9月12日に予約受付がスタートし、9月19日に発売されるAppleの新型スマートフォン「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」。今使っているiPhoneから乗り換えるべきか、iPhoneデビューすべきか迷っている人もいるだろう。ここでは、あらためてiPhone 6/6 Plusがどのような進化を遂げたのか、前モデルの「iPhone 5s」「iPhone 5c」と比較しながらチェックしていこう。
見た目で分かる最も大きな違いが、ディスプレイと本体サイズだろう。iPhone 5/5s/5cでは4型をキープしてきたが、iPhone 6では4.7型に、そしてiPhone 6 Plusでは一気に5.5型まで上げてきた。本体の幅はiPhone 5sの58.6ミリ、iPhone 5cの59.2ミリに対し、iPhone 6は67ミリで10ミリ近く、iPhone 6 Plusは77.8で20ミリ近く伸びた。60ミリ台のiPhone 6は何とか片手でも操作できそうだが、iPhone 6 Plusは厳しそう。厚さはiPhone 6が6.9ミリ、iPhone 6 Plusが7.1ミリで、iPhone 5s/5cより薄くなった。
またiPhoneといえば、これまでは軽いボディも特徴だったが、iPhone 6 Plusは一気に172グラムにまで重量が増した。112グラムのiPhone 5sと比べると60グラムも重い。iPhone 6は129グラムで、132グラムのiPhone 5cよりも軽いので、従来のiPhoneユーザーも違和感なく使えるだろう。iPhone 6 Plusはスマートフォンというより、タブレットの要素も併せ持つ「ファブレット」と考えた方がよさそうだ。
アルマイト処理加工されたアルミニウム製のボディはiPhone 5sと同じだが、側面のエッジが角張っていたiPhone 5sに対し、iPhone 6/6 Plusはラウンド形状になっているので持ちやすくなっている(と思われる)。iPhone 5や5sはエッジ部分が手に当たるのに違和感を覚えたが、これが解消されるのはうれしい。なお、従来のiPhoneでは上部にあった電源キーが、iPhone 6/6 Plusでは右側面に移動している。
ボディカラーはゴールド、シルバー、スペースグレイの3色で、iPhone 5sと同じ。iPhone 5cのカラフルな色は、今回は用意されていない。
大型化に伴いディスプレイの解像度が向上し、「Retina HDディスプレイ」となった。iPhone 6は、HD(720×1280ピクセル)でもフルHD(1080×1920ピクセル)でもない、750×1334ピクセルという変則的な解像度を採用し、画素密度はiPhone 5s/5cと同じ326ppiをキープしている。iPhone 6 Plusは1080×1920ピクセルの401ppiで、歴代iPhoneの中では最も高解像度となった。
また、Appleが言う「先進的な光配向プロセス」により、iPhone 6/6 Plusのディスプレイはより高コントラストになり、文字や写真をくっきりと表示できる。さらに、「デュアルドメインピクセル」によって視野角も向上しているという。
プロセッサはiPhone 5sの「A7」から「A8」に進化し、CPUやGPUのパフォーマンスが向上している。エネルギー効率はA7の50%アップしているとのことで、同じ操作をするなら、iPhone 5sよりも6の方がバッテリーが持ちそうだ。
各種センサーを使った処理をCPUから独立して行ってくれる「コプロセッサ」も、iPhone 5sの「M7」から「M8」へとバージョンアップ。M8では新たに気圧計が加わり、階段や山などの高度も計測できるようになった。
iPhone 6/6 Plusのバッテリー容量をAppleは公表していないが、同社が計測した連続使用時間が参考になる。連続通話時間(3G)はiPhone 5s/5cから伸びている。連続待受時間も、iPhone 6は5s/5cと同じ250時間だが、iPhone 6 Plusは384時間にまで伸びている。インターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生の連続時間も、iPhone 6 Plusが最も長い。iPhone 6も3GとWi-Fi接続時のインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生時間はiPhone 5s/5cから伸びた。
プロセッサの影響も大きいのだろうが、大画面化・高解像度化によるスタミナの心配はないとみてよさそうだ。
