UQコミュニケーションズ(以下、UQ)は、WiMAX 2+非対応機種でWiMAXサービスを利用中のユーザに向けて「ギガヤバ 移住計画」を発表した。移住計画の一環として、WiMAX 2+への機種変更を行ったユーザーに対し、WiMAX 2+への移住(機種変更)から2年間、月額料金が通常の4380円から3696円(税別、以下同)に割引が行われる。
割引後の通信料は、初代WiMAXサービスにおける「UQ Flat 年間パスポート」の月額料金と同等になる。UQでは、WiMAXユーザがWiMAX 2+対応機種に機種変更した際、WiMAXサービスの契約解除料、WiMAX 2+対応機種の機種代金、契約事務手数料が無料になる「史上最大のタダ替え大作戦」を展開していた。
今回の「移住計画」では、WiMAX 2+対応機種への変更後の月額料金も据え置きとなり、料金的には一切負担が増えることなくWiMAXからWiMAX 2+への“移住”ができるようになる。
今回の計画による月額通信料の割引は、キャンペーン発表後に2+へ変更したユーザだけでなく、2月20日以降にWiMAXからWiMAX 2+へ機種変更をしたユーザーも自動的に対象となるため、かなり“太っ腹”なキャンペーンと言える。
UQがWiMAXユーザの移住を促す大きな理由の1つには、WiMAX 2+のキャリアアグリゲーション(CA)対応エリアを早急に拡大したいという狙いがある。UQは5月末までのCA対応エリアを発表したが、今回発表されたエリアの中には東京都内や各都道府県の中心地など、データ通信のニーズが高いエリアは含まれていない。
WiMAX 2+のCAは、WiMAX向けに利用している電波を削ってWiMAX 2+で利用する必要があるため、その対応エリアは、WiMAXの通信速度が下り最大40Mbpsから13.3Mbpsへと低速化する弊害がある。
このため、WiMAXユーザーが十分に少なくなったエリア内のからでないとWiMAX 2+のCAを提供できず、既存のWiMAXサービスのユーザが多いエリアでは、必然的にWiMAX 2+のキャリアアグリゲーション提供開始までに時間がかかる。
データ通信ニーズの大きなエリアほどCA提供に時間を要する状況はジレンマであると言えるが、UQでは移住計画の発表と合わせて、9月末までに「キャリアアグリゲーションによるヤ倍速220Mbpsの全国エリア化を完成する予定」としており、9月末までには都心部を含めてCA対応による通信速度の高速化に期待ができる。
UQが発売するWiMAX 2+対応機種のうち、CAに対応している機種は「Speed Wi-Fi NEXT W01」(以下、W01)のみとなっているが、CA対応による恩恵を受けるのはW01だけではない。WiMAX 2+のCA対応エリア内では、WiMAX 2+で20MHz幅×2の周波数帯が利用できるようになるため、キャリアアグリゲーション非対応機種であっても「通信が空いている方の20MHz幅」を掴むことで、実効速度が改善する。
ソフトバンクモバイルは4月ごろから、Y!mobileブランドで販売しているモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 305ZT」(以下、305ZT)の利用者向けに、直近3日間の通信量が1Gバイトを超えた場合の通信速度制限を開始した。
305ZTは「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」の対象端末で、月間の上限データ量である7Gバイトを超えても、通信速度制限を解除するオプション料金(500Mバイトごとに500円)が契約から2年間は無料になる。なお、これとは別に“直近3日間の通信量が1Gバイトを超えた場合”に関しては、従来より「通信速度制限の対象となる場合がある」とされていた。
305ZTが発売されたのは10月3日で、およそ半年間は「直近3日間の通信量が1Gバイトを超えた場合」の通信速度制限が適用されていなかったため、先述のキャンペーンと合わせると、通信速度制限を気にすることなく利用することができていたが、4月ごろから通信速度制限が適用されたことによって、通信速度制限の対象となるユーザーに影響が発生している。
305ZTの通信速度制限に関する説明自体はキャンペーンの開始から変わってはいないが、制限が適用されてからも「直近3日間の通信量に基づく速度制限なし」という旨の説明が販売現場であったことが確認できている。また広告などでは「さよなら!速度制限!」というフレーズも使われており、一切の通信速度制限がないと誤認する可能性が高い。同社では店頭などで誤った説明を受けて契約したユーザーに対する対応を明らかにはしていない。
モバイルWi-Fiルーターの通信速度制限に関しては、UQのWiMAX 2+も「直近3間の通信量が3Gバイトを超えたユーザー」について、通信速度制限を4月1日より実施している。UQコミュニケーションズの通信速度制限に関しては「YouTubeの標準画質程度であれば問題なく閲覧できる程度の制限」と説明されており、現時点では実利用に大きな影響は出ていないと言える。
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