NTTドコモがローソンと提携し、ポイントサービスを強化 ━━12月までにどれだけ提携先を増やせるかが勝負石川温のスマホ業界新聞

» 2015年05月22日 11時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 5月13日、NTTドコモが夏商戦向け新商品・新サービス発表会を行った。終了後、加藤薫社長が囲み取材に応じた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年5月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


━━ SPモードケータイは従来の3Gケータイの料金体系を採用しているが、LINEアプリなどを使うと簡単に上限の4200円に達するのではないか。そのあたりは問題ないという認識なのか。

加藤社長 「今のところ、それで行こうと思う」

(★ 本当に大丈夫なのか。6.4MBで上限に達してしまうのに。それにしても、iモードケータイのころは本当に少ないデータ通信量だったことを改めて実感)

━━ それによって、ユーザーから「高くなった」というクレームが出る懸念はないのか。

加藤社長 「それは使い方なので、フィーチャーフォンユーザーのなかでLINEをお使いになりたい方もいるだろうが、どれくらいの比率なのかは今後見ていく必要があると思っている」?

(★ 初代AQUOS KはLINEの利用率が相当、高かったとのこと。SPモードケータイもLINEを使いたい人が買うんじゃないかな)

━━ そこでARPUアップを目指したりはしていないのか。

加藤社長 「あまり、それは考えていない。みなさんがお使いのLINEなので、せっかくAndroidベースなので、使えたらどうだという発想で提供することになった」

(★ 結果、ARPUは上がると思う。ユーザーはどう思うかは別だが)

━━ ポイントサービスの陣営が絞り込まれてきたが、ここから先はさらに競争が激しくなるのか、それとも共存していくのか。どちらなのか。

加藤社長 「なかなか難しいですね。お客さんの視点からすると、いろんなところでおトクがあって、便利があればいいですよね。そういう中に私たちも組み入れていただいて、私たちの世界が拡がっていければいいなと思っています」

(★ ローソンだけでは不満なだけに、それ以外の業態とも積極的に組んで欲しい)

━━ ローソンとは独占的な契約ではないのか。

加藤社長 「それはちょっと控えさせて下さい」

(★ 将来的にはどちらも他社と組むこともありそうだけど)

━━ 「+d」戦略の最初の発表がローソンになったのは、意図したものがあったのか。

加藤社長 「正直に言うと、独立して考えていた。みなさんにもご指摘いただくが、ドコモには一定のアセットを持っている。クレジットカードも含めてですが、それをもっと有効利用して、うまく組み合わせればいろんなことができるじゃないですか、というのは、かねがね言われており、それを考えていました。そこにローソンとの話が別個に出てきた。そこが融合していったかたちで、『+d』という概念に繋がりながら、一方で地方創生や社会的課題の解決というのもあり、大きく言えば+dのなかに入っています。そういう意味で、我々のアセットを有効活用する起点に、ちょうどうまくタイミングがあったということ」

(★ +d構想発表の時に、合わせてローソンの案件も発表すれば、もっとインパクトが大きく伝わったと思うけど)

━━ ポイントカードといいますと、家電量販店も強いが、そんななか、ソフトバンクがヤマダ電機に出資した。あのあたりをどう捉えているか。

加藤社長  「出資の話は他社のことなので、私はコメントする立場にはないが、ヤマダ電機の店頭がすべてソフトバンクの商材になるというのは、あまり考えられないな、というような気がしている。

 お客さんからすれば、またヤマダさんもお客さんのことを考えれば、いろいろな商品が揃っていて、選択肢があるという形を訴求されるのではないかという気もします。ポイントという観点で、出資関係を見たことはあまりなかったです」

(★ 先週も指摘したけど、売り場は従来通りでも、ドコモ売り場に来ていた客が奪われる可能性は充分にある。個人的にはdポイントもau WALLETもTポイントも家電量販店と組んでポイントアップして欲しい)

━━ 電力とのセット割についてお伺いしたい。先ほど、ソフトバンクモバイルが東京電力と電力販売で提携していく方向だと発表したが。

加藤社長 「そうなんですか。私どもはいろんなところと検討している。いろんなところ組みながら、セット割などお客様にとって、+dのように新しい付加価値を考えていこうと思っています。いろいろ並行しながら進めております」

(★ ドコモの会見中に、ソフトバンクはぶつけるようにリリースを発行するんだから大したものだ)

━━ 東電とソフトバンクの発表についてはどう思うか。

加藤社長 「それは『そういう結果なのか』という気はするが、特にコメントは」

━━ ポイントをつけると持ち出しも出ると思うが、業績への影響はどうか。昨年、新料金プランの導入でユーザーが集まりすぎて悪影響もあったが。

加藤社長 「去年は大変ご心配をおかけした。そういうことはポイントのなかでは無いと思っている。

 長く使っていただけているとおトクという概念を料金プランに入れつつ、少しリストラしていますので、全体のなかで検討している」

(★ ポイント引当金が減っていいんじゃないかな。実際、KDDIは今期で減っていたみたいだし)