800万画素のメインカメラと120万画素のインカメラはiPhone 5s/5cから据え置きだが、機能自体は進化している。Appleが「Focus Pixels」と呼ぶ新たな技術により、ピントを合わせる速度が向上。顔検出の精度も上がり、最大43メガピクセルのパノラマ写真の撮影も可能になった。
ビデオ撮影は60fpsのフルHD動画、240fpsのスローモーション動画が新たに撮影できるようになった。Appleが「映画レベルの手ブレ補正」と説明しているように、手ブレ補正もさらに進化したようだ。また、iPhone 6 Plusのみ、撮影時にレンズを動かして軸がぶれないようにする「光学手ブレ補正」を搭載している。
インカメラはF値がiPhone 5s/5cの2.4から2.2となり、より多くの光を取り込めるようになった。インカメラでもバーストモードに対応し、1秒間に10枚の写真を撮れるようになった。
LTEでさらに高速通信が可能になったのも特徴といえる。iPhone 5s/5cの通信速度は下り最大100Mbpsだが、iPhone 6/6 Plusでは下り最大150Mbpsにアップ。LTEのバージョンを示す「Category」は、iPhone 5s/5cのCategory3からCategory4になったと考えていいだろう。150Mbpsの通信サービスは、NTTドコモが1.7GHz帯で、KDDIが2.1GHz帯で提供しているほか、KDDIは800MHz帯と2.1GHz帯の周波数を合わせて使う「キャリアアグリゲーション」を提供しており、iPhone 6/6 Plusはいずれもサポートする。
対応するLTEバンドも拡大され、KDDIがUQコミュニケーションズから借りている下り最大110Mbpsの「WiMAX 2+」と、ソフトバンクモバイルがWCPから借りている下り最大110Mbpsの「AXGP」も、iPhone 6/6 Plusで使えるようになった。
また、iPhone 6/6 PlusはLTEネットワーク上で音声通話やビデオ通話ができる「VoLTE」もサポート。現在はドコモのみが提供しているが、KDDIとソフトバンクモバイルも追随する予定だ。
iPhone 6/6 PlusではNFCに対応したことも話題を集めているが、当面のところ、日本では影響はなさそうだ。Appleが新たに提供するiPhone 6/6 Plus向けの決済サービス「Apple Pay」では、読み取りにNFCアンテナとセキュア・エレメンツ、認証にTouch IDを使うことで、事前に登録したクレジットカードでの決済が行える。
このApple Payが提供されるのは、現時点では10月の開始を予定している米国のみ。日本ではFeliCaを採用したおサイフケータイが普及しているほか、携帯電話とクレジットカードを連携させたサービスとしてはドコモが「iD」を提供している。NFCを使った決済サービスが日本でどこまで普及するかは未知数であり、Apple Payがすぐに日本で提供される可能性は低そうだ。
iPhone 6 | iPhone 6 Plus | iPhone 5s | iPhone 5c | |
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OS | iOS 8 | iOS 8 | iOS 7(iOS 8にアップデート可能) | iOS 7(iOS 8にアップデート可能) |
プロセッサ | A8チップ+M8モーションコプロセッサ | A8チップ+M8モーションコプロセッサ | A7チップ+M7モーションコプロセッサ | A6チップ |
サイズ(幅×高さ×奥行き) | 67×138.1×6.9ミリ | 77.8×158.1×7.1ミリ | 58.6×123.8×7.6ミリ | 59.2×124.4×8.97ミリ |
重量 | 129グラム | 172グラム | 112グラム | 132グラム |
ディスプレイ | 4.7型Retina HDディスプレイ | 5.5型Retina HDディスプレイ | 4型Retinaディスプレイ | 4型Retinaディスプレイ |
解像度 | 1334×750ピクセル(326ppi) | 1920×1080ピクセル(401ppi) | 1136×640ピクセル(326ppi) | 1136×640ピクセル(326ppi) |
コントラスト比 | 1400:1 | 1300:1 | 800:1 | 800:1 |
Touch ID | ○ | ○ | ○ | − |
LTE | 下り最大150Mbps | 下り最大150Mbps | 下り最大100Mbps | 下り最大100Mbps |
LTEの対応バンド | モデルA1586:FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、13、17、18、19、20、25、26、28、29) TD-LTE(バンド38、39、40、41) |
