大画面トレンド、iPhone、日本メーカー、格安スマホ――2014年のスマホを振り返るスマートフォン・オブ・ザ・イヤー2014(前編)(1/4 ページ)

» 2014年12月25日 22時02分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 ITmedia Mobileは、2014年に発売された数多くのスマートフォンの中から、ベスト1を決める「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2014」を開催した。選考するのは、ITmediaや「週刊アスキーPLUS」などで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、神尾寿氏、佐野正弘氏、島徹氏、すずまり氏、西田宗千佳氏、本田雅一氏、山根康宏氏(五十音順)の10人だ。10氏には先に5機種のノミネート端末を挙げてもらい、そこからスマートフォン・オブ・ザ・イヤーに選ばれる10ベストが選出された。

 10ベストに選ばれたのは、「AQUOS CRYSTAL」「AQUOS ZETA SH-01G」(シャープ製)、「Ascend Mate7」(Huawei製)、「GALAXY Note Edge」(サムスン電子製)、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」(Apple製)、「isai FL」(LGエレクトロニクス製)、「Xperia Z3」「Xperia Z3 Compact」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)、ZenFone 5(ASUS製)(アルファベット順)。この10ベストに対し、選考委員はそれぞれ持ち点25点からベスト1と思うものに10点、残り15点をその他の機種に配分。合計点でベスト1が決定する。

photo 10ベストに選ばれたスマートフォン。上段左から「AQUOS CRYSTAL」「AQUOS ZETA SH-01G」「Ascend Mate7」「GALAXY Note Edge」「iPhone 6」、下段左から「iPhone 6 Plus」「isai FL」「Xperia Z3」「Xperia Z3 Compact」「ZenFone 5」

 12月上旬に実施した審査会では、2014年のスマートフォンで感じたことを、ざっくばらんに話してもらった。今回は「前編」ということで、その内容を座談会形式でお届けしたい。審査会に参加したのは石川氏、石野氏、太田氏、佐野氏、島氏、すずまり氏、西田氏の7人。神尾氏、本田氏、山根氏には別途コメントをいただいているので、後編で紹介したい。

2014年の総括と5機種をノミネートした理由

―― 本日は、2014年のベストなスマートフォンを1台を選ぶ「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー」の審査会にお集まりいただきありがとうございます。皆さんに挙げていただいたノミネート端末から10ベストが選出されましたので、今日はこの10台に持ち点25点を配点していただいて、ベスト1から10までの順位を決めたいと思います。

 投票の前に、まず5台のノミネート端末を選んでいただいた理由を含めて、2014年の端末動向を振り返っていただきたいと思います。

審査員が選んだ5機種
審査員 機種
石川温氏 AQUOS CRYSTAL、GALAXY Note Edge、isai FL、iPhone 6、イオンのNexus 4
石野純也氏 AQUOS CRYSTAL、GALAXY Note Edge、iPhone 6、Xperia Z Ultra SOL24、ZenFone 5
太田百合子氏 AQUOS CRYSTAL、Ascend Mate7、GALAXY Note Edge、iPhone 6、Xperia Z3
神尾寿氏 Disney Mobile on docomo SH-02G、GALAXY S5 Active SC-02G、iPhone 6、iPhone 6 Plus、Xperia Z3
佐野正弘氏 AQUOS CRYSTAL、GALAXY Note Edge、iPhone 6、Xperia Z3、ZenFone 5
島徹氏 AQUOS CRYSTAL、iPhone 6、isai VL、Xperia Z3 Compact、ZenFone 5
すずまり氏 AQUOS CRYSTAL、AQUOS ZETA SH-01G、Ascend Mate7、GALAXY Note Edge、iPhone 6 Plus
西田宗千佳氏 AQUOS CRYSTAL、GALAXY Note Edge、iPhone 6 Plus、Xperia Z3、ZenFone 5
本田雅一氏 AQUOS ZETA SH-01G、iPhone 6、Nexus 6、Xperia Z3、Xperia Z3 Compact
山根康宏氏 Ascend Mate7、GALAXY Note Edge、iPhone 6、isai FL、TORQUE

佐野氏:iPhone 6はユーザーニーズに応えた

photo 佐野正弘氏

佐野氏 2014年に増えたのが、ファブレットといわれる画面サイズが5.5〜6型クラスの端末だと思います。iPhone 6 Plusなどの印象が強いですが、ユーザーが本当に大画面スマホを求めているか、慣れ親しんでいるかといったら、まだそれほどではないという印象があります。私は片手操作に慣れているユーザーが、どんな端末を選ぶかを考えて5モデルを選択しました。

 iPhone 6は売れ筋端末で、ディスプレイが大きくなりユーザーニーズに応えたという点でインパクトがありました。ソニーが苦労している時期ですが、Xperia Z3は、日本ではドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3キャリアから出ており、横展開ができる人気端末という点を評価しました。ファブレットに関しては、新たなスタイルを作り、ユーザーに受け入れられる特別なものになっているかを重視し、GALAXY Note Edgeは新しさを評価して選びました。残り2機種はミドルクラス端末です。AQUOS CRYSTALは、スピーカーの有無はともかく、フレームレスのインパクトと、あの品質とあの価格で出せるシャープの力量を評価しています。また、2014年のトレンドとして「格安スマホ」があり、そのベンチマークとなっているZenFone 5は、2014年を象徴している端末だという理由で選びました。