━━ オレンジのカード(au WALLET)は立ち上げに300億円もかかっているようだが。

加藤社長 「そうなんですか。私は存じ上げませんけど。我々はご説明しましたように、ベースがDCMX、DCMX miniでございます。ここのところは10年来やってきて、きっちりとした基盤が出来ている。これは蛇足ですが、クレジットカード事業そのものも、時間がかかったが黒字になってきた。その積み上げがありますので、その上で展開するので楽しみだと思っている」

(★ クレジットカードは、日本人にはちょっと抵抗があるので、そこをどう乗り越えるかがカギかと。KDDIの場合は、そこはあえて心理的な負担が少ないプリペイドからスタートしたわけだし。クレジットカードだけど、未成年はDCMX miniで対応できるので、その層への広がりも気になるところ)

━━  SIMロックの解除義務化でビジネスはどうなっていくのか。

加藤社長 「なかなか難しいですよね。我々はずいぶん昔からガイドラインに従ってやってきましたので、年間10万〜12万という実績も結果として持っています。そんななかでどう動いていくのだろうと、ちょっと読み切れないところがありまして、私どもも考え、ユーザーの声に傾けなければいけないと思う」

(★ 確かに読み切れない。iPhoneが発売されて半年後が面白くなりそうだけど)

━━ 2006年のMNP導入時と比べて同じくらいのインパクトなのか。

加藤社長 「あまりそれは考えてもみなかったんですけど。

 どうなんでしょう。今までもガイドラインに沿ってSIMロック解除をやってきました。それほどの大きな違いはないと感じています。

 MNPは全く新しい概念が入ってきた。それまでのパラダイムと、今回とは少し違うと思うが、お客様がどのように対応されて、どう利用するかをよく見ていきたい」

(★ MNP、SIMロック解除、2年縛り改定など様々な施策を組み合わせて、ようやく動き出すのかという感じ)

━━ 今回、SPモードケータイだったり、AQUOS EVERなどコストを意識した端末を揃えてきた印象がある。なにかそのあたりで方針が変わったのか。

加藤社長 「方針は変わっていません。昔から『安くて良いものを作ってくれ』と言ってまして。

 最新技術をどんどん入れると価格が上がっていく歴史はあったが、ある種、機能や性能は(踊り場に)来ているのかなと思う。そのなかでよく使われるものを、うまく、安く作っていただけるフェーズに入ってきたのかなと思います」

(★ そう考えると、ドコモ的にはNOTTVは辞めた方がいいような気がするけど)

━━ 今回、SPモードケータイにAndroidを採用したが、おサイフケータイは使えない。現状のケータイのユーザーはどういった層なのか。

加藤社長 「いろいろ分析していて、細かいことは申せませんけど。やはりメール、それと音声通話が主ですね。特に使われている方は話すのはこれがいい。ちょっと(端末が)長くて折れている分、話しやすい。メールもテンキーで入れたほうがいいと。そういった方が大層だと。そのなかで、丸山(プロダクト部長)が申したように、様々なアンケートを基に、取捨選択をした次第です」

(★ 3G対応といいおサイフケータイ非対応といい、機能よりも開発時間を優先した感じなのかしら)

━━ iモード、iアプリやサイトを使う人も少ないのか。

加藤社長  「iアプリそのものを使う方はいるでしょうが、一方で、アプリをどんどん使う方はスマートフォンに移っていただけているのではないでしょうか」

(★ さすがにiアプリを使う人は減っているんだろうな)

━━ ガラケー2機種は最小限の機能しか無い。店頭で混乱するのではないか

加藤社長 「いままでのものも売っています。次の冬にどうなるかははっきり言えないが、ちょっとテイストの違うものが出てくる可能性はある」

(★ KDDIがVoLTE対応を出してきた以上、同レベルのものは出してくるだろうな)

━━ いままでのアーキテクチャのガラケーも供給を続けるのか。

加藤社長 「供給は続ける。あるときに部品やOSといったレベルでその後、継続できなくなるだろうという見通しは持っています。ただ、それがいつになるかは見定めていく」

(★ 従来のガラケーが売れれば売れるほど、継続できなくなるタイミングは早まりそうだな)

━━ モデルチェンジはしないのか。

加藤社長 「ある程度、モデルチェンジするかもしれない」

(★ このタイミングでモデルチェンジするとは思えないけど)

■取材を終えて

 DCMX/DCMX miniならば、ローソンで3%割引になるのは驚き。しかも、期限を区切っていないのは「大丈夫なのだろうか」と心配になってくる。割引原資は、ローソンとNTTドコモで分担しあうようだし。

 あまりにユーザーが殺到し、いきなり「辞めます」ということにならなければいいが。

 12月からdポイントカードも発行されるが、今後、NTTドコモがローソン以外の魅力的なパートナーを見つけてくることができるのかが楽しみだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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