モデルA1524:FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、13、17、18、19、20、25、26、28、29) TD-LTE(バンド38、39、40、41) |
モデルA1453:FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、8、13、17、18、19、20、25、26) | モデルA1456:FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、8、13、17、18、19、20、25、26) |
キャリアアグリゲーション | ○ | ○ | − | − |
VoLTE | ○ | ○ | − | − |
Wi-Fi | 802.11a/b/g/n/ac | 802.11a/b/g/n/ac | 802.11a/b/g/n | 802.11a/b/g/n |
連続通話時間 | 3G:14時間 | 3G:24時間 | 3G:10時間 | 3G:10時間 |
連続待受時間 | 250時間 | 384時間 | 250時間 | 250時間 |
連続使用時間 | インターネット利用:3G:10時間、LTE:10時間、Wi-Fi:11時間 ビデオ再生:11時間 オーディオ再生:50時間 |
インターネット利用:3G:12時間、LTE:12時間、Wi-Fi:12時間 ビデオ再生:14時間 オーディオ再生:80時間 |
インターネット利用:3G:8時間、LTE:10時間、Wi-Fi:10時間 ビデオ再生:10時間 オーディオ再生:40時間 |
インターネット利用:3G:8時間、LTE:10時間、Wi-Fi:10時間 ビデオ再生:10時間 オーディオ再生:40時間 |
メインカメラ | 8メガピクセル Focus Pixelsによるオートフォーカス F2.2 True Toneフラッシュ 5枚構成のレンズ 自動手ブレ補正 パノラマ(最大43メガピクセル) バーストモード |
8メガピクセル Focus Pixelsによるオートフォーカス F2.2 True Toneフラッシュ 5枚構成のレンズ 自動手ブレ補正 光学手ブレ補正 パノラマ(最大43メガピクセル) バーストモード |
8メガピクセル F2.2 True Toneフラッシュ 5枚構成のレンズ 自動手ブレ補正 バーストモード |
8メガピクセル F2.4 LEDフラッシュ 5枚構成のレンズ 自動手ブレ補正 |
ビデオ撮影 | 1080pビデオ撮影(30fpsか60fps) スローモーションビデオ(120fpsか240fps) |
1080pビデオ撮影(30fpsか60fps) スローモーションビデオ(120fpsか240fps) |
1080pビデオ撮影(30fps) スローモーションビデオ(120fps) |
1080pビデオ撮影(30fps) |
インカメラ | 1.2メガピクセル F2.2 |
1.2メガピクセル F2.2 |
1.2メガピクセル F2.4 |
1.2メガピクセル F2.4 |
センサー | 気圧計 3軸ジャイロ 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー |
気圧計 3軸ジャイロ 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー |
3軸ジャイロ 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー |
3軸ジャイロ 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー |
ボディカラー | スペースグレイ、ゴールド、シルバー | スペースグレイ、ゴールド、シルバー | スペースグレイ、ゴールド、シルバー | ホワイト、ピンク、イエロー、ブルー、グリーン |
NFC | ○ | ○ | − | − |
価格(SIMロックフリー版、税別) | 16Gバイト:6万7800円 64Gバイト:7万9800円 128Gバイト:8万9800円 |
16Gバイト:7万9800円 64Gバイト:8万9800円 128Gバイト:9万9800円 |
発売当初: 16Gバイト:6万7800円 32Gバイト:7万7800円 64Gバイト:8万7800円 現在: 16Gバイト:5万7800円 32Gバイト:6万2800円 |
発売当初: 16Gバイト:5万7800円 32Gバイト:6万7800円 |
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