photo 3キャリアから同一モデルが発売された「Xperia Z3」

太田氏:iPhone 6より6 Plusの方がインパクトが大きかった

photo 太田百合子氏

太田氏 2つのiPhoneのどちらかと考えて、自分自身が購入したiPhone 6を選びましたが、与えたインパクトはiPhone 6 Plusの方が大きかったと思っています。片手操作ができる端末がいいといってiPhoneを選んでいた人たちが、5.5型の大画面iPhoneが出たことで、「大画面でいいんじゃない」という方向に一気にシフトした印象があります。

 GALAXY Note Edgeは9月のIFAで見て、新しいチャレンジをしたすごい端末だと思いました。実際の売れ行きは別にして、チャレンジングな製品として選びました。また、2014年はAndroid Wearが1つのトレンドだったと思いますが、GALAXYシリーズはそれをけん引した存在だと思います。

 業界の大きなトレンドとして、格安スマホといわれるSIMロックフリー端末の存在があり、市場の盛り上がりと関心の高まりを感じます。ZenFone 5は価格的なインパクトが大きく、またASUSは、PCでブランド固めした上でのスマホ投入だったので印象もよかったと思います。一方、Huaweiは6月から他メーカーに先駆けてSIMロックフリー端末を全面的に展開しました。Ascend Mate7は出たばかりですが、2014年の格安スマホの流れを象徴するメーカーとして外せないと思いピックアップしました。

 AQUOS CRYSTALは日米同時発売という点と狭額縁のインパクトです。狭額縁をけん引してきたシャープが、それを極めた製品を出したという点を評価しました。Xperia Z3は、Xperia Z2からの進化を考えると少し物足りなさを感じますが、非常にバランスの取れた完成度の高い端末で、iPhone以外で初めて1端末3キャリア供給もポイントです。キャリアとメーカーの関係性の転換期を象徴していると考えています。

photo iPhone 6(左)とiPhone 6 Plus(右)

石川氏:2014年はディスプレイのテクノロジーが進化した

photo 石川温氏

石川氏 スマホは進化しないとか、つまらないと長らく言われた中で、2014年のトレンドとして画面に関するテクノロジーの進化があったと思います。GALAXY Note Edgeの曲面ディスプレイは、使い勝手はさておき、趣があったし近未来的でもあった。AQUOS CRYSTALに関しては、自分がアメリカで購入して使っていると、現地の人が「それは何だ? どこのスマートフォンだ?」と聞いてくる。ブランドの先入観抜きにして、見ただけでこれはすごいスマホだと理解できる端末でした。

 isai FLなどのWQHDという解像度は今後のトレンドになるでしょう。それをいち早く、商戦期を無視して投入してきたLGとKDDIは、かなりアグレッシブだったと思います。この画面に関する3つのテクノロジーが今後、どういった進化をするのかは注目ですし、ディスプレイの進化は2014年のトピックだったのかなと思います。

 格安スマホ市場は2014年を代表するものだと思うんですが、そう考えるとNexus 4も見逃せません。販売方法しかり価格しかり、ああいったやり方によってスペック競争じゃないところで売れたことは非常にインパクトがあったし、このヒットがあったからこそ後に続くものがあった。そう考えるとNexus 4、“イオンスマホ”というべきか、この端末が与えた功績は大きく、2014年を代表するスマートフォンなのかもしれないと思いました。

photo 限定4000台で販売され、瞬く間に完売した「イオンのスマートフォン」(Nexus 4)

すずまり氏:AQUOSの「エモパー」がインパクトあり

photo すずまり氏

すずまり氏 大画面化は非常にインパクトがあります。iPhone 6 Plusを使っていますが、地図が見やすく、Evernoteで資料を見てもiPhone 5sに比べると格段に使いやすく、「らくらくiPhone、いいな」という感じになっています。ただ、個人的に2014年はウェアラブルの活動量計を中心にウォッチしていたので、端末自体はどれも同じに見えます。普通のユーザーが違いを判断して選ぶことは難しい気がします。

 その中でGALAXY Note Edgeは、石川さんがおっしゃったように使い勝手の評価は別にして、非常にアグレッシブでチャレンジングな端末でした。こうした出し方、アプローチがあったのかと驚かされました。個人的に写真を撮る機会が多いので、Ascend Mate7の見やすさはポイントが高いです。これだったら紙焼き写真に匹敵します。

 Android Wearなどで手首に通知してくる中、AQUOS ZETAは端末をしゃべらせたてきた「エモパー」のインパクトを評価しました。同じくシャープのAQUOS CRYSTALは狭額縁を評価。大画面でも持ちやすい方がいいというジレンマの中、いいポジションにいると思います。サイズ的にiPhone 6と迷ったのですが、狭額縁で頑張ってこられた印象を評価しました。

photo AQUOS ZETA SH-01GとAQUOS CRYSTAL Xに搭載されている「エモパー」。タイミングを見て、スマホから話しかけてくれる
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