけられている。起死回生を狙ったフラッグシップモデル「Vega Iron2」は4月末に発表予定だった。これはGALAXY S5より先に発表することを狙ったものだが、SK Telecomがフライングで発売してしまったため目新しさが失せてしまった。その後、5月8日に発表会を行ったものの、3事業者の営業停止中は販売数は思わしくなく、営業再開後は全メーカー全モデルとの激しい販売競争の渦に巻き込まれてしまった。この春商戦の販売不振を受け、Pantechは2014年8月12日に法定管理(日本の会社更生法)を申請した。

photophoto 代理店店頭にちらりと見える、Pantechの「VEGA Iron2」ピンクバージョンのPOP。販売テコ入れのため女性向けカラーも投入したが、効果は薄かったようだ(写真=左)。ローンチイベントがキャンセルになったソニーモバイル。Xperia Z2は販売になったものの、韓国国内での存在感は全くない(写真=右)

 8月末からのSK Telecom、LG U+の営業再停止は9月の各社の大型新製品の販売にも影響が出るだろう。サムスン電子の「GALAXY Note」の新機種だけではなく、今回は「iPhone 6(仮)」も販売開始の出鼻をくじかれるかもしれない。果たして10月施行の「端末流通構造改善法」は現状の不健全な補助金販売方法を是正することができるのだろうか? 韓国の消費者だけではなく、各メーカーもその効果に今から注目している。

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